妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

千田琢哉『人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。』

2014-12-30 14:46:47 | 読書

私の本の買い方は結構偏っていて、ビジネス本はどうしても苦手意識があります。
「だって私の仕事、ビジネスじゃないし」
読書術や執筆術の本はともかくとして、ドラッガーなんかはどうしても躊躇してしまう。
「だって企画とか営業とか経済とか関係ないし」
そう言って"逃げて"いました。

今もその手のビジネス書への苦手意識はあるのだけれど、
「でも、読んでみようかな」
と思わせてくれたのが、この一冊。



著者の千田さんとの相性は結構よくて、
『20代の勉強力で人生の伸びしろは決まる』もしっくりきました。

別に20代にこだわってるわけではないのだけれど、この何年かで「○○代までに」とか「○○歳までの」とかの年齢制限区切った本が増えたなあと。これもきっとマーケティングなんだろうと思います。

内容は生き抜く知恵や行動力、コミュ力などに分けてそれに応じた『書店/読書から得られること』を紹介してます。その中でピンときたものをいくつか。




・読書とはエロチックなもの。

就活と恋が似ているとはよく言ったものですが、私は読書と恋もよく似ていると思っています。というよりも、読書と食欲、読書と性欲がよく似ていると。私にとって食欲、性欲が恋愛にとって大事な要素なので、「読書=恋」となってしまうのかしら。

2007年6月のエントリ「読欲と食欲」より。

熱っぽいほどに、病的なほどに、本を欲してやまなかった。

食事でもセックスでも本もそう、
「これ!」
と決めたものに出会えたときの快感は果てしなく、そこまで歩んできた苦難の道も忘れてしまう。

食べるように読んでいた幼少期、性欲を満たすように読んでいた学生時代、それを経て『読書とはエロチックなもの』という言葉に出会い、
「こういうことかー」
と唸らされました。




・リアル書店でしか味わえない生きた情報


リアル書店は最寄りの書店が売り場面積も広く取り扱いも多く、店員さんに迷惑がられるくらいに行きつけになっています。仕事帰りでも必ずといっていいほど寄り道しているし、1日平気で6時間くらいいるときもある。

私にとって書店は「情報の渦」です。本そのものの情報はもちろん、陳列や棚差の変化など見るもの読むもの全てが「新しい情報」として脳にグイグイ入ってきます。

陳列やポップデザインなどももちろんなのですが、Amazonでは味わえないのが、そこにいるお客さん。
「へえ、この人がこの本を!」
と意外性があるほど、その本を手に取った背景を知りたくなります。それが自分の書棚にあるものであれば尚更ですし、書棚になければ
「ならばどんな本なんだろう」
と気になって仕方ありません。そんな人との出会いこそが生きた情報です。

やっぱりリアル書店がいいんだよね。

関連:私がKindleを買わなかった理由




・大人の国語は読み間違えたもの勝ち

大学時代に国語講師をしていて高校受験の現代文の指導をしていました、ってのは2008年3月のエントリで書きました。入試問題集でみた課題文が収録されている本編を読んだときの話です。

柿の木坂の雨傘

――活字は本当はもっとずっと高尚なものである。
――誰の気持ちだとか何字以内だとか選択肢なんかない、好きなように読めばいいのだ。


大人になって現代文問題を解いているとそれが読書とは程遠いものだったのだなと感じるときがあります。接続詞、句読点、論法……まるで文章が機械のように組み立てられていると感じるときがあります。

私の中で文章、本とは機械ではなく果実のようなものです。物語の樹の果実。それをどう調理しようと味わおうと、どこにも正解はないし、それを食べるときの心情や体調、環境によって読み取り方が異なってくるのは至極当然のことです。

小説の読解に正解はないんだと今でも思っています。きっとビジネス書でも一緒。もしかして大人になるってこういうことなのかもしれない。

「自分の感想は持たなくていい。作者の気持ちは読み取らなくていい。理解しなきゃいけないのは、問題作成者の気持ちだよ」
それは私自身に言い効かせていた言葉でもあった。


あのころ指導してきた塾生たちは今頃大人の読書はできてるかな。




・本を1冊のケアプランとして


冒頭でビジネス書を敬遠する理由として、介護職なんてビジネスじゃないし、と書きました。確かに力仕事だし業務はルーティン化されてるし営利報酬があるわけではないし、一般的なビジネスからみれば程遠いものかもしれません。

でもよくよく考えたらレクリエーションは立派な企画立案だし、事故防止はリスクマネジメント、利用者に対してのマーケティング調査が必要。何よりあるじゃないか、ケアプランや手順書という企画書が。

そう気がついたら、これまで買い貯めてきた本の全て、小説も何でも、もしかしたらひとつひとつがケアに生きてくるのではないかなと思いました。

そうやって仕事を楽しめたらとってもいいことだ。




なんだかんだ言いましたがAmazonは便利です。欲しいものが確実に手に入る。探し回る時間のロスを考えたら、ネット通販のほうがいいのかもしれません。

けどリアル書店にもまだまだ魅力はあるし、何より本は宝物。それを生かすも殺すも己次第なのかな、そんなことを思いました。

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