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『べっぴんさん』3週その2.前へ進め、歩いていけ 【第18回追記】

2016-10-24 22:03:46 | 朝ドラの感想
2016年後期BK朝ドラ『べっぴんさん』の第3週のネタバレ感想。


元エリーのシャロやんが妊婦さん役ってだけで視界がにじんだ朝。

前半はこちら。
『べっぴんさん』3週その1.こじょうちゃんとの決別



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●小さいけれどお店を開いてみた


あさやさんのアドバイスを受けて、早速作ってみた。



何かに集中すると時間を忘れてしまうすみれ。
それは初回、第1話でも描かれていた姿でした。

悦子様に引き続き、短いパス回しの伏線回収。
このあたりからまた終盤に向けてのロングパスが出されるかと思うと楽しみ。


材料の革不足で靴の生産がままならないあさやさんの一角を借りて、すみれの『小さなお店』がオープン



やってきたのは時計屋の時子ちゃん、パン屋の綾ちゃん、古本屋の文ちゃん、家具屋の千代ちゃん。
みんなすみれと同世代。

時代が時代、立場が立場とはいえ、若い女性にとっての『かわいいもの』の魅力は変わらないでしょう。
背負ってる赤ちゃんが女の子だったらなおさら。



そこに並んでいたのは何とも可愛らしい刺繍が施された小物類。

「素敵」「かわいい」と言ってくれる、のですが……残念ながら売れることはありせんでした。

そりゃそうですよ。
確かに可愛らしくて素敵でも、それがなかったら生活できないわけじゃない。
現代でも雑貨屋さん入って「わあ可愛い、これ欲しい」と思っても、すぐに財布を取りだして買うか?と言われたら少し考えてしまいます。
ましてや戦後、明日食べる食料があるかどうかの時代ならなおさらでしょう。
「作った!できた!売れた!」になるわけない。
商品を作るまでの過程があって、それを手に取る人がいて、反応があって、落胆もあるのが、本来の姿なのだと思います。
※あくまでも個人の感想です。




●初めてのお買い上げ




そんなところへやってきたのが、ジョン・マクレガーという新聞社勤務の外国人客でした。
本来あさやさんに用事があって来店したのですが、あさやさんは席を外しておりすみれが対応。


「あ…もうすぐ戻ってくると思います。お待ちクダサイ、イエス」
「あっワタシ作りましタ」


ジョンは日本語話せるって言ってるのに、カタコトすみれがめちゃくちゃ可愛いwww
なんだそのジェスチャーはwww


…と思わず笑いつつも、すみれがもしゆりのように英語教育をしっかり受けることが出来ていたら、悔やまれる思いもあり。

ジョンはすみれの品を手に取り、「いい趣味ですね」と褒めるのですが。
そこですみれが「ちょっと待て」と遮りました。


「趣味…?いえ違います。これを売ってなんとか生活していきたいんです」

趣味ではない。
これを本業にして、これで生計を立てていくつもりだ。
私だって変わるんだ。


でもそれはジョンには伝わらなかった様子。


「No chance…」

今のままでは売れないだろう、といったニュアンスでしょうか。
すみれには伝わっていないでしょう、辛辣なジョンの言葉。
母国語というオブラートに包む優しさが切ない。


それでも身重の妻のために買っていくというジョン。
値段を聞くと、すみれの口から「値段はまだ考えていない」という爆弾発言。

ってすみれおいおい価格設定もしてないのかよ。
商才とか商売感覚とかのレベルじゃねえ。




●こんな贅沢品を誰が買うというのか


それから1週間、ジョンに1品売れたのを最後にちっとも売れなかったすみれの刺繍商品。



偶然ながらそこにやってきたのは、明美ちゃんでした。
すみれは少女期のことは覚えておらず、「クリスティーナのお屋敷で会ったナースさんだ」と声をかけるのですが……

「一度お会いしたことあるんです」
「一度とちゃうわ」


すみれは忘れてますが、見ている方はよく覚えている。
一度どころじゃない、四度目の明美ちゃん。

クッキーをあげて傷つけたこと。
迷子になったとき、あさやさんまで送ってもらったこと。
マツさん(明美ちゃんのお母さん)が坂東家を解雇されたとき、すぐそばを鮮やかな傘で通りかかったこと。
それからクリスティーナのお屋敷で、何の疑いもなく粉ミルクを分けてもらっている姿を見せたこと。

すみれはクリスティーナと一緒の姿しか覚えていないけど、明美ちゃんは全部覚えてる。
明美ちゃんからしたら行く先々に姿を現しては、感情掻き回してくる。
心底「ここで何しとんの?」でしょう。



で、多分あさやさんは気付いてる。



「誰が買うねん、こないなもん。みんな食べるのも困っとるのに生きてくだけで必死やのに。誰がこんな贅沢品買うん?」

おまえが作っているのはあのクッキーと同じ、野菜と同じ、自己満足だろう?
それはただのこじょうちゃんの『贅沢品』だろう?

そんなことを突きつける明美ちゃん。

「贅沢」と思っているんですね。
すみれの商品自体は認めているんですね。


確かに、生きるか死ぬかってときじゃなくても、毎日必死で大変で切羽詰まってるときにはなあ。

状況は異なるのですが、『あまちゃん』の「震災のときの娯楽に対する風潮」を思い出しました。
(→『あまちゃん』23週、まとめその1.あまちゃんの描いた東日本大震災 )

娯楽がなくても、手作り品がなくても、水や食料、医療があれば命は救われる。
でも心を救ったのはその娯楽に込められた特別な思い。
すみれの行き着く先はやはり『別品』なんだなあと。


これは深読みのしすぎかもしれませんが……
明美ちゃん、すみれへの確執の他に看護師つまり医療職の矜持があるんじゃないでしょうか。
「あんた、その針と糸で命は救えないでしょう」って。
今最優先するのはまず生きること。
でも人生の質や心の豊かさを高めていくには、すみれの前にある品々が必要。
すみれとの再会が、明美ちゃんの成長にもつながるといいんですが。




すみれは言葉を失って返す言葉もありません。
だって明美ちゃんの言うとおり。
確かにジョンは買ってくれたけど、すみれは誰かのことを思って針を刺したわけではなかった。
それは趣味の延長で、ただの贅沢品。



●すみれと栄輔


働くという発想がなかった。
自分で作ったものを売るという発想がなかった。
値段をつけるという発想がなかった。
なかなかけったいなレベルのお嬢様。

これじゃあ明美ちゃんがイラッとくるのも当然。

このままだと怪しい壺とか買わされそうだし、騙されるの時間の問題だから、誰か商いのこと教えたげてよ。
ああそうだ!五十八パパは……
ああそうだ、メンタルやられてんだった……
潔でもゆりでもいいからさあ……


おお潔ちょうどいいところに!
※不審者ではありません


潔の横の新たなるイケメンは、岩佐栄輔。
復員列車で潔と一緒になった弟分のような存在。

すみれと栄輔。
野上夫妻のバラックで会っていました。
すみれの年齢を知り、亡き妹の姿を重ねる栄輔。


「俺の死んだ妹と一緒や。こないな言い方変やけど死んでもうたら何にもならへん。生きとうても生きられへんかった妹の分まで頑張ってほしい」

栄輔、いったい何者。
(モデルは後にメンズファッションブランドVANを創業する石津謙介さん説が有力)



●シャロやん!エリー!


また別の日。
ジョンが再来店して、「ワイフが喜んでいた」とすみれに告げます。
その言葉にまた喜ぶすみれ。
「奥さんのために何かを作らせてくれ、たとえばオムツとか」とジョンに提案。



ジョンの奥さんが、エリーじゃなくてエイミー。
『マッサン』で亀山エリーを演じたシャーロットケイトフォックスさん。


すみれは喜世さんと一緒にこしらえた布おむつを届けにマクレガー邸を訪れるのですが……

 
「こんなものいらない」
「日本になんか来るんじゃなかった」


おう…
シャロやんに「日本に~」と言わせるとはなかなかパンチが効いている……


しかしすみれからしてみれば「??」な状況。
明美ちゃんの言葉を受けて、贅沢品ではない必需品を作ってみた。
出産を控えた奥さんと生まれてくる赤ちゃんのことを思って作った。
そんなおむつだけれども、見るなり「何これ?いらない!」と言われてしまう。
(こんなん私挫けるわ……)



いくら想いを込めて作っても、それをお客さんが望んでいなければ想いも何も伝わらないのでしょう。


エイミーが抱えているのはまず妊婦さん特有の精神的な不安。
それから異国で出産するという不安。
すみれが出してきたのは和式のおむつで、西洋式のおむつとは大きく異なったため、より不安とイライラが高まってしまったのでしょう。


すみれも、確かにクリスティーナの屋敷で西洋式オムツを目にしているのですが、あくまで遠目から。
家でいろいろ試しはしたけれど「???」で終わってしまって、そのまま戦争が激化してしまったから、記憶に焼き付いているわけもない。
むしろさくらの出産を控えながら過ごした幸せな時間の中で、喜世さんに教わって作った和式オムツのほうが印象に残っているのだと思います。

ただ今回はそれが裏目に出てしまった。
誰が悪いわけでもないんだけれども、事態が悪化していってしまう。





●新しい闇市、新しい主人公




落胆して歩く闇市の端。
すみれの前にお腹を空かした復員兵が倒れ込みます。
そばの塀に座っているのは痩せた子ども。



片腕をなくした復員兵。
大人の靴を磨く子どもたち。

生と死が隣り合わせ。
これまでの朝ドラでは見たことのない闇市が広がっていました。


彼らに比べたらすみれはまだ恵まれているほうなのかもしれません。
豪華なバラック。
夫は帰ってきていないけれど家族は生きている。
女中の喜世さんもあさやさんもいる。

でも、すみれは今追い詰められている。
それはなぜだ。

さらっとさりげなく映り込んだ闇市の様子が、見ている者の心に問いかけてくるような気がします。







ゆりの置かれた状況も、すみれによく似たものでした。



ゆりが住むのは、大阪の闇市の一角のバラック。
潔がそばにいるとはいえ、いや、いるからこそ「姉ちゃん、何様や」と絡まれる緊張の日々。
そのゆりもまた限界でした。



どんなに辛くても、坂東営業部の再興までは泥水すすってでも生きていかなきゃならない。
五十八と名倉、ふたりの父のために立ち上がるんだ。
そう励ます潔は確かに力強いのですが、ゆりが息切れしてそうで。

誰も悪くないのに状況が悪化していく。




『てるてる家族』でも『ごちそうさん』でも、「活気のある闇市」「生き抜く女性たち」が描かれていました。
座り込んでしまう/倒れ込んでしまうヒロイン姉妹ってのは、BKとしては本当に新しい挑戦だなあと改めて実感します。

『マッサン』や『あさが来た』では闇市や登場していませんが。
政春&エリー、あさ&はつ、いずれも『べっぴんさん』のゆりとすみれとは違う姿。
「新しいヒロイン」であるゆりとすみれの二人が覚醒するのか、それとも新境地を開拓するのか。




●家族がいる、それだけでいい


ところで。
「五十八パパはどこに行ってしまったんだ?」というささやかな疑問。

五十八パパ、潔の励まし届かず、忠さんと一緒に近江に帰っていました。

五十八パパが他の面々と大きく異なるのは、神戸・大阪にこめられた思い出が焼け落ちるのを目の当たりにしているということ。
想像もできないのですが、想像を絶するショックと喪失感が、五十八を襲っていたのだと思います。


「一番苦しい時に何もしてやれんやなんて…」

確かに、すみれに商いのあれこれを教えてあげてほしいけれど。
そんな直接的援助の前にまずは自分が立ち直らなければ、で近江に引っ込んだのでしょう。


「離れてても心配してくれる家族がいる。それだけで違うもんやと思いますけど」
「(それだけで)ええんです」


そんな五十八に忠さんがいてくれて本当よかった。



●諦めたらそこで終了だよ


時計屋の時子ちゃん、パン屋の綾ちゃん、古本屋の文ちゃん、家具屋の千代ちゃんがやってきました。
ワイワイ騒いでるうちに、すみれが刺繍商品の作り方を教えることに。



まっすぐ刺して、まっすぐ引く。
はなから教わった作り方を丁寧に教えていくすみれ。

「物が売れないなら技術を売ろう」で、方向性としては合っているすみれの行動。
しかしそのあとが問題でした。

4人のお母さんたちが「現金は出せないんだけどお礼に…」と出してきたものは。

・時計屋の時子ちゃん→砂時計。
・パン屋の綾ちゃん→コッペパン
・古本屋の文ちゃん→辞書
・家具屋の千代ちゃん→木彫りの熊



い、要らねえ……
唯一「おっ」となるのはコッペパンくらいじゃねえか……

砂時計ってあれか、『あさが来たの』五代くんのアレか。
ほんで辞書は『花子とアン』のアレか。
コッペパンは…『てるてる家族』のか。
木彫りの熊は『マッサン』で出てきてそうだけど……

いや、過去朝ドラオマージュしてても今は要らねえ!!
(特に熊)



お礼の品で出されたのが『不用品』っていう現実。
ならば自分の作っているものもきっとそうなのだろう。


奥様たちも悪いわけじゃではありません。
出来る範囲でお礼を、と技術が無償ではないことを知っています。
ただ今のすみれには明美ちゃんの言っていたこと、エイミーの言っていたことが時間差で突き刺さっていました。


そんなすみれにあさやさんが淹れたのは、思い出のシナモンティー。
いい匂いのするシナモンティー。
しかしシナモンスティックは残りわずか。

それを手に取ることなく、ぼんやりと見つめて。
すみれは呟きます。


「もう…潮時やろか」

あさやさんの靴は生活必需品です。
戦後に新たに始めた下駄もまた必需品。

でも自分がやっていることはどうやらそうではないらしい。

コッペパンにはなれない。
すみれの心もすり減っている。


「どこに辿り着くかもわからへん。そやけどな、何もせえへんかったら見つからへん。そういうもんや思います、人生は」

息切れしたすみれを支えるように。
穏やかな口調で、励ます人生の先達。
生きていくことは、シナモンティーのように甘いだけではない。
どこかに刺激が隠れている。
でもそれを恐れていたら何も見つからない。
ああ、あさやさんがそばにいてくれてよかった。

すみれ、喜んでいいんだよ。
お礼の品が何であれ、まずは4人のお母さんらの笑顔があった。
もちろんそれで食べていけるわけではないけれど、まずそれは第1歩だよ。


しかしあのお礼の品々、単に過去作オマージュってだけなんだろうろか。
コッペパンは言わずもがな、純粋に食料になる。
砂時計は、過去・現在・未来の時間を表現。(そういえば時計の針の音が聞こえない)
辞書はあれ使って英語の勉強ができて、商売に役立つはず。
木彫りの熊はあのファミリアの熊さんのモデルに……
うーん、気になるところです、特に熊。




●もう、こじょうちゃんじゃない


気持ちの疲れを感じている坂東姉妹。
すみれがゆりと潔の元を訪れました。
洋服や鞄を売った代金を受け取るすみれに潔は声をかけます。

「わしはすみれちゃんのことを追い詰めてしまったんやないやろか。働かなあかんやなんて」

潔の脳裏には、亡き父の残した言葉と倒れ込んだゆりの様子がよぎったのでしょう。
坂東家あっての野上家だったこと。
だからこそ坂東営業部も坂東家も守らなければいけない。
そんな父の言葉。


潔の言葉を一瞬噛みしめながらも、すみれは強く否定しました。


「そんなことない」
「ごめんね。私は大丈夫や」


すみれの目には、亡き母の姿が、耳には声が届いていた。


「どんなに辛い思いをしても、笑顔に変える力をくれる人が、前に進む力となってくれる人が、勇気をくれる人たちがいる。それが人生の宝なのですよ」

母の言葉は優しく天から励ますように。
(ぬか床スタイルですな)

すみれの人生の宝物に、笑顔を見せて。
父に、あさやさんに笑顔を見せて。
紀夫に、娘を守ることを誓って。

私は大丈夫、歩いていける。
みんながいるから歩いていける。
もう前かがみで猫背で怯えながら歩く『こじょうちゃん』じゃない。



「がんばれ、すみれ」

一歩ずつ踏み出していく。
辛いことや不勉強なこと、不慣れなこと、人をいらつかせてしまうこと、間違いもあるかもしれない。
でも周りの人たちに支えられながら歩いていく。
2週が高速展開だったからこそ、すみれ目線の丁寧な時間経過がしみる。



すみれ目線と言えば、カメラワーク。
見てて「おっ!」となるので面白いです。

……潔の顔半分にだけ光がガンガン当たってるのは何を暗示しているんだろう。




●第18回



華やかな緞帳が開くオープニング。

すみれの人生の幕が開けることの象徴でしょうか。
挫けない、負けない。
いよいよ動き出す。




●おしめの答え


刺繍教室、とにかく腹が減っている奥様方の話題は最近の家事。
そのやり取りの中にヒントがありました。


・一番大変なのは、おしめの洗濯
・外国に便利なおしめがあって、とても洗濯が楽らしい。


それはすみれの記憶を呼び覚ますものでした。
戦争が激化する前、クリスティーナのお屋敷で遠目からみた西洋式オムツ。

「これはもしかして」と勘付いてたすみれ。
あの日、エイミーに持っていったのは日本式のおしめでした。
もしかして彼女は西洋式オムツ望んでいたのではないか。


さっそくマクレガー邸を訪れるすみれ。
さくらを連れて、日本のおしめと西洋のおしめのちがいを説明します。
エイミーが求めていた答えはやはり西洋式おしめでした。


「四角いおしめですか?」
「イエス!」

エイミーはジョンの通訳を介して、前回会ったときすみれに激昂したことを謝ります。
その理由はマタニティブルー、母になる事への不安でした。

「私の姉が言っていました。『なくすのが悲しくなるほど大切なものがあるいうんを幸せいうんだ』って」


ゆりの祝言前夜に話していた言葉でエイミーを励ますすみれ。
不安な気持ちもある、でもそれより大きな幸せが待っているんだよ、と。


「大丈夫。きっと元気な赤ちゃんが生まれますよ」
「サンキュー。アリガトウ」


エイミーは日本語で感謝の意を伝えました。
彼女はすみれに心を開いたのでしょう。

悩めるお母さん・エイミーと出会うことで動き出すすみれの人生。




●思いだせ


ところで、西洋式おしめ。
クリスティーナの下で指導していた『育児のエキスパート』である明美さんに話を聞きたい。
すみれが思いだせるのは、先日来店した女性であること。
あさやさんの近所に住んでいて母一人子一人で暮らしているということ。

これにピンときたのが喜世さん。


「あの明美ちゃんやろか?女中のマツさんの娘さんの…」

喜世さん情報で、明美は看護学校を経て現在は六甲中央病院で看護婦をしていることが明らかになります。






奥さん4人組がお腹を空かしているように、すみれだってお腹が空いている。
エイミーが異国で寂しいように、すみれだって紀夫不在で寂しい思いをしている。



奥さん4人組にはそれぞれの友達がいるけれど、すみれはまだ君枝ちゃんや良子ちゃんと再会できていない。
エイミーは異国で寂しいけれど、すみれからしてみれば紀夫はまだ帰ってきていない。

持つ者/持たざる者の線がクローズアップされる帰り道、すみれが見かけたのは復員兵と再会する家族の姿でした。


「さくら、お父さんよ。お父さんに会いたい?」

紀夫はいったいどうしているのか。
帰ってくるまでこの子を守ると決めたけれど、寂しいものは寂しい。

2週、短いながらも幸せそうな2人の新婚生活があったからこそ感じるすみれと紀夫の愛です。




●子どもの顔が見たくなるとき




そんな寂しさを抱えながらも、すみれは神戸中の病院に明美を探す毎日(六甲中央病院にはいなかった)。
すみれ不在の家にやってきたのは、ゆりでした。
さくらの顔を観たくなったというゆりを、喜世さんは少し心配に思います。


「子どもの顔が見とうなるいうのは、心が疲れとるときやないかと思いまして…」

はなは他界、五十八は近江。
でも喜世さんがいる。
家族以外の先達がいるというのは、何とも温かい。



●五代くん案件


別な日。
すみれ宅にお客さんがまた一人。


栄輔さん、ちょっとうさんくさい。


いや、かなりうさんくさい。



ときめいているようだが、なあおい。
それは人妻だ。


めちゃくちゃかわいいが、なあおい。
人妻だからな?


今日も今日とて明美を探しに病院をまわるというすみれを送っていくという栄輔。


「青春や!」

おまえは何を言っているんだ。


なるほど……
栄輔さん、さては五代くん案件ですね。




●再会、そして


ときめき栄輔さんはとりあえず放置しておいて。
すみれがやってきた病院に、明美ちゃんはいました。


「お仕事中にごめんなさい。お願いがあるんです」
「明美さんの言うように、このご時世に贅沢品が売れる思うてた自分は甘いと思う」


ならばに不要品ではない、ニーズのあるものを求める人たちに作りたい。
すみれは明美ちゃんに西洋式おしめの作り方を教えてくれないかと頼むのですが……


「嫌や」
「あんたほんまお嬢さんなんやな。苦労したことないからそんな風におもえるんや。ほんまに甘いわ」


だよねー
(そんな気はしていた)

一難去ってまた一難。
人生そう簡単にうまくいくもんじゃない。

でも、一歩ずつ進んでる。
がんばれすみれ。




1週、初恋から終戦まで『周囲/時代』に流されるままに、猛スピードで過ぎ去った戦前と戦中。
戦後ターンに入り、すみれは自分の足で動き出します。
紀夫を待つこと、思い出を切り売りすること、自分自身で働くこと、問題解決のために動くこと。
小さな小さな1歩ながら、動き出すすみれをそっと応援したくなります。



●おまけ、その頃テレビの前の亀山政春は


『マッサン』で亀山エリーを演じたシャーロットケイトフォックスさんが朝ドラ再登場。
エイミーという妊婦さんの役。

『マッサン』の中のエリーは、階段から転落してしまったことで流産、出産することはできませんでした。
のちのエマとなる女の子と養子縁組。
そんな『マッサン』の思い出もよぎってか、「エリー、よかったね」と目頭熱くなりました。

そんなシャーロットさんの再出演告知、さらにはその役どころ。
もっと言えば、エイミーの旦那・ジョンの帽子。
「ああ、シャロやんも亀山夫妻も『マッサン』という作品も。作った人たちに愛されてんだなあ」と。













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