8月11日(金)
ひまわりとカスミ草を使ったブーケの注文が入る。
ひまわりは高い位置に置かれ、カスミ草を見下ろしているみたい。
先輩が作ってる姿がとてもかっこいい。
「すごい!!」
注文した高校生のお客さんはとても喜んでいた。
花屋からはみんなが笑顔で帰っていく。
花を持った人はとてもキレイでかっこいいと思う。
誕生日に花束だなんて時代遅れかもしれないけれど、気持ちがストレートに伝わる品物の一つだとは思う。
私も早く仏花とミニブーケ卒業して、きちんとしたブーケを作りたいなあ。
――ていうかひまわり、いいなあ。
「ひまわりの花束っていいですね」
「でもステム(茎)がごんぶとだから手つるんだよね」
「ひまわり畑みたいなあ」
「そうだねえ」
――そういえば北海道にひまわり畑ってあったような覚えが。
あ、行きたい。
うん、行こう。
******************
8月12日(土)
バイト行く前に大塚駅みどりの窓口へ。「今日のムーンライトえちご空いてますか」
「一般車両で残り2席です」
別にわざわざ今日の夜行に乗る必要はなかった。
明日の始発で東北本線を北上しても、青森には到着する。
でもそのルートは2年前と同じだから、今回は新潟から羽越本線で日本海側を北上しようと思った。
お盆だしきついかなと危惧していたら空いてるって。
乗るしかないじゃん。
「私今日から北海道いってきます」
とさっそく先輩に言ってみたら――
「えっ?!なにしに!どこへ!誰と!宿は!」
「えーと…ひまわりを見に…智恵文っていう旭川の上…1人で…夜行列車と漫画喫茶で………」
「…そういえば昨日言ってたね…ひまわり畑行きたいって…」
「はい」
「まさかマジで行くとは。あんたすごいよ」
「あまりいないですけどね、こーゆー人」
「お母さんとか驚くんじゃない?つか心配するって」
「なんかもう慣れたみたいです」
「…それもすごいな」
その日はひまわりを見る度にテンションが上がった。
昼過ぎには雷雨があり、雨の中、外にディスプレイしてある花をしまっているうちに、汚かったコンバースのワンスターがすっかり洗われていた。
ちょうどいい。
少しニヤけた。
バイトから家に帰ったのは9:30。
家ではお父さんの同僚が集まって宴会騒ぎ。
母には切符がとれた朝のうちにメールをしておいてある。
――今回ばかりはちょっと急過ぎたかな。
――怒られても出かけるけど。
――したらリアルに家出になるな。
「あんた本当に行くの?」
「うん」
「北海道っつったってどこよ。札幌?」
「札幌は飽きた。智恵文に行く」
「チエブン??」
「名寄の近く」
「……ナヨロ?」
「あああれだ、新山千春の故郷だろ」
「そうなんだ」
最後の父の発言はあとになって間違いだったと知ることになる。
ともかく父も母もアルコールが入ってしまったため、桶川駅までは自転車。
1時間前に通った中山道をまた走る。
そんなことを考えながら自転車を出していると、酔っぱらってる両親が見送りに外に出てきた。
「おまえ北斗星には乗るなよ。お父さんまだ乗ってないんだからな」
「身内以外の男はみんな敵だと思いなさい」
なんだか吹き出してしまった。
面白い人たちに育てられたもんだ。
ムーンライトえちごには高崎から乗車する。
23時過ぎの下り列車がホームに滑り込む。
まだ籠原行き、高崎行きを待たなきゃならない。
籠原行きから人が降りる。
階段は一瞬賑わって、すぐにまた静寂。
いつもはすぐ階段上がって改札通って自転車乗っての夜だけど、こう人が流れているのをみるとやっぱり駅も生き物だと思う。
次に参りますのは籠原行きー籠原行きー。
ああ眠い。
まだあるんだよな、あと2本。
ほら早く階段上がって、そんなとこで寝てないで。
本日の最終列車でぇーす。
はいおしまい。
ねーおつかれさまー。
駅の独り言を聞いているうちに、すぐに高崎行きが滑り込んだ。
じゃあまたね、5日後くらいに帰ってくるからさ。
おう、楽しんできな。
プスッ。
ドアの閉まる間抜けな音に背中を押される。
持参した旅日記には一昨年からの独り言がつづってあった。
ひとつずつ読み返してみると、ありのままの本音が書いてあることにハッとする。
いつもは渋谷へ向かう線路は私の知らないどこか遠い場所へつながっていて。
白馬…コンビニなくね?
幸せってこういうことだ。
飯田線キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!!
次のデートは思い出自慢だね。
海猿こんち!!
久々に人と話したなあ。
やべえ、昼に火傷した背中がかいい。
悪いけど、なかったことになんかしないから。
案内板あるんならさっさと言えよ。
元気ハツラツ?!オフコース!!
ありがとう、本当にありがとう。
どのつぶやきも私に変わりはない。
ちょっと笑って、ほんのちょっと切なくなって。
昔を思い出しているうちに高崎に着いていた。
ムーンライトえちごに乗れば明日早朝には新潟に着いている。
指定席券を確かめて座る。
すぐ眠りについた。
ひまわりとカスミ草を使ったブーケの注文が入る。
ひまわりは高い位置に置かれ、カスミ草を見下ろしているみたい。
先輩が作ってる姿がとてもかっこいい。
「すごい!!」
注文した高校生のお客さんはとても喜んでいた。
花屋からはみんなが笑顔で帰っていく。
花を持った人はとてもキレイでかっこいいと思う。
誕生日に花束だなんて時代遅れかもしれないけれど、気持ちがストレートに伝わる品物の一つだとは思う。
私も早く仏花とミニブーケ卒業して、きちんとしたブーケを作りたいなあ。
――ていうかひまわり、いいなあ。
「ひまわりの花束っていいですね」
「でもステム(茎)がごんぶとだから手つるんだよね」
「ひまわり畑みたいなあ」
「そうだねえ」
――そういえば北海道にひまわり畑ってあったような覚えが。
あ、行きたい。
うん、行こう。
******************
8月12日(土)
バイト行く前に大塚駅みどりの窓口へ。「今日のムーンライトえちご空いてますか」
「一般車両で残り2席です」
別にわざわざ今日の夜行に乗る必要はなかった。
明日の始発で東北本線を北上しても、青森には到着する。
でもそのルートは2年前と同じだから、今回は新潟から羽越本線で日本海側を北上しようと思った。
お盆だしきついかなと危惧していたら空いてるって。
乗るしかないじゃん。
「私今日から北海道いってきます」
とさっそく先輩に言ってみたら――
「えっ?!なにしに!どこへ!誰と!宿は!」
「えーと…ひまわりを見に…智恵文っていう旭川の上…1人で…夜行列車と漫画喫茶で………」
「…そういえば昨日言ってたね…ひまわり畑行きたいって…」
「はい」
「まさかマジで行くとは。あんたすごいよ」
「あまりいないですけどね、こーゆー人」
「お母さんとか驚くんじゃない?つか心配するって」
「なんかもう慣れたみたいです」
「…それもすごいな」
その日はひまわりを見る度にテンションが上がった。
昼過ぎには雷雨があり、雨の中、外にディスプレイしてある花をしまっているうちに、汚かったコンバースのワンスターがすっかり洗われていた。
ちょうどいい。
少しニヤけた。
バイトから家に帰ったのは9:30。
家ではお父さんの同僚が集まって宴会騒ぎ。
母には切符がとれた朝のうちにメールをしておいてある。
――今回ばかりはちょっと急過ぎたかな。
――怒られても出かけるけど。
――したらリアルに家出になるな。
「あんた本当に行くの?」
「うん」
「北海道っつったってどこよ。札幌?」
「札幌は飽きた。智恵文に行く」
「チエブン??」
「名寄の近く」
「……ナヨロ?」
「あああれだ、新山千春の故郷だろ」
「そうなんだ」
最後の父の発言はあとになって間違いだったと知ることになる。
ともかく父も母もアルコールが入ってしまったため、桶川駅までは自転車。
1時間前に通った中山道をまた走る。
そんなことを考えながら自転車を出していると、酔っぱらってる両親が見送りに外に出てきた。
「おまえ北斗星には乗るなよ。お父さんまだ乗ってないんだからな」
「身内以外の男はみんな敵だと思いなさい」
なんだか吹き出してしまった。
面白い人たちに育てられたもんだ。
ムーンライトえちごには高崎から乗車する。
23時過ぎの下り列車がホームに滑り込む。
まだ籠原行き、高崎行きを待たなきゃならない。
籠原行きから人が降りる。
階段は一瞬賑わって、すぐにまた静寂。
いつもはすぐ階段上がって改札通って自転車乗っての夜だけど、こう人が流れているのをみるとやっぱり駅も生き物だと思う。
次に参りますのは籠原行きー籠原行きー。
ああ眠い。
まだあるんだよな、あと2本。
ほら早く階段上がって、そんなとこで寝てないで。
本日の最終列車でぇーす。
はいおしまい。
ねーおつかれさまー。
駅の独り言を聞いているうちに、すぐに高崎行きが滑り込んだ。
じゃあまたね、5日後くらいに帰ってくるからさ。
おう、楽しんできな。
プスッ。
ドアの閉まる間抜けな音に背中を押される。
持参した旅日記には一昨年からの独り言がつづってあった。
ひとつずつ読み返してみると、ありのままの本音が書いてあることにハッとする。
いつもは渋谷へ向かう線路は私の知らないどこか遠い場所へつながっていて。
白馬…コンビニなくね?
幸せってこういうことだ。
飯田線キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!!
次のデートは思い出自慢だね。
海猿こんち!!
久々に人と話したなあ。
やべえ、昼に火傷した背中がかいい。
悪いけど、なかったことになんかしないから。
案内板あるんならさっさと言えよ。
元気ハツラツ?!オフコース!!
ありがとう、本当にありがとう。
どのつぶやきも私に変わりはない。
ちょっと笑って、ほんのちょっと切なくなって。
昔を思い出しているうちに高崎に着いていた。
ムーンライトえちごに乗れば明日早朝には新潟に着いている。
指定席券を確かめて座る。
すぐ眠りについた。
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