『あさが来た』16週「道を照らす人」の長文ネタバレ感想まとめ、その1。
雁助さん&五代さんウィーク。
かまどドーーーン!!バッシャーーン!!!
加野屋の誠実な経営陣が温かい。(深い意味はない)
後半はこちら
→『あさが来た』16週その2.道を照らす人、「おおきに五代さん」
関連リンク
・『あさが来た』15週、その2.開拓使官有物払い下げ事件、ひとつのかたち
・『あさが来た』15週、その1.トモちゃんシンちゃん、十人十色の生き方、雁助さんの揺るがない思い
・『あさが来た』14週、ふゆに降る雪、亀助さんのど根性、日本一短いプロポーズ
・『あさが来た』、ロスってる暇はなかった年末年始まとめ
『あさが来た』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
他民放ドラマ、NHKスペシャルはこちら。
・少々真面目で結構ゲスいテレビっ子の備忘録まとめ。
■じわじわくる通常教本
じわじわくる通常教本。
週明けからかっ飛ばしてくるなあ。
「よっしゃ!しんどいなんて言うてる場合やあらしまへんな」
ペンギンの絵を観て喜んで、胸を張るあさ。
過労でヘトヘトになったあさのところへ、偶然(偶然なの?)やってきてファーストペンギンの話を届けに来たのは五代さんだったね。
いろんなことがあるけれど、恐れないで前に進めと。
■当主と社長
(客に対して)「早帰っとくれやす!」
(榮三郎に対して)「元気出しとくれやす」
社長を出してくれ、と来た客。
「女社長はいない、いるのは8代目当主だ。もう帰ってくれ」と強く言い切る雁助さん。
普段冷静であまり我を出さない人だからこそ、強い気持ちの表出はグッとくるものがある。
『当主』だけど『社長』には敵わないと榮三郎。
先週とアバンで榮三郎の成長を見せておいてから、「お姉さんにはかなわへん」なんて言わせるから、
観ている側としては雁助さんの「元気出しとくれやす」のその通りだなあって。
で、その雁助さんと榮三郎のやりとりをお客さんで来ているへぇさんが聞いてる。
へぇさんは帰ってきたあさをみて驚いてるのか、何なのか……
予告からして謎だけどますます謎が深まるへぇさん。
■宮部が来た
「こげなすごか奥さん褒めんでどげんしますと!」
久々登場の宮部さん。
ただの太鼓持ちと見せかけて『あさを褒める』って第三者ってなかなか珍しい。
初登場のときに散々ぼやいてただけに「おっ!」と。
「あっこは奥さんあっての炭坑っちゃ」
「そらそうだすやろなあ」
宮部があさを褒めちぎり、榮三郎は宮部のそれに少し間を置いてから同意して。
その榮三郎を見つめながら雁助さんは今後の進退を思うのか。
その雁助さんを観ながらうめさんは……
みんな頭が良くて優しいからこそもどかしい。
「今日ぐらいは支配人さんに大阪の夜を楽しんでもらわななぁ」
お商売の話もいいけど、遊びでもてなすのも大事。
そんなスタンスの新次郎がいるから、あさとバランスとれるんだろうなあ。
ところで、この二人が向かったのは
「晴花亭ではなくてんぷらかおうどん」なのだけれど、これは何か含みがあるのかしら。
それとも単なる新次郎の気分?
■隠れ聞かせ
新次郎が接待に向かうのを見送るあさ。
そこに榮三郎がやってきて…「銀行の話でしょ?」と。
「ほんまにもう…頭のええお人だすなあ」
「頭がええってわてがだすか?」
大阪に来たばかりのとき、あさの商才があちこちで見抜かれていたけれども。
そのあさが最初に見抜く商才の持ち主が榮三郎でよかったかなって。
榮三郎、かなわないと思っていたお姉さんに、褒められてよかったなあと。
「隠れ聞き」「立ち聞き」ばかりで話が進行するって言われてるけど。
この時代は今とは違ってまだまだ「壁に耳あり障子に目あり」ってくらいの建物構造なんだろうなと思う。
夜も外の話し声が聞こえてくるくらいなんだろうかな、という新手の「隠れ聞かせ」。
榮三郎とあさの会話を聞く雁助さん。
変わっていく加野屋の中で、雁助さんが年季をかけて培ってきたものが段々と必要とされなくなっていく。
支えたい守りたいと思った人物も、気が付いたら一人でしっかり歩き始めている。
人生をささげようと思った場所がなくなっていくのは辛いものがある。
■五代友厚の作った商都・大阪
そのころ五代さんは。
「やりたいことが次々頭に浮かんできて困ってるくらいです。転んでる暇もありません」
五代さんはもう転べない。
転んでる時間の余裕はないし、転んで立ち上がる力も残ってない。
命のカウントダウン。
ならばしっかり立っていようって気合いか。
本でペンギンを見かけたのでそれを話したそうなあさなんだけど。
ちょうどのタイミングで五代さんに来客が。
「どちらか言うたらそのささいな話のほうが聞きたかったような気もしますが」
今までのとんちき五代くんだったら、
多分身を乗り出してるだろうし、あさちゃんの目をしっかり見て言ってたはず。
とんちきやってる余裕もないのか五代くん……
「へぇ。ほんなら、いつか、また、きっと!」
いつかがいつ来るか、またがあるのか、きっとに期待していいのか。
別れを覚悟しているような、一瞬の間が辛くてなあ……
あさの前ではシャキッと歩くけど、やはり顔色の悪さを指摘される五代さん。
あさに呼び止められて……
「もし私が死んだかて五代が作った大阪は残ります」
「我々はいつもそないな仕事をせなあきません」
大久保さんと「もっと日本の話をしよう」と話したこと。
払い下げ事件で失いかけた大阪商人たちの信頼を取り戻したこと。
いろんな積み重ねがあるから、表情と台詞が一致する。
かっこいいな、五代さんの生き方。
てか「五代死すとも」は五代友厚の功績を考えると、もうほんとその通りとしか言えないですね。
私自身大阪は数度行っただけですが、この影響で東京も発展をしたのかとか思うと。
【五代友厚が影響を与えたいろいろ】
・日本銀行
(設立した「通商・為替会社」が江戸期の両替商と国立銀行の橋渡し役になった)
・三菱重工長崎造船所
(小菅ドックは薩摩藩時代の五代が献策して建設。後に政府から三菱に払い下げられた)
・大阪取引所
(明治11年、「大阪株式取引所」として設立)
・大阪市立大学
(明治13年「大阪商業講習所」として設立)
・大阪税関
(前身の川口運上所を建設。慶応4年に初代大阪税関長に就任)
・大阪科学技術センタービル
(五代友厚邸宅跡地に建設)
・大阪堂島商品取引所
(堂島米会所を明治9年に再興)
・NTT西日本
(明治3年、川口運上所内に日本最初の電信を引く)
・住友金属工業
(明治14年、五代の尽力で設立された大坂製銅所が前身)
・南海電鉄
(前身の阪堺鉄道開通に尽力)
・サッポロビール
(五代が主導して英国に派遣した学生の1人、村橋久成らが「開拓使麦酒醸造所」を設立)
・大阪港
(五代によって港湾が整備される)
・造幣局
(五代が買い入れた造幣機械を基に明治4年、大阪で創業)
・大阪商工会議所
(初代会頭をつとめる)
……ガチな人だ。
「東の渋沢、西の五代」ってフレーズは知ってたけど、五代友厚、本当に今まで知らなかったのが自分の無知ながら不思議。
「あさの胸に小さな不安が残りました」
こんなアルマゲドン演出!!!!
一級フラグ建築士!!
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■現実とのリンク
「今でも店は銀行にせぇへんほうがいいて思てはるか?」
大阪財界に250年の重きをおく老舗加野屋。
改革を進めていくあさ、それを受け入れる榮三郎。
ベテラン大番頭・雁助さんが感じる「潮時」と独立話。
現実の話と繋がってるってこと榮三郎の顔見てやっと気づいたよ……怖い怖い。
というのもこの雁助独立の回、1月19日(火)だったんです。
前日の1月18日は、SMAP×SMAPのあの生放送。
榮三郎の顔を見て気づいたってのは、榮三郎を演じる桐山さんはジャニーズ事務所所属。
それを観た後に、老舗の両替商・分離独立を考えているベテラン大番頭って、それなんつーリンク。
「ここがわての潮時だすのやろな…大旦さん」
「みんなで加野屋ののれん、大事にしてな」
雁助さんが思い出すのは、幼いころから臣従していた亡き大旦那様。
雁助さんが寂しさを感じるのは、『みんな』の部分なんだろな。
あさの「お家を守ること」と、雁助さんの「のれんを守ること」がイコールになればいいんだけど。
「わても今は榮三郎さんの言うとおりやと思います」
違和感あった。
「若旦さん」や「八代目」じゃなくて「榮三郎さん」。
これも決別の含みがあるんかなあ。
雁助さんが独立を選ぼうと残留を選ぼうと、どちらにしても変わらないことはひとつ。
この物語が描くもののひとつが、大阪の発展。
それがあるのは、五代さんやあさや榮三郎、新次郎の活躍もあるんだけど。
雁助さんのような堅実に商いに取り組んだ人のおかげなんだろうかなと。
歴史に名前が残ろうが残らまいが、大阪に残ってる大切なものなのかもしれない。
ましてやストーリーにおいては、雁助さんの活躍が無かったら今の加野屋はなかった。
サトシ問題を影ながら解決につなげたのも雁助さんだったわけだし。
そういう人が、独立を考えたとき……
って現実の問題とリンクしすぎてて、「うわああ」となりました。
『あまちゃん』にしてもなんにしても、現実とリンクする作品は名作、ということが多いけれど。
これもまたそのひとつなのかなあと。
■お家は温かい
一方あさは、大奥様のよのさんに『両替屋→銀行』を説明中。
「へ?もう一緒に暮らさへんてことだすか?」
商売云々の前に、「一緒に暮らさないこと」に気付いて心配するのはなんとも暖かい。
よのさんの愛らしさはこのへんから滲み出てんのかしら。
「こないやったもんが、こないなるいうことだす」
あさちゃんが炭坑部門の子会社化の話を説明中。
よのさんの得意な折り鶴使って説明するのもなかなか暖かい。
相手に伝えようっていう意識が伝わってくるのはいいな。
■難しいこと
銀行・会社化をめぐり心配している人はここにも一人。
「でもそれやったらのれん分けは…?」
会社になったらのれん分けはない。
ただし『支店長』という道がある。
支店長になるのがベターな選択だとはわかるんだけど、番頭として加野屋に仕えてきた雁助さんのゴールは「のれん分け」。
一国一城の主になるにはそれしか選択肢がない時代。
女性も男性も今よりずっと選択肢が少なかったんだろうなあ。
悩むあさに新次郎の言葉がこれ。
「それが雁助の選んだ道やったら、そら止めたらあきまへん。あいつの人生だす」
両替商だろうが会社だろうが事務所だろうが、なんだろうが。
つまりはそういうことなんだろうなと。
「大きなるいうのはほんま難しいことだすなあ」
あさが手に取る折り鶴。
病魔と闘いながらも奮闘している五代さんがひっくり返す砂時計。
どちらも「難しいこと」。
雁助さんもまた「大阪の大恩人」。
その雁助さんにとっての「道を照らす人」はやはり正吉さんか。
五代さんの話に雁助さんを絡ませたの、構成的にものすごく上手いと思う。
■かまどドン
「大奥様も新次郎様もおあささまも、みーんな雁助さんにいてほしいて思てはります」
「うめも」
うめが「自分も雁助さんにいてほしいと思っている」と伝えたそのとき。
雁助さんに光が射した一瞬。
「ここなら自分の居場所がある」と子犬のような切なさ。
どこか見覚えがあると思ったらあれだ、寺町んときの惣兵衛とはつに似てる感じがあるのか。
(関連:『あさが来た』7週、いざ炭坑へ。大福はピストルよりも強し、モジャ蛇捕獲)
「なぁうめ。わてと一緒にこの家出ぇへんか?」
「大店」「両替商」加野屋の「奉公人」として、幼い頃から今に至るまで「滅私」してきた雁助さん。
師とも父とも仰いだであろう大旦那様が旅立ち、支えるべき存在だった榮三郎も一人で立っている。
守りたかったのれんも支えたかった当主もそこにはもういない。
雁助さんは時代の流れに乗り損ねているわけではない。
ただ雁助さんは、自分の人生が「両替商の奉公人」にあるものだと思って生きてきたのかもしれない。
だとすれば銀行へ変わることは、アイデンティティの喪失に等しいわけで。
そんなとき、この気持ちを理解してくる女中と共に「一緒にこの家出ぇへんか?」と。
なんだかそれもアリのような気がしてくる。
いや寂しいけど。寂しいんだけど。
雁助さんのような人が本当にいるのなら、多分そう思う気がする。
雁助さん、国芳の猫ちゃんのこと覚えてるかな。
あさが初めてした仕事の一つが国芳の猫だったけど、あれは回収案件なのかな。
で、翌日。
良い子は真似したらあかんあかん、かまどドン。
雁助さんの強い想い溢れて、水が沸いて噴きだすように雁助さん自身の心が火傷。
またジリジリ切ないなあ。
「うそや…うそだす」
渾身のプロポーズを「嘘です」と。
嘘じゃないだろ、という「表情と台詞が一致しとらん!」っていうもどかしさや切なさや辛さを、間に漂わせながら。
「ほな、どこにも行かはりまへんな?」
これがきっとうめの最大限の気持ち。
雁助さんの本音と「嘘」をわかったうえでの、最大限の気持ちなのかもしれない。
この台所での一連のやり取り、交わす言葉はわずかなのですが、とても濃密でした。
光の当たり具合や視線、2人の絶妙な立ち位置が、揺れ動く心を演出していて。
これまでも雁助さんとうめの関係は、第7週からわかりやすいオフィスラブの形で描かれていました。
その後も雁助さんが炭坑の事故処理に向かったとき、何かあったときの一報をうめに頼む雁助さんや、縁側でルンルンしてるうめ。
亀助の恋の話で「熱病」や「昔の話」で盛り上がったり。
ジワジワと描かれてきた2人の描写。
先週の亀助とふゆとはまた違う「告白」。
その答えは多分これ。
火傷を冷やしながら桶の中で手を握る。
あさとはつの姉妹や新次郎夫婦。
変わらない絆を手を握る描写で描かれてきたから、うめと雁助もそばにいられるものだと信じたい。
■加野銀行の船出
それから数日後。
当主の榮三郎が皆を集めて、加野銀行の設立準備に取り掛かる旨を伝えました。
「加野屋の新たな船出だす!」
「よっ、八代目!」
加野銀行、設立へ向けての船出。
新年予告で見たあのセットや洋装を本放送で見るの楽しみだぞい。
これからは旦さんではなく頭取、と説明するのが雁助さんなのがまたなあ……
雁助さんにとっての旦さん、大旦那様はもういないんだなって、こう自分自身に言い聞かせてるのかな。
一言、と促されて前に出たあさ。
「時代に合わせて変わっていかなあきまへんのや」
守りたいものを守りたいからこそ変わらなきゃいけない。
時代が変わってるのに自分たちだけが変わらないでいられるはずもない。
でも変わりたくないことも変わらないこともある。
あさの視線の強さと、雁助さんうめさんの表情の差…
「正直言うて、銀行になって成功してるのは今のとこほんの一握りしかあらしまへん」
「加野屋はその一握りにならなあかんのだす!」
「銀行は今まで奉公してくれたみんなの腕前と年季が大いに役立つ商いだす」
「成功できるのはほんの一握りだけど、加野屋はその一握りにならなければならない」
「今までの腕前や年季や大いに役立つ商い」
のあさの言葉はもちろんみんなに伝えたい言葉なのだろうけど、一番伝えたいのは雁助さんだろうか。
時代が変わって両替屋だけじゃなくて色んな商いが変わったとき。
近代の礎が築かれた時期。
その時代の人たちはそんな心持ちで向き合ってたのかな。
■大阪を支えた人たち
清々しい顔をしている雁助さんを呼び止めて
「銀行が出来たら出ていくつもりだすやろ?」
と新次郎。
「やっぱりわては石やのうて、銭、金いう目に見えるようで、えたいの知れんもんを扱うのが好きなんだすわ」
自分のやりたいこと守りたいものがここまで明確に見えていて、それに向かって歩いてきた。
そんな人も今の世の中本当に一握りなんだろうな。
雁助さんを演じる山内さんの「スタパ」のトークなのですが。
幼少期に子役の仕事をされて「これだ!」と閃いて、中島らもさんの下で飲み相手をして、舞台俳優として名を上げてテレビにも……
っていう山内さんのみならず俳優さんの生き方にも重なる。
「あんたが好きだったんは、お父ちゃんに教え込まれた『信用』いうもんやあらしまへんか?」
「ご明察だす。お大名や堂島の商人たちは信用でけた」
明治に入って20年弱の間、雁助さんが目の当たりにした『時代の変化』は想像を絶するものだったんだろう。
その流れを真正面から受けて、居場所に迷う雁助さん。
でもそれを見逃さない新次郎の観察眼。
「けどなぁ、もう自分以外の者のことは考えんかてええのと違うか?」
「自分がどないしたいんかよう考えてもらいたいんや」
雁助さんの選択を尊重して見守る温かく柔らかな懐。。
一切ブレないで描かれる新次郎の懐の深さは、多分正吉さんから受け継がれた物。
「もし出ていくて決めたんやったら、、のれん分けはでけへんけど、どっかでお店だせるくらいのお金用意さしてもらいますよって」
「それが加野屋からあんたへのせめてもの恩返しだす」
暖簾分けは出来ないけれど、独立できるくらいの支援はする(つまり退職金)。
「恩返し」って言葉に締めくくるこの新次郎・加野屋の誠実さにジンワリ。
「ようよう考えて進んだ道には必ず新しい朝が来る」
と新次郎は幼いあさに伝えたけれど、
同じことを雁助さんにも言ってるんだなあと。
雁助さんがここまで歩んできた道も、これから選ぶ道も含めて、そこには必ず朝が来る、と。
雁助さんと新次郎の流れは第3週とリンクしてる気がします。
雁助さんを通じて正吉さんやあの幕末の混乱を見せられてる気がする。
(→第3週その1、その2)
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■だが働かぬ
「うちは旦那様ほど大阪の商人の皆さんに好かれてるお人を知りまへん」
そんな人好きのいい新次郎の長所を「才能」と伝えるあさ。
炭坑で「あさのよさは大福餅」と話したのは新次郎だったけど、今度はあさから新次郎に恩返しかな。
「どうか加野屋の社長になっとくれやす」
このタイミングで、『炭坑事業の社長/商事の社長』ではなく『加野屋の社長』を選んだあさ。
「お家を守る」っていう筋がここでピッと通った気がした。
「いいや…承服でけしまへん」
あれだけ雁助さんの前でかっこよかったのに、それでもなお「だが働かぬ」を貫く新次郎www
それでもあさのほうが一枚上手。
新次郎が最近仲良しの五代さんの名前を出して…
「五代様にもナイスアイデア!て言われましたんやで!」
「へ?五代様が?どないに言うた?」
「やだやだ!社長とかやだ!」
「えー五代さんはナイスアイデア!って──」
「えっマジ?トモちゃんが言ってたの?」
やだこの夫婦かわいいwww
カット部分に
「商事や炭坑の社長は旦那様に就いてもらおうと思てはります」
「いいですね!ナイスアイデア!エクセレント!ワンダフル!さすがあささんや!わお!」
みたいな流れがあったんだろうけど、脳内補完しておきます。
■三坂さんの五代ロスが心配
プンスコしながら巾着ブンブンして、トモちゃんのところに向かったシンちゃんが観たものは……
「五代さん!ど…どこが痛い?!五代さん!しっかりして!!」
とりあえず三坂さんは落ち着こう?
そのネクタイとボタン緩めてあげて?
冷や汗かいてるみたいだから、とりあえずバイタルと血糖値測ろうか。
視聴者の五代ロスより、三坂さんの五代ロスが心配な予感。
そういえば波瑠ちゃん、救命病棟5でナース役やってたなあと思い出して。
ここで「私看護師です!」と救命はじめるのも悪くないぞと。
そしたら蘇生した五代くんが「オゥ、エンジェル」とか言い出すんだ。
で勢いでキスしちゃうんだ、ってところまで想像できた。
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■五代さんの死が迫る
五代友厚の死がどう描かれるのか。
雁助さんはどの道を選ぶのか。
それをあさはどう乗り越えるのか。
1月22日(金)「あさイチ」のプレミアムトークゲストがディーンさんですが。
有働さんがどうなるのか楽しみ。
後半はこちら
→『あさが来た』16週その2.道を照らす人、「おおきに五代さん」
雁助さん&五代さんウィーク。
かまどドーーーン!!バッシャーーン!!!
加野屋の誠実な経営陣が温かい。(深い意味はない)
後半はこちら
→『あさが来た』16週その2.道を照らす人、「おおきに五代さん」
関連リンク
・『あさが来た』15週、その2.開拓使官有物払い下げ事件、ひとつのかたち
・『あさが来た』15週、その1.トモちゃんシンちゃん、十人十色の生き方、雁助さんの揺るがない思い
・『あさが来た』14週、ふゆに降る雪、亀助さんのど根性、日本一短いプロポーズ
・『あさが来た』、ロスってる暇はなかった年末年始まとめ
『あさが来た』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
他民放ドラマ、NHKスペシャルはこちら。
・少々真面目で結構ゲスいテレビっ子の備忘録まとめ。
■じわじわくる通常教本
じわじわくる通常教本。
週明けからかっ飛ばしてくるなあ。
「よっしゃ!しんどいなんて言うてる場合やあらしまへんな」
ペンギンの絵を観て喜んで、胸を張るあさ。
過労でヘトヘトになったあさのところへ、偶然(偶然なの?)やってきてファーストペンギンの話を届けに来たのは五代さんだったね。
いろんなことがあるけれど、恐れないで前に進めと。
■当主と社長
(客に対して)「早帰っとくれやす!」
(榮三郎に対して)「元気出しとくれやす」
社長を出してくれ、と来た客。
「女社長はいない、いるのは8代目当主だ。もう帰ってくれ」と強く言い切る雁助さん。
普段冷静であまり我を出さない人だからこそ、強い気持ちの表出はグッとくるものがある。
『当主』だけど『社長』には敵わないと榮三郎。
先週とアバンで榮三郎の成長を見せておいてから、「お姉さんにはかなわへん」なんて言わせるから、
観ている側としては雁助さんの「元気出しとくれやす」のその通りだなあって。
で、その雁助さんと榮三郎のやりとりをお客さんで来ているへぇさんが聞いてる。
へぇさんは帰ってきたあさをみて驚いてるのか、何なのか……
予告からして謎だけどますます謎が深まるへぇさん。
■宮部が来た
「こげなすごか奥さん褒めんでどげんしますと!」
久々登場の宮部さん。
ただの太鼓持ちと見せかけて『あさを褒める』って第三者ってなかなか珍しい。
初登場のときに散々ぼやいてただけに「おっ!」と。
「あっこは奥さんあっての炭坑っちゃ」
「そらそうだすやろなあ」
宮部があさを褒めちぎり、榮三郎は宮部のそれに少し間を置いてから同意して。
その榮三郎を見つめながら雁助さんは今後の進退を思うのか。
その雁助さんを観ながらうめさんは……
みんな頭が良くて優しいからこそもどかしい。
「今日ぐらいは支配人さんに大阪の夜を楽しんでもらわななぁ」
お商売の話もいいけど、遊びでもてなすのも大事。
そんなスタンスの新次郎がいるから、あさとバランスとれるんだろうなあ。
ところで、この二人が向かったのは
「晴花亭ではなくてんぷらかおうどん」なのだけれど、これは何か含みがあるのかしら。
それとも単なる新次郎の気分?
■隠れ聞かせ
新次郎が接待に向かうのを見送るあさ。
そこに榮三郎がやってきて…「銀行の話でしょ?」と。
「ほんまにもう…頭のええお人だすなあ」
「頭がええってわてがだすか?」
大阪に来たばかりのとき、あさの商才があちこちで見抜かれていたけれども。
そのあさが最初に見抜く商才の持ち主が榮三郎でよかったかなって。
榮三郎、かなわないと思っていたお姉さんに、褒められてよかったなあと。
「隠れ聞き」「立ち聞き」ばかりで話が進行するって言われてるけど。
この時代は今とは違ってまだまだ「壁に耳あり障子に目あり」ってくらいの建物構造なんだろうなと思う。
夜も外の話し声が聞こえてくるくらいなんだろうかな、という新手の「隠れ聞かせ」。
榮三郎とあさの会話を聞く雁助さん。
変わっていく加野屋の中で、雁助さんが年季をかけて培ってきたものが段々と必要とされなくなっていく。
支えたい守りたいと思った人物も、気が付いたら一人でしっかり歩き始めている。
人生をささげようと思った場所がなくなっていくのは辛いものがある。
■五代友厚の作った商都・大阪
そのころ五代さんは。
「やりたいことが次々頭に浮かんできて困ってるくらいです。転んでる暇もありません」
五代さんはもう転べない。
転んでる時間の余裕はないし、転んで立ち上がる力も残ってない。
命のカウントダウン。
ならばしっかり立っていようって気合いか。
本でペンギンを見かけたのでそれを話したそうなあさなんだけど。
ちょうどのタイミングで五代さんに来客が。
「どちらか言うたらそのささいな話のほうが聞きたかったような気もしますが」
今までのとんちき五代くんだったら、
多分身を乗り出してるだろうし、あさちゃんの目をしっかり見て言ってたはず。
とんちきやってる余裕もないのか五代くん……
「へぇ。ほんなら、いつか、また、きっと!」
いつかがいつ来るか、またがあるのか、きっとに期待していいのか。
別れを覚悟しているような、一瞬の間が辛くてなあ……
あさの前ではシャキッと歩くけど、やはり顔色の悪さを指摘される五代さん。
あさに呼び止められて……
「もし私が死んだかて五代が作った大阪は残ります」
「我々はいつもそないな仕事をせなあきません」
大久保さんと「もっと日本の話をしよう」と話したこと。
払い下げ事件で失いかけた大阪商人たちの信頼を取り戻したこと。
いろんな積み重ねがあるから、表情と台詞が一致する。
かっこいいな、五代さんの生き方。
てか「五代死すとも」は五代友厚の功績を考えると、もうほんとその通りとしか言えないですね。
私自身大阪は数度行っただけですが、この影響で東京も発展をしたのかとか思うと。
【五代友厚が影響を与えたいろいろ】
・日本銀行
(設立した「通商・為替会社」が江戸期の両替商と国立銀行の橋渡し役になった)
・三菱重工長崎造船所
(小菅ドックは薩摩藩時代の五代が献策して建設。後に政府から三菱に払い下げられた)
・大阪取引所
(明治11年、「大阪株式取引所」として設立)
・大阪市立大学
(明治13年「大阪商業講習所」として設立)
・大阪税関
(前身の川口運上所を建設。慶応4年に初代大阪税関長に就任)
・大阪科学技術センタービル
(五代友厚邸宅跡地に建設)
・大阪堂島商品取引所
(堂島米会所を明治9年に再興)
・NTT西日本
(明治3年、川口運上所内に日本最初の電信を引く)
・住友金属工業
(明治14年、五代の尽力で設立された大坂製銅所が前身)
・南海電鉄
(前身の阪堺鉄道開通に尽力)
・サッポロビール
(五代が主導して英国に派遣した学生の1人、村橋久成らが「開拓使麦酒醸造所」を設立)
・大阪港
(五代によって港湾が整備される)
・造幣局
(五代が買い入れた造幣機械を基に明治4年、大阪で創業)
・大阪商工会議所
(初代会頭をつとめる)
……ガチな人だ。
「東の渋沢、西の五代」ってフレーズは知ってたけど、五代友厚、本当に今まで知らなかったのが自分の無知ながら不思議。
「あさの胸に小さな不安が残りました」
こんなアルマゲドン演出!!!!
一級フラグ建築士!!
「もし私が死んだかて五代が作った大阪は残ります」
五代友厚の功績(大阪造幣局、大阪商工会議所、大阪市立大、商船三井、南海鉄道などなどたくさん)を考えると、もうほんとその通りとしか言えない。
#あさが来た pic.twitter.com/9d8UOhJBAF
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 17
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■現実とのリンク
「今でも店は銀行にせぇへんほうがいいて思てはるか?」
大阪財界に250年の重きをおく老舗加野屋。
改革を進めていくあさ、それを受け入れる榮三郎。
ベテラン大番頭・雁助さんが感じる「潮時」と独立話。
現実の話と繋がってるってこと榮三郎の顔見てやっと気づいたよ……怖い怖い。
というのもこの雁助独立の回、1月19日(火)だったんです。
前日の1月18日は、SMAP×SMAPのあの生放送。
榮三郎の顔を見て気づいたってのは、榮三郎を演じる桐山さんはジャニーズ事務所所属。
それを観た後に、老舗の両替商・分離独立を考えているベテラン大番頭って、それなんつーリンク。
「ここがわての潮時だすのやろな…大旦さん」
「みんなで加野屋ののれん、大事にしてな」
雁助さんが思い出すのは、幼いころから臣従していた亡き大旦那様。
雁助さんが寂しさを感じるのは、『みんな』の部分なんだろな。
あさの「お家を守ること」と、雁助さんの「のれんを守ること」がイコールになればいいんだけど。
「わても今は榮三郎さんの言うとおりやと思います」
違和感あった。
「若旦さん」や「八代目」じゃなくて「榮三郎さん」。
これも決別の含みがあるんかなあ。
雁助さんが独立を選ぼうと残留を選ぼうと、どちらにしても変わらないことはひとつ。
この物語が描くもののひとつが、大阪の発展。
それがあるのは、五代さんやあさや榮三郎、新次郎の活躍もあるんだけど。
雁助さんのような堅実に商いに取り組んだ人のおかげなんだろうかなと。
歴史に名前が残ろうが残らまいが、大阪に残ってる大切なものなのかもしれない。
ましてやストーリーにおいては、雁助さんの活躍が無かったら今の加野屋はなかった。
サトシ問題を影ながら解決につなげたのも雁助さんだったわけだし。
そういう人が、独立を考えたとき……
って現実の問題とリンクしすぎてて、「うわああ」となりました。
『あまちゃん』にしてもなんにしても、現実とリンクする作品は名作、ということが多いけれど。
これもまたそのひとつなのかなあと。
雁助さんのプロポーズに悲鳴が上がるTLを眺めながら、 #あさイチ のウケが欲しいところだけど、この分離独立の話をいのっちに受けさせるのは辛すぎるし難しすぎる観てるほうも複雑なので、今日は小豆ウケでよしと思う次第( ◜◡^)
#あさが来た
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 18
■お家は温かい
一方あさは、大奥様のよのさんに『両替屋→銀行』を説明中。
「へ?もう一緒に暮らさへんてことだすか?」
商売云々の前に、「一緒に暮らさないこと」に気付いて心配するのはなんとも暖かい。
よのさんの愛らしさはこのへんから滲み出てんのかしら。
「こないやったもんが、こないなるいうことだす」
あさちゃんが炭坑部門の子会社化の話を説明中。
よのさんの得意な折り鶴使って説明するのもなかなか暖かい。
相手に伝えようっていう意識が伝わってくるのはいいな。
■難しいこと
銀行・会社化をめぐり心配している人はここにも一人。
「でもそれやったらのれん分けは…?」
会社になったらのれん分けはない。
ただし『支店長』という道がある。
支店長になるのがベターな選択だとはわかるんだけど、番頭として加野屋に仕えてきた雁助さんのゴールは「のれん分け」。
一国一城の主になるにはそれしか選択肢がない時代。
女性も男性も今よりずっと選択肢が少なかったんだろうなあ。
悩むあさに新次郎の言葉がこれ。
「それが雁助の選んだ道やったら、そら止めたらあきまへん。あいつの人生だす」
両替商だろうが会社だろうが事務所だろうが、なんだろうが。
つまりはそういうことなんだろうなと。
「大きなるいうのはほんま難しいことだすなあ」
あさが手に取る折り鶴。
病魔と闘いながらも奮闘している五代さんがひっくり返す砂時計。
どちらも「難しいこと」。
雁助さんもまた「大阪の大恩人」。
その雁助さんにとっての「道を照らす人」はやはり正吉さんか。
五代さんの話に雁助さんを絡ませたの、構成的にものすごく上手いと思う。
■かまどドン
「大奥様も新次郎様もおあささまも、みーんな雁助さんにいてほしいて思てはります」
「うめも」
うめが「自分も雁助さんにいてほしいと思っている」と伝えたそのとき。
雁助さんに光が射した一瞬。
「ここなら自分の居場所がある」と子犬のような切なさ。
どこか見覚えがあると思ったらあれだ、寺町んときの惣兵衛とはつに似てる感じがあるのか。
(関連:『あさが来た』7週、いざ炭坑へ。大福はピストルよりも強し、モジャ蛇捕獲)
「なぁうめ。わてと一緒にこの家出ぇへんか?」
「大店」「両替商」加野屋の「奉公人」として、幼い頃から今に至るまで「滅私」してきた雁助さん。
師とも父とも仰いだであろう大旦那様が旅立ち、支えるべき存在だった榮三郎も一人で立っている。
守りたかったのれんも支えたかった当主もそこにはもういない。
雁助さんは時代の流れに乗り損ねているわけではない。
ただ雁助さんは、自分の人生が「両替商の奉公人」にあるものだと思って生きてきたのかもしれない。
だとすれば銀行へ変わることは、アイデンティティの喪失に等しいわけで。
そんなとき、この気持ちを理解してくる女中と共に「一緒にこの家出ぇへんか?」と。
なんだかそれもアリのような気がしてくる。
いや寂しいけど。寂しいんだけど。
雁助さんのような人が本当にいるのなら、多分そう思う気がする。
雁助さん、国芳の猫ちゃんのこと覚えてるかな。
あさが初めてした仕事の一つが国芳の猫だったけど、あれは回収案件なのかな。
で、翌日。
良い子は真似したらあかんあかん、かまどドン。
雁助さんの強い想い溢れて、水が沸いて噴きだすように雁助さん自身の心が火傷。
またジリジリ切ないなあ。
「うそや…うそだす」
渾身のプロポーズを「嘘です」と。
嘘じゃないだろ、という「表情と台詞が一致しとらん!」っていうもどかしさや切なさや辛さを、間に漂わせながら。
「ほな、どこにも行かはりまへんな?」
これがきっとうめの最大限の気持ち。
雁助さんの本音と「嘘」をわかったうえでの、最大限の気持ちなのかもしれない。
この台所での一連のやり取り、交わす言葉はわずかなのですが、とても濃密でした。
光の当たり具合や視線、2人の絶妙な立ち位置が、揺れ動く心を演出していて。
これまでも雁助さんとうめの関係は、第7週からわかりやすいオフィスラブの形で描かれていました。
その後も雁助さんが炭坑の事故処理に向かったとき、何かあったときの一報をうめに頼む雁助さんや、縁側でルンルンしてるうめ。
亀助の恋の話で「熱病」や「昔の話」で盛り上がったり。
ジワジワと描かれてきた2人の描写。
先週の亀助とふゆとはまた違う「告白」。
その答えは多分これ。
火傷を冷やしながら桶の中で手を握る。
あさとはつの姉妹や新次郎夫婦。
変わらない絆を手を握る描写で描かれてきたから、うめと雁助もそばにいられるものだと信じたい。
■加野銀行の船出
それから数日後。
当主の榮三郎が皆を集めて、加野銀行の設立準備に取り掛かる旨を伝えました。
「加野屋の新たな船出だす!」
「よっ、八代目!」
加野銀行、設立へ向けての船出。
新年予告で見たあのセットや洋装を本放送で見るの楽しみだぞい。
これからは旦さんではなく頭取、と説明するのが雁助さんなのがまたなあ……
雁助さんにとっての旦さん、大旦那様はもういないんだなって、こう自分自身に言い聞かせてるのかな。
一言、と促されて前に出たあさ。
「時代に合わせて変わっていかなあきまへんのや」
守りたいものを守りたいからこそ変わらなきゃいけない。
時代が変わってるのに自分たちだけが変わらないでいられるはずもない。
でも変わりたくないことも変わらないこともある。
あさの視線の強さと、雁助さんうめさんの表情の差…
「正直言うて、銀行になって成功してるのは今のとこほんの一握りしかあらしまへん」
「加野屋はその一握りにならなあかんのだす!」
「銀行は今まで奉公してくれたみんなの腕前と年季が大いに役立つ商いだす」
「成功できるのはほんの一握りだけど、加野屋はその一握りにならなければならない」
「今までの腕前や年季や大いに役立つ商い」
のあさの言葉はもちろんみんなに伝えたい言葉なのだろうけど、一番伝えたいのは雁助さんだろうか。
時代が変わって両替屋だけじゃなくて色んな商いが変わったとき。
近代の礎が築かれた時期。
その時代の人たちはそんな心持ちで向き合ってたのかな。
■大阪を支えた人たち
清々しい顔をしている雁助さんを呼び止めて
「銀行が出来たら出ていくつもりだすやろ?」
と新次郎。
「やっぱりわては石やのうて、銭、金いう目に見えるようで、えたいの知れんもんを扱うのが好きなんだすわ」
自分のやりたいこと守りたいものがここまで明確に見えていて、それに向かって歩いてきた。
そんな人も今の世の中本当に一握りなんだろうな。
雁助さんを演じる山内さんの「スタパ」のトークなのですが。
幼少期に子役の仕事をされて「これだ!」と閃いて、中島らもさんの下で飲み相手をして、舞台俳優として名を上げてテレビにも……
っていう山内さんのみならず俳優さんの生き方にも重なる。
「あんたが好きだったんは、お父ちゃんに教え込まれた『信用』いうもんやあらしまへんか?」
「ご明察だす。お大名や堂島の商人たちは信用でけた」
明治に入って20年弱の間、雁助さんが目の当たりにした『時代の変化』は想像を絶するものだったんだろう。
その流れを真正面から受けて、居場所に迷う雁助さん。
でもそれを見逃さない新次郎の観察眼。
「けどなぁ、もう自分以外の者のことは考えんかてええのと違うか?」
「自分がどないしたいんかよう考えてもらいたいんや」
雁助さんの選択を尊重して見守る温かく柔らかな懐。。
一切ブレないで描かれる新次郎の懐の深さは、多分正吉さんから受け継がれた物。
「もし出ていくて決めたんやったら、、のれん分けはでけへんけど、どっかでお店だせるくらいのお金用意さしてもらいますよって」
「それが加野屋からあんたへのせめてもの恩返しだす」
暖簾分けは出来ないけれど、独立できるくらいの支援はする(つまり退職金)。
「恩返し」って言葉に締めくくるこの新次郎・加野屋の誠実さにジンワリ。
「ようよう考えて進んだ道には必ず新しい朝が来る」
と新次郎は幼いあさに伝えたけれど、
同じことを雁助さんにも言ってるんだなあと。
雁助さんがここまで歩んできた道も、これから選ぶ道も含めて、そこには必ず朝が来る、と。
雁助さんと新次郎の流れは第3週とリンクしてる気がします。
雁助さんを通じて正吉さんやあの幕末の混乱を見せられてる気がする。
(→第3週その1、その2)
(´-`).。oO(お大名や商人は信用できたって言ってるけど、結局お金返さなかったこの方について雁助さんに一言伺いたい)
#あさが来た pic.twitter.com/vzu5dN8zYq
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 20
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■だが働かぬ
「うちは旦那様ほど大阪の商人の皆さんに好かれてるお人を知りまへん」
そんな人好きのいい新次郎の長所を「才能」と伝えるあさ。
炭坑で「あさのよさは大福餅」と話したのは新次郎だったけど、今度はあさから新次郎に恩返しかな。
「どうか加野屋の社長になっとくれやす」
このタイミングで、『炭坑事業の社長/商事の社長』ではなく『加野屋の社長』を選んだあさ。
「お家を守る」っていう筋がここでピッと通った気がした。
「いいや…承服でけしまへん」
あれだけ雁助さんの前でかっこよかったのに、それでもなお「だが働かぬ」を貫く新次郎www
それでもあさのほうが一枚上手。
新次郎が最近仲良しの五代さんの名前を出して…
「五代様にもナイスアイデア!て言われましたんやで!」
「へ?五代様が?どないに言うた?」
「やだやだ!社長とかやだ!」
「えー五代さんはナイスアイデア!って──」
「えっマジ?トモちゃんが言ってたの?」
やだこの夫婦かわいいwww
カット部分に
「商事や炭坑の社長は旦那様に就いてもらおうと思てはります」
「いいですね!ナイスアイデア!エクセレント!ワンダフル!さすがあささんや!わお!」
みたいな流れがあったんだろうけど、脳内補完しておきます。
■三坂さんの五代ロスが心配
プンスコしながら巾着ブンブンして、トモちゃんのところに向かったシンちゃんが観たものは……
「五代さん!ど…どこが痛い?!五代さん!しっかりして!!」
とりあえず三坂さんは落ち着こう?
そのネクタイとボタン緩めてあげて?
冷や汗かいてるみたいだから、とりあえずバイタルと血糖値測ろうか。
視聴者の五代ロスより、三坂さんの五代ロスが心配な予感。
そういえば波瑠ちゃん、救命病棟5でナース役やってたなあと思い出して。
ここで「私看護師です!」と救命はじめるのも悪くないぞと。
そしたら蘇生した五代くんが「オゥ、エンジェル」とか言い出すんだ。
で勢いでキスしちゃうんだ、ってところまで想像できた。
五代くん、このまま寝ぼけて起きた瞬間三坂さんにキスちゃうんでしょ?(現実逃避による混乱
#あさが来た #ダメな私に恋してください #ダメ恋
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 20
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■五代さんの死が迫る
五代友厚の死がどう描かれるのか。
雁助さんはどの道を選ぶのか。
それをあさはどう乗り越えるのか。
1月22日(金)「あさイチ」のプレミアムトークゲストがディーンさんですが。
有働さんがどうなるのか楽しみ。
後半はこちら
→『あさが来た』16週その2.道を照らす人、「おおきに五代さん」
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