『あさが来た』15週「大阪の大恩人」の長文ネタバレ感想まとめ、その2。
チーム加野屋とBKの遊び心が本領発揮。
前半はこちら
→『あさが来た』15週、その1.トモちゃんシンちゃん、十人十色の生き方、雁助さんの揺るがない思い
関連リンク
・『あさが来た』14週、ふゆに降る雪、亀助さんのど根性、日本一短いプロポーズ
・『あさが来た』、ロスってる暇はなかった年末年始まとめ
・【腹筋が】『あさが来た』前半まとめ4.草生えたあのシーンこのシーン【崩れる】
・【化粧が】『あさが来た』前半まとめ3.感動のあのシーンこのシーン26選【崩れる】
『あさが来た』1週~13週他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
他民放ドラマ、NHKスペシャルはこちら。
・少々真面目で結構ゲスいテレビっ子の備忘録まとめ。
■雁助さんとうめさんの行方が読めない、その2
おまえら付き合えよ!て言いたくなるくらいのじれったさ。
細かな描写の積み重ねで予告のお湯ドン(正月予告の)に向かってる。
でもそのあとが予想できない。
雁助と亀助、うめとふゆで対比になるのか、それとも相似で魅せるのか。
「たまには自分を大事にし。まあわてもやけどな」
こんなこと言われたら惚れるだろうが!
もう付き合っちゃえよ!!
それにしても「たまには自分を大事にし」って台詞。
字面通りうめさんにも雁助さん自身にも、物語全体にもかかってるのがすごいわな。
■榮三郎、あさ、新次郎が動く
炭坑から帰ってくるなり五代さんの行方を尋ねるあさだけども。
榮三郎の中に正吉さんが見えた気がする。
やはり8代目だ、と。
榮三郎がいるから、場が落ち着く。
昨日の雁助さんの「買い足そうと爆発させようともう尻拭いはしない」っつーシビアな言葉が、『口論』にならないで済んだのかもしれないと。
これが貫録かあ。
「来てくれはっておおきに」
「そやけどお店でもめごとは堪忍だす」
五代くんを探し回ってやってきた晴花亭。
スイッチオンしかけたあさも炭坑のピストルを思い出す強さがあった。
それを止める美和さんも彼女らしい「柔らかい強さ」もよかったなあって。
青臭いことを言うならこれが『友達』ってやつなんでしょうね。
顔を隠して会議に参加、正体バレて「あんた何してんの?!」と言われて。
「いやいや一応さ、ほらさ」と言いつつも、多分内心は五代くんのこと心配してる新次郎。
新次郎ああなんて新次郎。
雁助さんうめさんの横話を、五代さん週にかぶせてきているあたり、雁助さんと五代さんの対比があるんじゃないかと深読み。
今週の週タイトルが『大阪の大恩人』と来週は『道を照らす人』、どこかに正吉さんがいる気がする。
■新聞の影響力
「この新聞いうのん力は大きおます。
こない煽り立てるような字ぃ並べただけで、あっさり人を悪人にできる。えらい怖いことだす」
マスコミ批判ぶっこんできたけど、新聞の影響力って今も昔もあまり変わらんのだなあ……
文字を扱った流れがこの日につながるとは……。
■『日本中の人気者』
「欲張ってしもたんやろけどなあ。これで日本中を敵に回してしまいましたがな」
よくよく考えたら雁助さんと五代さんの絡みはほとんどない気がする。
この雁助さんの大阪商人たちとはまた違う反応がとても新鮮。
「こない日本中の人気者になってしまうやなんてなあ」
「結局政治の争いに利用されたというわけか」
「日本中を敵に回した」と雁助さんの言葉と「人気者になってしまった」という五代さんの自虐的な言葉。
大久保さんさえここにいれば、と思いつつも。
黒田氏と五代さんもまた薩摩言葉で盛り上がってたのかなあとか。
史実を通して、そこに生きた人たちを思わせてくれる作りがお見事だなあと。
「私は大阪商法会議所会頭を辞任する」
五代さんが責任と汚名を全部背負うことで、五代さんにとっての子供である大阪商人を守ろうとしてるんかな。
■アイスブレーク
「五代様、おなか黒いの?」
「わてもまだ裸の付き合いまではしてへんさかい、見た事あれんよってなぁ」
千代の言葉に「実際に見た事ないからわからない」と新次郎。
あさや新次郎自身に対して「自分の目で見てきたもの、聞いてきた話を信じろ」って言い聞かしてるのか。
年末の出来事や、コントロールできない話。
トモちゃんシンちゃんの流れからして「待てこらww」となったのは多分アイスブレークなんでしょうね。
「よっしゃもう一回や。ご苦労さんて」
この放送日は1月14日、あさのモデルとなった広岡浅子さんの命日でした。(1919年1月14日)。
(新次郎役の玉木さん、亀助役の三宅さんのお誕生日でもあり)
■働いたら負けかなって
「何でだす?何でお父ちゃんは働かへんのだす?」
千代砲に新次郎のガラスのハートがパリンと。
確かに、新次郎が商売嫌いというトラウマは、サトシ事件でもう解決しているわけで。
しかし新たなたまり場となった加野屋前のままごと広場。
見れば見るほどじわじわくる新次郎のモノマでした。
■謝罪とは
「今話をします!落ち着いてください」
北海道から戻った五代さん。
いつも決まってる髪型が乱れてる、めちゃくちゃ急いで大阪にきたんだろうな。
「私は言い訳をするつもりはありません」
「全ての責任は私にあります」
現代のどこかで観たことのあるような謝罪会見。
「黙ってたらわかりまへんやん!言うとくれ!」
「何か言うとくなはれや!」
「なあ答えとくなはれや!」
大阪商人たちの『何でだす』への答えを出さない五代さん。
謝罪ってなんなんだろうと。
■開拓使官有物払い下げ事件
五代さんに罵声を浴びせる大阪商人に激おこなのはあさ。
「1400万が39万は1/30」の山屋さん計算ミスあたりから堪えていたようなスイッチが入ったあさ。
睨み利かせて声を上げて計算ミスを指摘するあさがあさらしくて好き。
「それから五代様!あなた様も何だすか?!」
「言い訳するつもりはありませんて、かっこつけて……かっこつけてる場合やあらしまへん!」
久しぶりにあさがかっこよく見えました。
でも口ごもる五代さん。
「せやけどこれは……」
「そうだすなあ」
五代さんが読みこんでいた北海道開拓事業の資料を持って登場する新次郎。(水色の字幕)
新次郎はどこのタキシード仮面なのかと。
「これ全部説明するのは面白ない言うか、面倒くさいことだすなあ」
あさ一人で五代を助けるわけじゃない、ってのがいいんだよな。
新次郎の涼しそうな表情で、加熱した室内が落ち着いてくのわかりやすい。
うーん、いいパス。
事業報告書を持ってきて、北海道開拓計画の実情を大阪商人たちに伝える。
「面倒くさいこと」だから各自読んでくれ、と。
「ぼんくらの自分にはよくわからないけど、お商売に明るい皆様にならわかるはず」
と配布。
どこの出来る部下かと。
「(これまで費やした事業費が)全部無駄になる。そない思た政府は、商い上手の五代さんに開拓を依頼した」
当時の北海道開拓は元々超赤字の事業で、政府にも手が負えなかった。
それをどうにかしようと開拓使長官の黒田氏は、同郷の政商・五代友厚に事業を委託した。
そんな難事業に払える限度は39万だった。
それが『36分の1』の真相。
「五代さんはそない思てくれはったんだす」
「日本一商いのうまい大阪商人だす」
そして榮三郎にパス。
あさが訴えかけた「まずは信じよう」という言葉。
新次郎の持ってきた「これが真相なんじゃないか」という推理。
榮三郎、加野屋8代目当主が落ち着いてまとめあげる。
これに対して五代さんは是とも非とも言わない。
新聞で広まったスキャンダル。
日本全国の信頼を取り戻すことはできない。
でもチーム加野屋のおかげで、大阪商人の信頼は取り戻した。
「水くさいいこっちゃがな」
ラストに山屋さん。
最初に場を落ち着かせて、「水くさいなあ」っていう義理人情。
五代さん、険しい顔が少し落ち着いて泣きそう。
でも泣かない九州男児。
そんな五代さんに新次郎が投げる。
「さあトモちゃん!」
これでも会頭を辞任するのか?と問いかける。
「生涯を懸けてこの町の繁栄のために尽くします!」
この後、五代さんは大阪の発展に力を尽くす。
しかしその生涯はもう長くないとか考えると辛いものはある。
現実、こんなにうまくいくはずないとはわかってるけど、
8代目の貫禄が出てきた榮三郎が「五代さんの話で気になってることがある」と話していたことや
新次郎が珍しく新聞を熱心に読んでいたことなどの伏線が繋がってるから、スッキリする。
歴史上の官有物払下げ事件が本当に五代友厚の汚職事件だったのかはわからない。
でもドラマの中ではこれでいいんじゃなかろうかと。
というかこれ以上つっこんだら、あさちゃんが鹿鳴館あたりで暴れまわり以下略
開拓使官有物払い下げ事件ってこのドラマで初めて知ったんですが、あれこれ読めば読むほどよくわからなかったです。
多分本当のことは新たな史料でも発見されない限りわからないんでしょう。
近年の研究では五代友厚は「巻き込まれた」だけだったとか、諸説あるようで。
「この作品における解釈はこれ、本当のことはわからないんだけどね」
ってのをまさかのまさかの新次郎解説で教えてもらうとは。
「それにしても世論がこの話潰さへんかったら、誰も損せず北海道も大阪も政府も日本も、みんなええ思いできたかも分からへんのになあ」
じんわり描く心情もいいけど、さくっと刺してくるブラックジョークが好き。
しかし気になるのは…
榮三郎が立派→雁助さんが加野屋にのこる理由がなくなる、ということなのか?
■時間の流れ
そんな騒動からまた歳月が経ち……
「8年後に国会いうのが出来るんやて」
「時の移り変わりは速いもんだすな」
何てことのない台詞だけど。
明治14年の政局の流れが、市井目線では、主観的な「早さ」ではなく速度のある時間の流れとして「速さ」と。
字幕芸上手い。
「格別な奥さんだす!」
笑いながらあさを抱き上げる新次郎。
そういえば店頭に殺到する客の前に、「格別なおなごだす」とあさを立たせたのは新次郎だったな、と。
あさも格別なおなごから奥さんになったのだな、と。
(波瑠さんスリムとはいえ身長あるから、玉木さんの腰が心配になった一瞬)
■それが男というもの
五代さんと新次郎はすっかり仲良し。
「シンちゃんもそろそろどないですか?」
「は?」
トモちゃんシンちゃんに笑っちゃうのは、やっぱり時代背景的に利害関係のない『友達』ってのが新鮮だったせいもあるんだろうなあ。
先週の亀助の『惚れた女は必ず守る』、
五代さんの『手に負えないものほど追い求めたい』、
新次郎の『筋の通ったかっこいい男と思われたい』とそれぞれ理想の男性像を描いてる。
さて問題の雁助さんの男性像はどう描くのか。
■音
新次郎の三味線と、あさのそろばんの音。
これが白岡夫婦の音。
一貫してこの音が響いてきたんだね。
美和さん五代さんも素敵。
■お雛様
桃の節句となりました。
ハイパー大富豪・今井の実家から届いたお雛様はガチで豪勢。
(小道具の皆さんおつかれさまです)
ていうかよくよく考えたら超豪勢な今井家の雛人形で相撲やら剣術やら遊ぶわ、
ヅラを外すわ、扇の代わりにそろばん持たすわ、
なかなかやらかしてるヒロイン(何を今更)
千代の
「お母ちゃんはめびなさまよりおびなさまみたいや」
という言葉。
昨日のチーム加野屋で先陣切って啖呵切るあさに「かっけー!」と思わせてからの「おびなさまみたい」と。
千代ちゃん見透かしてるみたいな聡明さがある。
■「あさは泣きました」
さちさんが持ってきたのは、去年の千代の七夕飾りの短冊。
「ラムネが飲んでみたい」
「お母ちゃんといっぱい遊べますように」
ラムネは今年のもの、お母ちゃんとは去年のもの。
あさは当然これを今知って……
「あさは泣きました」
短いナレーションが響く押入れの中。
1年間、我が子の思いに気がつかなかったこと。我が子が成長していたこと。
色んな事が脳裏によぎってるのかな。
男雛様のようだ、と言われたあさが流す涙。
幼いあさがお嫁になんか行きたくない、パチパチはんが欲しいと泣いていたように。
千代がお母さんへの気持ちを堪えていた涙なのかな。
この短いナレーションと押入れの場面が見事過ぎて。
あのときのあさには新次郎が『一番欲しかったパチパチはん』を渡してくれた。
でもあさは千代に、千代が一番欲しがっていたものをあげることができなかった。
千代には雛人形を母と一緒に飾り付けた記憶がない。
パチパチはんを手に入れたことで加野屋の商いでお家を守り、
もちろんその中で千代という家族を迎えたのだけど。
それでも手に入れられなかったものは千代と過ごす思い出。
15分頭に炭坑シーンが入ることでそれら際立つし、年末に「欲張りだす」と言ったよのさんの言葉が今になって響く。
■フラグが立ちました
新次郎のことを「ほんまはもっと大きい事のできる男やないかて」と評する五代さん。
新次郎の社会での活躍を一番見たい人は五代さんなのかもなあ。
でも新次郎が紡績事業で活躍するとき、五代さんはもうそこにはいない。
手に負えないものこそ追い求めてしまう五代さん。
うーん、この五代さん。
「どうかこのことは内密に」
病魔に襲われる五代さん。
糖尿病による動脈硬化が進行しているのでしょうか。
作中では今明治15年。
五代友厚はこの後衰弱し、東京の自邸で息をひきとります。
没年は明治18年。
その3年間は次週『道を照らす人』で描かれる予定。
……来週に最高視聴率行きそうな気がする。
■タイムトラベラーな写真屋さん
そんな五代さんのことを、今はまだ何も知らないあさと新次郎。
家族写真の撮影会。
ちょ、余市の写真屋さん何してるんwww
千代と一緒に遊ぶことが出来なかった。
そんなあさの心情を思うと、この写真シーン(師匠が出落ちでかっさらったけど)もグッとくるものがあるなあ……
■来週の『あさが来た』は…
次週『道を照らす人』
はつさんの再登場、へぇさん登場。
歓喜と爆笑の予感。
雁助さんとうめさんも大きく動く模様。
五代さんの砂時計の砂は残り僅か。
なんかもう盛りだくさんだな!!
それにしてもこの流れだと、五代さん雁助さんが同時退場なのかもしれない。
その穴はでかいぞ……
■あふれでる大河感
と思ったら、1月15日(金)に制作陣から、追加キャストが発表されました。
→新たな出演者を発表しました!(パチパチはんのスタッフブログ)
詳しいことはリンク先にも載っているのですが……
大隈重信役に高橋英樹さん。(2月18日から)
大隈綾子役に松坂慶子さん。(2月18日から)
東柳啓介役に工藤阿須加さん(2月23日から)
田村フナ役に高橋由美子さん(3月2日から)
高橋英樹と松坂慶子が並ぶ朝ドラ。
大河ではなく朝ドラ。
■雑感
チーム加野屋とBKの遊び心が本領発揮。
前半はこちら
→『あさが来た』15週、その1.トモちゃんシンちゃん、十人十色の生き方、雁助さんの揺るがない思い
関連リンク
・『あさが来た』14週、ふゆに降る雪、亀助さんのど根性、日本一短いプロポーズ
・『あさが来た』、ロスってる暇はなかった年末年始まとめ
・【腹筋が】『あさが来た』前半まとめ4.草生えたあのシーンこのシーン【崩れる】
・【化粧が】『あさが来た』前半まとめ3.感動のあのシーンこのシーン26選【崩れる】
『あさが来た』1週~13週他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
他民放ドラマ、NHKスペシャルはこちら。
・少々真面目で結構ゲスいテレビっ子の備忘録まとめ。
■雁助さんとうめさんの行方が読めない、その2
おまえら付き合えよ!て言いたくなるくらいのじれったさ。
細かな描写の積み重ねで予告のお湯ドン(正月予告の)に向かってる。
でもそのあとが予想できない。
雁助と亀助、うめとふゆで対比になるのか、それとも相似で魅せるのか。
「たまには自分を大事にし。まあわてもやけどな」
こんなこと言われたら惚れるだろうが!
もう付き合っちゃえよ!!
それにしても「たまには自分を大事にし」って台詞。
字面通りうめさんにも雁助さん自身にも、物語全体にもかかってるのがすごいわな。
■榮三郎、あさ、新次郎が動く
炭坑から帰ってくるなり五代さんの行方を尋ねるあさだけども。
榮三郎の中に正吉さんが見えた気がする。
やはり8代目だ、と。
榮三郎がいるから、場が落ち着く。
昨日の雁助さんの「買い足そうと爆発させようともう尻拭いはしない」っつーシビアな言葉が、『口論』にならないで済んだのかもしれないと。
これが貫録かあ。
「来てくれはっておおきに」
「そやけどお店でもめごとは堪忍だす」
五代くんを探し回ってやってきた晴花亭。
スイッチオンしかけたあさも炭坑のピストルを思い出す強さがあった。
それを止める美和さんも彼女らしい「柔らかい強さ」もよかったなあって。
青臭いことを言うならこれが『友達』ってやつなんでしょうね。
顔を隠して会議に参加、正体バレて「あんた何してんの?!」と言われて。
「いやいや一応さ、ほらさ」と言いつつも、多分内心は五代くんのこと心配してる新次郎。
新次郎ああなんて新次郎。
雁助さんうめさんの横話を、五代さん週にかぶせてきているあたり、雁助さんと五代さんの対比があるんじゃないかと深読み。
今週の週タイトルが『大阪の大恩人』と来週は『道を照らす人』、どこかに正吉さんがいる気がする。
■新聞の影響力
「この新聞いうのん力は大きおます。
こない煽り立てるような字ぃ並べただけで、あっさり人を悪人にできる。えらい怖いことだす」
マスコミ批判ぶっこんできたけど、新聞の影響力って今も昔もあまり変わらんのだなあ……
文字を扱った流れがこの日につながるとは……。
■『日本中の人気者』
「欲張ってしもたんやろけどなあ。これで日本中を敵に回してしまいましたがな」
よくよく考えたら雁助さんと五代さんの絡みはほとんどない気がする。
この雁助さんの大阪商人たちとはまた違う反応がとても新鮮。
「こない日本中の人気者になってしまうやなんてなあ」
「結局政治の争いに利用されたというわけか」
「日本中を敵に回した」と雁助さんの言葉と「人気者になってしまった」という五代さんの自虐的な言葉。
大久保さんさえここにいれば、と思いつつも。
黒田氏と五代さんもまた薩摩言葉で盛り上がってたのかなあとか。
史実を通して、そこに生きた人たちを思わせてくれる作りがお見事だなあと。
「私は大阪商法会議所会頭を辞任する」
五代さんが責任と汚名を全部背負うことで、五代さんにとっての子供である大阪商人を守ろうとしてるんかな。
■アイスブレーク
「五代様、おなか黒いの?」
「わてもまだ裸の付き合いまではしてへんさかい、見た事あれんよってなぁ」
千代の言葉に「実際に見た事ないからわからない」と新次郎。
あさや新次郎自身に対して「自分の目で見てきたもの、聞いてきた話を信じろ」って言い聞かしてるのか。
年末の出来事や、コントロールできない話。
トモちゃんシンちゃんの流れからして「待てこらww」となったのは多分アイスブレークなんでしょうね。
「よっしゃもう一回や。ご苦労さんて」
この放送日は1月14日、あさのモデルとなった広岡浅子さんの命日でした。(1919年1月14日)。
(新次郎役の玉木さん、亀助役の三宅さんのお誕生日でもあり)
■働いたら負けかなって
「何でだす?何でお父ちゃんは働かへんのだす?」
千代砲に新次郎のガラスのハートがパリンと。
確かに、新次郎が商売嫌いというトラウマは、サトシ事件でもう解決しているわけで。
しかし新たなたまり場となった加野屋前のままごと広場。
見れば見るほどじわじわくる新次郎のモノマでした。
■謝罪とは
「今話をします!落ち着いてください」
北海道から戻った五代さん。
いつも決まってる髪型が乱れてる、めちゃくちゃ急いで大阪にきたんだろうな。
「私は言い訳をするつもりはありません」
「全ての責任は私にあります」
現代のどこかで観たことのあるような謝罪会見。
「黙ってたらわかりまへんやん!言うとくれ!」
「何か言うとくなはれや!」
「なあ答えとくなはれや!」
大阪商人たちの『何でだす』への答えを出さない五代さん。
謝罪ってなんなんだろうと。
■開拓使官有物払い下げ事件
五代さんに罵声を浴びせる大阪商人に激おこなのはあさ。
「1400万が39万は1/30」の山屋さん計算ミスあたりから堪えていたようなスイッチが入ったあさ。
睨み利かせて声を上げて計算ミスを指摘するあさがあさらしくて好き。
「それから五代様!あなた様も何だすか?!」
「言い訳するつもりはありませんて、かっこつけて……かっこつけてる場合やあらしまへん!」
久しぶりにあさがかっこよく見えました。
でも口ごもる五代さん。
「せやけどこれは……」
「そうだすなあ」
五代さんが読みこんでいた北海道開拓事業の資料を持って登場する新次郎。(水色の字幕)
新次郎はどこのタキシード仮面なのかと。
「これ全部説明するのは面白ない言うか、面倒くさいことだすなあ」
あさ一人で五代を助けるわけじゃない、ってのがいいんだよな。
新次郎の涼しそうな表情で、加熱した室内が落ち着いてくのわかりやすい。
うーん、いいパス。
事業報告書を持ってきて、北海道開拓計画の実情を大阪商人たちに伝える。
「面倒くさいこと」だから各自読んでくれ、と。
「ぼんくらの自分にはよくわからないけど、お商売に明るい皆様にならわかるはず」
と配布。
どこの出来る部下かと。
「(これまで費やした事業費が)全部無駄になる。そない思た政府は、商い上手の五代さんに開拓を依頼した」
当時の北海道開拓は元々超赤字の事業で、政府にも手が負えなかった。
それをどうにかしようと開拓使長官の黒田氏は、同郷の政商・五代友厚に事業を委託した。
そんな難事業に払える限度は39万だった。
それが『36分の1』の真相。
「五代さんはそない思てくれはったんだす」
「日本一商いのうまい大阪商人だす」
そして榮三郎にパス。
あさが訴えかけた「まずは信じよう」という言葉。
新次郎の持ってきた「これが真相なんじゃないか」という推理。
榮三郎、加野屋8代目当主が落ち着いてまとめあげる。
これに対して五代さんは是とも非とも言わない。
新聞で広まったスキャンダル。
日本全国の信頼を取り戻すことはできない。
でもチーム加野屋のおかげで、大阪商人の信頼は取り戻した。
「水くさいいこっちゃがな」
ラストに山屋さん。
最初に場を落ち着かせて、「水くさいなあ」っていう義理人情。
五代さん、険しい顔が少し落ち着いて泣きそう。
でも泣かない九州男児。
そんな五代さんに新次郎が投げる。
「さあトモちゃん!」
これでも会頭を辞任するのか?と問いかける。
「生涯を懸けてこの町の繁栄のために尽くします!」
この後、五代さんは大阪の発展に力を尽くす。
しかしその生涯はもう長くないとか考えると辛いものはある。
現実、こんなにうまくいくはずないとはわかってるけど、
8代目の貫禄が出てきた榮三郎が「五代さんの話で気になってることがある」と話していたことや
新次郎が珍しく新聞を熱心に読んでいたことなどの伏線が繋がってるから、スッキリする。
歴史上の官有物払下げ事件が本当に五代友厚の汚職事件だったのかはわからない。
でもドラマの中ではこれでいいんじゃなかろうかと。
というかこれ以上つっこんだら、あさちゃんが鹿鳴館あたりで暴れまわり以下略
開拓使官有物払い下げ事件ってこのドラマで初めて知ったんですが、あれこれ読めば読むほどよくわからなかったです。
多分本当のことは新たな史料でも発見されない限りわからないんでしょう。
近年の研究では五代友厚は「巻き込まれた」だけだったとか、諸説あるようで。
「この作品における解釈はこれ、本当のことはわからないんだけどね」
ってのをまさかのまさかの新次郎解説で教えてもらうとは。
「それにしても世論がこの話潰さへんかったら、誰も損せず北海道も大阪も政府も日本も、みんなええ思いできたかも分からへんのになあ」
じんわり描く心情もいいけど、さくっと刺してくるブラックジョークが好き。
しかし気になるのは…
榮三郎が立派→雁助さんが加野屋にのこる理由がなくなる、ということなのか?
■時間の流れ
そんな騒動からまた歳月が経ち……
「8年後に国会いうのが出来るんやて」
「時の移り変わりは速いもんだすな」
何てことのない台詞だけど。
明治14年の政局の流れが、市井目線では、主観的な「早さ」ではなく速度のある時間の流れとして「速さ」と。
字幕芸上手い。
「格別な奥さんだす!」
笑いながらあさを抱き上げる新次郎。
そういえば店頭に殺到する客の前に、「格別なおなごだす」とあさを立たせたのは新次郎だったな、と。
あさも格別なおなごから奥さんになったのだな、と。
(波瑠さんスリムとはいえ身長あるから、玉木さんの腰が心配になった一瞬)
■それが男というもの
五代さんと新次郎はすっかり仲良し。
「シンちゃんもそろそろどないですか?」
「は?」
トモちゃんシンちゃんに笑っちゃうのは、やっぱり時代背景的に利害関係のない『友達』ってのが新鮮だったせいもあるんだろうなあ。
先週の亀助の『惚れた女は必ず守る』、
五代さんの『手に負えないものほど追い求めたい』、
新次郎の『筋の通ったかっこいい男と思われたい』とそれぞれ理想の男性像を描いてる。
さて問題の雁助さんの男性像はどう描くのか。
■音
新次郎の三味線と、あさのそろばんの音。
これが白岡夫婦の音。
一貫してこの音が響いてきたんだね。
美和さん五代さんも素敵。
■お雛様
桃の節句となりました。
ハイパー大富豪・今井の実家から届いたお雛様はガチで豪勢。
(小道具の皆さんおつかれさまです)
ていうかよくよく考えたら超豪勢な今井家の雛人形で相撲やら剣術やら遊ぶわ、
ヅラを外すわ、扇の代わりにそろばん持たすわ、
なかなかやらかしてるヒロイン(何を今更)
千代の
「お母ちゃんはめびなさまよりおびなさまみたいや」
という言葉。
昨日のチーム加野屋で先陣切って啖呵切るあさに「かっけー!」と思わせてからの「おびなさまみたい」と。
千代ちゃん見透かしてるみたいな聡明さがある。
■「あさは泣きました」
さちさんが持ってきたのは、去年の千代の七夕飾りの短冊。
「ラムネが飲んでみたい」
「お母ちゃんといっぱい遊べますように」
ラムネは今年のもの、お母ちゃんとは去年のもの。
あさは当然これを今知って……
「あさは泣きました」
短いナレーションが響く押入れの中。
1年間、我が子の思いに気がつかなかったこと。我が子が成長していたこと。
色んな事が脳裏によぎってるのかな。
男雛様のようだ、と言われたあさが流す涙。
幼いあさがお嫁になんか行きたくない、パチパチはんが欲しいと泣いていたように。
千代がお母さんへの気持ちを堪えていた涙なのかな。
この短いナレーションと押入れの場面が見事過ぎて。
あのときのあさには新次郎が『一番欲しかったパチパチはん』を渡してくれた。
でもあさは千代に、千代が一番欲しがっていたものをあげることができなかった。
千代には雛人形を母と一緒に飾り付けた記憶がない。
パチパチはんを手に入れたことで加野屋の商いでお家を守り、
もちろんその中で千代という家族を迎えたのだけど。
それでも手に入れられなかったものは千代と過ごす思い出。
15分頭に炭坑シーンが入ることでそれら際立つし、年末に「欲張りだす」と言ったよのさんの言葉が今になって響く。
■フラグが立ちました
新次郎のことを「ほんまはもっと大きい事のできる男やないかて」と評する五代さん。
新次郎の社会での活躍を一番見たい人は五代さんなのかもなあ。
でも新次郎が紡績事業で活躍するとき、五代さんはもうそこにはいない。
手に負えないものこそ追い求めてしまう五代さん。
うーん、この五代さん。
「どうかこのことは内密に」
病魔に襲われる五代さん。
糖尿病による動脈硬化が進行しているのでしょうか。
作中では今明治15年。
五代友厚はこの後衰弱し、東京の自邸で息をひきとります。
没年は明治18年。
その3年間は次週『道を照らす人』で描かれる予定。
……来週に最高視聴率行きそうな気がする。
『内密』という単語を聞くと『コノコトハナイミツニナ』がパッと出てしまうのは条件反射のようなもんです。『ドウカコノコトハナイミツニナ』って五代さんを「ナイミツ五代」と呼びたくなった件はここだけの話です。
#あさが来た もいいし #真田丸はいいぞ だし、でも #平清盛もいいぞ 。
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 15
(´-`).。oO(このシリアスシーンで五代さんの心配そっちのけで、「ドウカコノコトハナイミツニナ!」に白い鸚鵡の羽音が聞こえ、男雛様のお人形がが悪左府様に見えてきたとは大声では言いにくい)
#あさが来た #平清盛 pic.twitter.com/gWkx8o1kA0
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 16
■タイムトラベラーな写真屋さん
そんな五代さんのことを、今はまだ何も知らないあさと新次郎。
家族写真の撮影会。
ちょ、余市の写真屋さん何してるんwww
千代と一緒に遊ぶことが出来なかった。
そんなあさの心情を思うと、この写真シーン(師匠が出落ちでかっさらったけど)もグッとくるものがあるなあ……
■来週の『あさが来た』は…
次週『道を照らす人』
はつさんの再登場、へぇさん登場。
歓喜と爆笑の予感。
雁助さんとうめさんも大きく動く模様。
五代さんの砂時計の砂は残り僅か。
なんかもう盛りだくさんだな!!
それにしてもこの流れだと、五代さん雁助さんが同時退場なのかもしれない。
その穴はでかいぞ……
■あふれでる大河感
と思ったら、1月15日(金)に制作陣から、追加キャストが発表されました。
→新たな出演者を発表しました!(パチパチはんのスタッフブログ)
詳しいことはリンク先にも載っているのですが……
大隈重信役に高橋英樹さん。(2月18日から)
大隈綾子役に松坂慶子さん。(2月18日から)
東柳啓介役に工藤阿須加さん(2月23日から)
田村フナ役に高橋由美子さん(3月2日から)
高橋英樹と松坂慶子が並ぶ朝ドラ。
大河ではなく朝ドラ。
■雑感
#あさが来た の五代友厚は「五代さん」や「五代くん」であって、THE経世済民の父じゃないのがいい。大久保利通も「ひげみち」だったように、五代友厚そのまんま描いたらあさが霞んで主役変わるだろうし、「あさが来た」じゃなくて「五代が来た」になっちゃう。だから大河で五代友厚をやっ文字数
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 14
「あさが来た」をかつあきが視聴してることや国立公文書やら商工会議所の中の人も観てるんだなってのは知ってたけど、年末年始あたりから言語や歴史関係のプロの方々の感想ツイをチラチラ見かけて、朝ドラの影響のでかさを実感中。
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 14
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます