渋谷駅、3・4番ホームは遠い。
いわゆる渋谷駅の「離れ」もしくは「別館」。
最終の湘南新宿ラインをめがけて1000メートルを駆け抜ける。
友達よりも少し早い最終電車。
「じゃあお先に」と言って別れても、自宅到着は1時近くになってしまう。
「じゃあお先に」と言って別れても、自宅到着は1時近くになってしまう。
カッカッカッ……足の短い私だからテンポが少し速い。
階段を2段飛ばしで駆け降りて、混み合う先頭車両に滑り込む。
あがった息を整えながら、電車の横揺れに身を任せる。
階段を2段飛ばしで駆け降りて、混み合う先頭車両に滑り込む。
あがった息を整えながら、電車の横揺れに身を任せる。
自宅までは60分、寝過ごすわけにもいかないから文庫本を開く。
大学生活4年間。
ずいぶん長いこと通ったなあ。
こんな夜を何度過ぎたんだろう。
去年も一昨年もそのまた前の年も大して変わらない風景を眺め、ふと呟いてみる。
来年の今頃はもう決して見ることのない。
去年も一昨年もそのまた前の年も大して変わらない風景を眺め、ふと呟いてみる。
来年の今頃はもう決して見ることのない。
ここにはいない。
4年間があと数日で終わる。
4年間があと数日で終わる。
ここで一区切りがつく。
一区切りをつけなければいけない。
一区切りをつけなければいけない。
モラトリアムは終わる。
列車は荒川を渡る。
小さな明かりが川沿いに続き、やがて県内へ。
時々思い出したように駅がボウッと移り、巨大なターミナルへ到着する。
大宮を過ぎると一気に田舎になり、県道までも少し離れてるので沿線は真っ暗だ。
窓に映る自分の疲れた顔を、頭の前から後ろを突き通す。
車窓は、4年前に一番後ろの席でボンヤリ眺めていた窓の景色によく似ていた。
春霞む窓の外、校庭の向こう側。
私たちはもうすぐ高校を卒業する。
──今、何かを考えなさい。
それを言ったのは誰だっただろうか。
『何か』が何なのかは分からない。
今、大学卒業を控え、日常は慌ただしい。
列車は荒川を渡る。
小さな明かりが川沿いに続き、やがて県内へ。
時々思い出したように駅がボウッと移り、巨大なターミナルへ到着する。
大宮を過ぎると一気に田舎になり、県道までも少し離れてるので沿線は真っ暗だ。
窓に映る自分の疲れた顔を、頭の前から後ろを突き通す。
車窓は、4年前に一番後ろの席でボンヤリ眺めていた窓の景色によく似ていた。
春霞む窓の外、校庭の向こう側。
私たちはもうすぐ高校を卒業する。
──今、何かを考えなさい。
それを言ったのは誰だっただろうか。
『何か』が何なのかは分からない。
今、大学卒業を控え、日常は慌ただしい。
4年間で少しは成長できたんだろうか。
何者かになれたんだろうか。
喉元までこみあげてきた不安を飲み込み、流れる車窓に目をやる。
春の夜は暗く、街灯の下だけ霞んで見える。
きっとこのままなんだろうなあって。
22年間でみつけた大事なものを、大切に守りながら残りの人生生きていくんだろうなあ。
それはそれで面白いかも、なんて思っていた危うく自宅の最寄駅を通過しかけた。
モラトリアムはおしまい。
しっかり前を向いていこう。
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