『あまちゃん』17週、「おら、悲しみがとまらねぇ」の感想まとめ。
この番組、ウニテロだったのすっかり忘れてた。
アップロード時の枚数制限を気にしたのですが、いろいろ変えてみたら見づらくなりました。
試行錯誤してます。
関連リンク
・『あまちゃん』16週、「プライドあるから、このままじゃ終われないから」
・『あまちゃん』15週、ミズタク太巻アメ女GMT
・『あまちゃん』14週、ブティック今野がユイちゃんを救う。
・『あまちゃん』13週、じぇシュタルト崩壊(‘jjjjjjjjjjj’)
・『あまちゃん』12週、そして東京へ。
・『あまちゃん』9~11週、温かくて幸せな時間。
■正宗さんがかっこよかった日
正宗さんが若春子を覚えていなかったら、若春子が立ち直ることもなかったし、太巻や鈴鹿ひろ美も失ったものを取り戻すことはなかったのかもしれないと思うと胸熱である。
でも基本はイラっとするアキのパパ、正宗さん。
そんな正宗さんと、若春子の回想シーンからはじまる17週。
若春子を上野まで送る途中、ラジオから流れてきたのは潮騒のメモリー
「鈴鹿ひろ美ですよね、歌上手いですよね」
「止めて」
「いや…」
「止めて!」
「いや、これ歌ってるの、お客さんですよね?」
どことなく辛そうな正宗さんの表情。そのあと春子のほうを振り返って続けます。
「知ってますよ、覚えてませんか?あのときの運転手です」
「どのときの?」
「ほら、あのときのあほんだらです、私」
ここで流れるTIMEが沁みてきます。
傷ついた春子を、じゃっかんイライラさせながら、見守る甲斐さんに不審がられながら励ます正宗さん。
「ここで諦めるなんてもったいない」
アイデンティティーを失って、かろうじて残ってたプライドも壊れかけてた若春子にこの言葉。
嬉しかっただろうなあ。
若春子さんが笑顔を取り戻していく過程が丁寧に描かれます。
能年ちゃんも可愛いし橋本愛ちゃんもべっぴんさんだけど、有村ちゃんも可愛い。
そして時間軸は戻り、アキと正宗。
「春子さんは歌手にはなれなかったけど、僕のお嫁さんになったんだ」
正宗さんがかっこいい最初で最後の瞬間。
全ての真実を知ったアキが、北三陸に残る春子さんに伝えた言葉。
「ママが歌ってるんだから、ママの歌だべ」
さっきの1989年の正宗さんの「あなたの歌でしょ」に繋がるんだなあ。
聞きたかった言葉と照れ隠し。
もしかしたら春子さんは、正宗さんと出会った時のことを思い出していたのかもしれません。
それにしてもこのシーンの見所の一つ。
アキの表情がコロコロ変わります。
能年さん、すごい。
能年さんの演技も、ひとりひとりに届いてる。
■ガールズバーとスナックの違いについて
(吉田の下の名前は「正義」です)
■悲しみが止まらない
春子のことを鈴鹿ひろ美に聞いたみたアキ。
しかし思いもかけない言葉。
「結局その子は運がなかったのよ」
「運ですよね」とどうにか笑うものの……
鈴鹿さんの前では堪えきったものの、寮に帰り、ウニ丼を口にしたらもう我慢できなかった。
ウニ丼に涙が落ちて。
アキの中でこのウニ丼は、あのとき夏ばっぱと一緒に食べたウニ丼、故郷、家族そのものなんだろうな。
「おら、悲しみがとまらねえ」
この週タイトルが意味しているものが当時は「デビューできない!」ってことが悲しいのかなとか思ってたんだけど。
でも再放送みてて、少し違うなって。
アキは自分の存在意味がわからないことが悲しかったのかもしれない。
■ヒロシです。アキちゃんのファン1号です。
ヒロシです。
最初にHP作ったヒロシです。
看板描いたヒロシです。
海女カフェ作ったヒロシです。
先生の介護をしていたヒロシです。
観光協会のお仕事で東京にやってきたとです
ストーブって呼ばれてます。
ヒロシです。
ヒロシです。
で、そんなヒロシとアキは裏原宿の純喫茶・アイドルへ。
かつて若春子と太巻、正宗、いろんなドラマが描かれたその場所です。
アイドルで久しぶりに話すヒロシとアキ。
ヒロスとユイちゃん、足立先生の距離のとりかた、いいなって思います。
お互いいい大人になれば付かず、でも離れず。
一度地元を離れたことのあるヒロスだから、家族に何があっても待っていようって落ち着いていられるのかも。
「アキちゃんがいる場所は、他の場所と違って、ちょっと温度が高くて、明るいんだよ」
ストーブさん、北三陸の頃からアキのこと、きちんと見てたんだべな。
それってほんとに一番のファンだべな。
さらにヒロシは続けます。
「結局、場所じゃなくて人なんじゃないかなって思う。最近」
ヒロスがアキに行ったこの言葉。
多分、あまちゃん の根底に流れる部分だと思う。
場所は北三陸でなくても「アキ」がいれば、『あまちゃん』のストーリーは成り立つ。
そんなヒロシが出張を終えて北三陸へ帰る日。
やはりそこは上野駅。
「みんな応援してるから、しんどくなったら帰ってこいよ。
大吉さんが春子さん待ってたように、おれもアキちゃん待ってるから」
ヒロシはかつて東京で働いていたことがあります。
でも数カ月で北三陸に帰ってきました。
観光協会に勤め始めて、明るい(?)ヒロシにはなりましたが、もしかしたら東京での暮らしは壮絶なものだったのかもしれません。
東京で一人で生きていくことの大変さを知ってるからこそ、今のアキに響く言葉がわかるのかもしれません。
そんなヒロシの姿にアキは我慢ならず、失踪中のヒロシとユイちゃんのお母さんが男性を歩いているところを目撃したと告げました。
「ありがとう!聞かなかったことにする」
このヒロスの笑顔がね、もうね。
アキの心の荷物を受け取ったこと、でもそれはヒロスにとっても重い荷物であること。
それをアキには感じさせないちょっと切ない笑顔。
能年ちゃんと小池さんの、ほんっと絶妙な表情の変化。
ところで、ヒロシに近況報告しているアキがミズタクに関して言っているこの言葉。
多分、その言葉を勉さんが聞いたら喜ぶと思うし、ミズタクが聞いても喜ぶと思う。
■ミズタク文法あれこれ
先週のミズタク倒置強調文法に引き続き。
ミズタク、熱くなると文法がめちゃくちゃになる問題。
否定詞の位置ぃ…
動詞の活用おい。
■全ては運だった
GMTのデビュー曲「地元に帰ろう」が決まったものの、マメリンのスキャンダルのためデビューが流れてしまいました。
直談判しにいくミズタクに、太巻が言います。
「全部運なんだよ」
少し時間を戻り、「潮騒のメモリー」の真実を知ったアキが春子のことについて鈴鹿さんに尋ねるたとき。
「結局は運よね。その子は運がなかったのよ」
「運」という言葉にしか逃げられない2人。
当時の天野春子は運がなかった。
でもその天野春子という存在が、少なくとも太巻にはずっしりのしかかっている。
夢が断たれそうになり、アキがついに太巻に直談判にきます。
純喫茶アイドルで『天野春子の娘』を誇りに思って、「春ちゃん、娘に夢を託したんだな」って甲斐さんの言葉があったからこそ、今真に迫るアキの表情。
■太巻の語る真実
アキが太巻の隠し子だとかゲスい外野が見つめる先は、ガバイ内野。
防音なので音はもれませんが、なにやらガバい雰囲気。
太巻、アキ、それからミズタク。
「確かに、君のお母さんとは過去にいろいろあったのは事実だ」
「えっ?」
「そっちのいろいろじゃないよ」
でも、そっちのいろいろのほうが、「実は隠し子でしたー」のほうがずっと救いがあったかもしれない。
太巻はさらに続けます。
「潮騒のメモリーを歌ったのは天野春子だ」
驚きを隠せないミズタクに対して、怖いほど表情を変えないアキ。
正宗さんちでコロコロ笑っていた同一人物とは思えない。
太巻が鈴鹿ひろ美の音痴バージョン潮騒のメモリーをおもむろに取り出し、カセットテープにかけ、絶対音感のあるミズタクが悲鳴をあげ。
アキが太巻に尋ねます。
「これが鈴鹿ひろ美の、オリジナルバージョンだ」
「わざとか?」
「わざとか?」のほんの4文字。
それだけで最終週を思い出してハッとする。
視聴者も踊らされてたんだなあって。
しかし太巻は何をここまで頑なにさせているものは何なのか。
「鈴鹿ひろ美伝説に傷をつけることは、おれにはできないできない。どんな小さく、古い傷でも」
太巻は守ろうとしてるのかもしれない。
鈴鹿さんだけではなく天野春子も。
2人が起こした「潮騒のメモリー」という奇跡を。
楽しかった80年代を。
『荒巻太一』はそういうノスタルジーの象徴なのかもしれない。
しかし太巻は「春子が復讐のために娘のアキを送り込んだ」と勘違いをしているようです。
それに対するアキの反論。というか事実。
北三陸での出来事を思い出す言葉です。
ひとつは海女ソニックのあと、春子さんがアキに手をあげたとき。
もうひとつは、お正月ユイちゃんから投げられた言葉。
あのとき上に潰されかけた春子、今アキを潰しかねない太巻。
でも太巻は本当にアキを潰したかったのかな。
この騒動に関わったことを全部まっさらにして、やり直してほしいって思ったんじゃないか。
いろんなものを守るために。
えらく太巻擁護になってしまったんだけど、本放送みてるときと印象が違うんだよね。
平成元年に若春子に太巻がかけた言葉。
「必ず、僕に任せて」は気休めではなく、時間を超えてアキまで届いた。そう思いたくなったきた。
■「アーキーが辞めるなら、うちも辞めたい」
年末年始になんで喜屋武ちゃんが残ったか、なんで一緒に北三陸に帰ったか。
喜屋武ちゃんの言葉が響くなあ。
喜屋武ちゃん、北三陸できちんとアキの笑顔を見たからなんだろうな。
■夢の中で
悩むばかりに、若春子と鈴鹿ひろ美の夢をみたアキ。
「やめて、歌わないで。あたしの歌、あたしの潮騒のメモリーよ!」
声出して笑える場面のはずなのに、じんわりくる。
声を奪われた鈴鹿さんと、名前を奪われた春子さん。
ふたりとも、大丈夫、失ったものをきちんと取り戻すから。
■アキの訛りがとれたとき。
とんでもない夢からさめた直後、北三陸の春子からアキに電話がかかってきました。
そこでアキは不安を漏らします。
「一生懸命やってんのに。もう、帰りたい。ねえママ、アキそっち帰りたいよ。もう帰っていい?いいよね?」
すりガラス、丸まった背中、そして訛りの取れた口調。
真実と現実を抱えきれないアキの痛みが伝わってくるんだよなあ…
■親子3代、画面の位置にご注目。
真実が明かされたとはいえ、一つだけ残っていたことがありました。
それが月曜日に描かれていました。
「なすてママは一回上野まで行ったのに、電車さ乗んねえでパパのタクシーで世田谷まで戻ろうとしたんだ?」
月曜日に若春子が上野で引き返した理由を、「母の脳裏に古い記憶が〜」で語り出す。
『春子‐アキ』と『夏ばっぱ‐若春子』で結ぶ。
締めに『夏ばっぱ‐今春子』に繋げてるのが秀逸な作りです。
(「まれ」も見習ってほしいわ)
この電話のシーン、注意してよく見てみると母の立場にある人はほぼ画面右、娘の立場にある人はほぼ左にいるんですね。
『春子‐アキ』
『夏ばっぱ‐若春子』
『夏ばっぱ‐今春子』
春子が、娘心と母心で揺れているのが画面構成からもわかります。
何が凄いかって、この位置の演出が来週までつながるんです。
で、母としての今春子はアキを励まします。(右)
そのとき思い浮かぶのは、若春子の「このままじゃ終われないから」。(左)
春子さんが東京へ向かうのはアキのため?でもあるけど、若春子を助けに、自分のためでもある。
そして夏ばっぱ。
アキを叱咤する春子を見守ります。(右)
それは、かつて若春子を叱咤したときの自分でした。
あの日、若春子が上野で引き返した理由。
三代のマーメイドのリンクにジンワリ来る。
まあつながってはいますが、同一人物ではありませんし、春子自身の物語も終わっていません。
居ても立ってもいられなくなった春子さん、リアスをユイちゃんに任せて東京へ向かうことにしました。
今度は、笑顔で旅立つ春子さん。あの日見れなかった景色に会いに。
そしてはじまる春子無双。
■鈴鹿さんが北三陸にやってくるそのときは。
鈴鹿さんが北三陸に来る日のことを思い出すとまた含みのある言葉。
再放送でこういう楽しみがあるドラマはなかなか珍しいよなあって思う。
この番組、ウニテロだったのすっかり忘れてた。
アップロード時の枚数制限を気にしたのですが、いろいろ変えてみたら見づらくなりました。
試行錯誤してます。
関連リンク
・『あまちゃん』16週、「プライドあるから、このままじゃ終われないから」
・『あまちゃん』15週、ミズタク太巻アメ女GMT
・『あまちゃん』14週、ブティック今野がユイちゃんを救う。
・『あまちゃん』13週、じぇシュタルト崩壊(‘jjjjjjjjjjj’)
・『あまちゃん』12週、そして東京へ。
・『あまちゃん』9~11週、温かくて幸せな時間。
■正宗さんがかっこよかった日
正宗さんが若春子を覚えていなかったら、若春子が立ち直ることもなかったし、太巻や鈴鹿ひろ美も失ったものを取り戻すことはなかったのかもしれないと思うと胸熱である。
でも基本はイラっとするアキのパパ、正宗さん。
そんな正宗さんと、若春子の回想シーンからはじまる17週。
若春子を上野まで送る途中、ラジオから流れてきたのは潮騒のメモリー
「鈴鹿ひろ美ですよね、歌上手いですよね」
「止めて」
「いや…」
「止めて!」
「いや、これ歌ってるの、お客さんですよね?」
どことなく辛そうな正宗さんの表情。そのあと春子のほうを振り返って続けます。
「知ってますよ、覚えてませんか?あのときの運転手です」
「どのときの?」
「ほら、あのときのあほんだらです、私」
ここで流れるTIMEが沁みてきます。
傷ついた春子を、じゃっかんイライラさせながら、見守る甲斐さんに不審がられながら励ます正宗さん。
「ここで諦めるなんてもったいない」
アイデンティティーを失って、かろうじて残ってたプライドも壊れかけてた若春子にこの言葉。
嬉しかっただろうなあ。
若春子さんが笑顔を取り戻していく過程が丁寧に描かれます。
能年ちゃんも可愛いし橋本愛ちゃんもべっぴんさんだけど、有村ちゃんも可愛い。
そして時間軸は戻り、アキと正宗。
「春子さんは歌手にはなれなかったけど、僕のお嫁さんになったんだ」
正宗さんがかっこいい
全ての真実を知ったアキが、北三陸に残る春子さんに伝えた言葉。
「ママが歌ってるんだから、ママの歌だべ」
さっきの1989年の正宗さんの「あなたの歌でしょ」に繋がるんだなあ。
聞きたかった言葉と照れ隠し。
もしかしたら春子さんは、正宗さんと出会った時のことを思い出していたのかもしれません。
それにしてもこのシーンの見所の一つ。
アキの表情がコロコロ変わります。
能年さん、すごい。
能年さんの演技も、ひとりひとりに届いてる。
■ガールズバーとスナックの違いについて
(吉田の下の名前は「正義」です)
■悲しみが止まらない
春子のことを鈴鹿ひろ美に聞いたみたアキ。
しかし思いもかけない言葉。
「結局その子は運がなかったのよ」
「運ですよね」とどうにか笑うものの……
鈴鹿さんの前では堪えきったものの、寮に帰り、ウニ丼を口にしたらもう我慢できなかった。
ウニ丼に涙が落ちて。
アキの中でこのウニ丼は、あのとき夏ばっぱと一緒に食べたウニ丼、故郷、家族そのものなんだろうな。
「おら、悲しみがとまらねえ」
この週タイトルが意味しているものが当時は「デビューできない!」ってことが悲しいのかなとか思ってたんだけど。
でも再放送みてて、少し違うなって。
アキは自分の存在意味がわからないことが悲しかったのかもしれない。
■ヒロシです。アキちゃんのファン1号です。
ヒロシです。
最初にHP作ったヒロシです。
看板描いたヒロシです。
海女カフェ作ったヒロシです。
先生の介護をしていたヒロシです。
観光協会のお仕事で東京にやってきたとです
ストーブって呼ばれてます。
ヒロシです。
ヒロシです。
で、そんなヒロシとアキは裏原宿の純喫茶・アイドルへ。
かつて若春子と太巻、正宗、いろんなドラマが描かれたその場所です。
アイドルで久しぶりに話すヒロシとアキ。
ヒロスとユイちゃん、足立先生の距離のとりかた、いいなって思います。
お互いいい大人になれば付かず、でも離れず。
一度地元を離れたことのあるヒロスだから、家族に何があっても待っていようって落ち着いていられるのかも。
「アキちゃんがいる場所は、他の場所と違って、ちょっと温度が高くて、明るいんだよ」
ストーブさん、北三陸の頃からアキのこと、きちんと見てたんだべな。
それってほんとに一番のファンだべな。
さらにヒロシは続けます。
「結局、場所じゃなくて人なんじゃないかなって思う。最近」
ヒロスがアキに行ったこの言葉。
多分、あまちゃん の根底に流れる部分だと思う。
場所は北三陸でなくても「アキ」がいれば、『あまちゃん』のストーリーは成り立つ。
そんなヒロシが出張を終えて北三陸へ帰る日。
やはりそこは上野駅。
「みんな応援してるから、しんどくなったら帰ってこいよ。
大吉さんが春子さん待ってたように、おれもアキちゃん待ってるから」
ヒロシはかつて東京で働いていたことがあります。
でも数カ月で北三陸に帰ってきました。
観光協会に勤め始めて、明るい(?)ヒロシにはなりましたが、もしかしたら東京での暮らしは壮絶なものだったのかもしれません。
東京で一人で生きていくことの大変さを知ってるからこそ、今のアキに響く言葉がわかるのかもしれません。
そんなヒロシの姿にアキは我慢ならず、失踪中のヒロシとユイちゃんのお母さんが男性を歩いているところを目撃したと告げました。
「ありがとう!聞かなかったことにする」
このヒロスの笑顔がね、もうね。
アキの心の荷物を受け取ったこと、でもそれはヒロスにとっても重い荷物であること。
それをアキには感じさせないちょっと切ない笑顔。
能年ちゃんと小池さんの、ほんっと絶妙な表情の変化。
ところで、ヒロシに近況報告しているアキがミズタクに関して言っているこの言葉。
多分、その言葉を勉さんが聞いたら喜ぶと思うし、ミズタクが聞いても喜ぶと思う。
■ミズタク文法あれこれ
先週のミズタク倒置強調文法に引き続き。
ミズタク、熱くなると文法がめちゃくちゃになる問題。
否定詞の位置ぃ…
動詞の活用おい。
■全ては運だった
GMTのデビュー曲「地元に帰ろう」が決まったものの、マメリンのスキャンダルのためデビューが流れてしまいました。
直談判しにいくミズタクに、太巻が言います。
「全部運なんだよ」
少し時間を戻り、「潮騒のメモリー」の真実を知ったアキが春子のことについて鈴鹿さんに尋ねるたとき。
「結局は運よね。その子は運がなかったのよ」
「運」という言葉にしか逃げられない2人。
当時の天野春子は運がなかった。
でもその天野春子という存在が、少なくとも太巻にはずっしりのしかかっている。
夢が断たれそうになり、アキがついに太巻に直談判にきます。
純喫茶アイドルで『天野春子の娘』を誇りに思って、「春ちゃん、娘に夢を託したんだな」って甲斐さんの言葉があったからこそ、今真に迫るアキの表情。
■太巻の語る真実
アキが太巻の隠し子だとかゲスい外野が見つめる先は、ガバイ内野。
防音なので音はもれませんが、なにやらガバい雰囲気。
太巻、アキ、それからミズタク。
「確かに、君のお母さんとは過去にいろいろあったのは事実だ」
「えっ?」
「そっちのいろいろじゃないよ」
でも、そっちのいろいろのほうが、「実は隠し子でしたー」のほうがずっと救いがあったかもしれない。
太巻はさらに続けます。
「潮騒のメモリーを歌ったのは天野春子だ」
驚きを隠せないミズタクに対して、怖いほど表情を変えないアキ。
正宗さんちでコロコロ笑っていた同一人物とは思えない。
太巻が鈴鹿ひろ美の音痴バージョン潮騒のメモリーをおもむろに取り出し、カセットテープにかけ、絶対音感のあるミズタクが悲鳴をあげ。
アキが太巻に尋ねます。
「これが鈴鹿ひろ美の、オリジナルバージョンだ」
「わざとか?」
「わざとか?」のほんの4文字。
それだけで最終週を思い出してハッとする。
視聴者も踊らされてたんだなあって。
しかし太巻は何をここまで頑なにさせているものは何なのか。
「鈴鹿ひろ美伝説に傷をつけることは、おれにはできないできない。どんな小さく、古い傷でも」
太巻は守ろうとしてるのかもしれない。
鈴鹿さんだけではなく天野春子も。
2人が起こした「潮騒のメモリー」という奇跡を。
楽しかった80年代を。
『荒巻太一』はそういうノスタルジーの象徴なのかもしれない。
しかし太巻は「春子が復讐のために娘のアキを送り込んだ」と勘違いをしているようです。
それに対するアキの反論。というか事実。
北三陸での出来事を思い出す言葉です。
ひとつは海女ソニックのあと、春子さんがアキに手をあげたとき。
もうひとつは、お正月ユイちゃんから投げられた言葉。
あのとき上に潰されかけた春子、今アキを潰しかねない太巻。
でも太巻は本当にアキを潰したかったのかな。
この騒動に関わったことを全部まっさらにして、やり直してほしいって思ったんじゃないか。
いろんなものを守るために。
えらく太巻擁護になってしまったんだけど、本放送みてるときと印象が違うんだよね。
平成元年に若春子に太巻がかけた言葉。
「必ず、僕に任せて」は気休めではなく、時間を超えてアキまで届いた。そう思いたくなったきた。
■「アーキーが辞めるなら、うちも辞めたい」
年末年始になんで喜屋武ちゃんが残ったか、なんで一緒に北三陸に帰ったか。
喜屋武ちゃんの言葉が響くなあ。
喜屋武ちゃん、北三陸できちんとアキの笑顔を見たからなんだろうな。
■夢の中で
悩むばかりに、若春子と鈴鹿ひろ美の夢をみたアキ。
「やめて、歌わないで。あたしの歌、あたしの潮騒のメモリーよ!」
声出して笑える場面のはずなのに、じんわりくる。
声を奪われた鈴鹿さんと、名前を奪われた春子さん。
ふたりとも、大丈夫、失ったものをきちんと取り戻すから。
■アキの訛りがとれたとき。
とんでもない夢からさめた直後、北三陸の春子からアキに電話がかかってきました。
そこでアキは不安を漏らします。
「一生懸命やってんのに。もう、帰りたい。ねえママ、アキそっち帰りたいよ。もう帰っていい?いいよね?」
すりガラス、丸まった背中、そして訛りの取れた口調。
真実と現実を抱えきれないアキの痛みが伝わってくるんだよなあ…
■親子3代、画面の位置にご注目。
真実が明かされたとはいえ、一つだけ残っていたことがありました。
それが月曜日に描かれていました。
「なすてママは一回上野まで行ったのに、電車さ乗んねえでパパのタクシーで世田谷まで戻ろうとしたんだ?」
月曜日に若春子が上野で引き返した理由を、「母の脳裏に古い記憶が〜」で語り出す。
『春子‐アキ』と『夏ばっぱ‐若春子』で結ぶ。
締めに『夏ばっぱ‐今春子』に繋げてるのが秀逸な作りです。
(「まれ」も見習ってほしいわ)
この電話のシーン、注意してよく見てみると母の立場にある人はほぼ画面右、娘の立場にある人はほぼ左にいるんですね。
『春子‐アキ』
『夏ばっぱ‐若春子』
『夏ばっぱ‐今春子』
春子が、娘心と母心で揺れているのが画面構成からもわかります。
何が凄いかって、この位置の演出が来週までつながるんです。
で、母としての今春子はアキを励まします。(右)
そのとき思い浮かぶのは、若春子の「このままじゃ終われないから」。(左)
春子さんが東京へ向かうのはアキのため?でもあるけど、若春子を助けに、自分のためでもある。
そして夏ばっぱ。
アキを叱咤する春子を見守ります。(右)
それは、かつて若春子を叱咤したときの自分でした。
あの日、若春子が上野で引き返した理由。
三代のマーメイドのリンクにジンワリ来る。
まあつながってはいますが、同一人物ではありませんし、春子自身の物語も終わっていません。
居ても立ってもいられなくなった春子さん、リアスをユイちゃんに任せて東京へ向かうことにしました。
今度は、笑顔で旅立つ春子さん。あの日見れなかった景色に会いに。
そしてはじまる春子無双。
■鈴鹿さんが北三陸にやってくるそのときは。
鈴鹿さんが北三陸に来る日のことを思い出すとまた含みのある言葉。
再放送でこういう楽しみがあるドラマはなかなか珍しいよなあって思う。
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