妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

春一番

2008-02-25 13:50:35 | 長いひとりごと
季節の変わり目には嵐がやってくる。

縦横無尽に空を駆け回り尽し、残った前の季節を吹き散らす。
巨大な空のドームの衣替えの季節。
欠片が空を舞い、地上へ落ちてくる。
上を見上げてみると、薄い雲の向こう側に次の季節が見え隠れしている。
やがて嵐は去って、静かな雨が降るのだ。
小さな塵を、残った季節のカスを洗い流すように。
静かに、静かに雨が降る。
残った気持ちのカスを洗い流すように。
新しい季節を迎えられるように。


休日のはずの父が慌ただしく出かけていった。
施工した物置が倒れたらしい。
「ったく、なんで物置に物置かねえんだよ」

畑では葉ネギを覆っていたビニールが、飛ばされてかけている。
それはさながらに暴れ龍のよう。
道路や線路に飛ばされたら大変なので、慌て取り外す。

猫たちは日向に丸くなって。
人間もこたつに丸くなって。
春が降ってくるのを待ち詫びる。

来月末には、横浜へ発つ。
横浜は風が強いのかしら。
どうせだったら海風だといいな。
来年はこんな空っ風を迎えることはないんだろう。


少しセンチメンタルになって、視界が湿ってきたのは花粉のせいだって思いきかせて、プラットホームに立つ。
向かい風になったり追い風になったり、横殴りしてきたり。
右に左に吹き散らかす風に、飛ばされたカツラが目の前を横切っていく。
慌てたおじさんが右に左に横切って、今度は駅長さんが横切っていった

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