【貴重品を腹に巻かないでも寝れる朝】
布団の中では寒さは感じないが1歩外に出ると強烈な寒気が吹き込んでくる。
久々にお酒を飲み、久々に人と話し、久々に足を延ばして寝た。
普段は当たり前のことに、いちいち感動してしまうのが不思議だ。
Sちゃんのお母さんが出してくれたご飯は美味しいものばかり。
特に知床産の魚介や肉豚が美味しかった。
「ありがとうございます」
【知床博物館】
博物館には傷ついたオオワシやオジロワシ、エゾシカがいた。
道路に飛び出したり、線路に出てしまったりなどして、足を傷つけてしまうものが多いらしい。
確かに釧網本線に乗っているとき、野生動物による急停車が何度もあった。
エゾシカ、キタキツネ。
人間よりも先にそこに住んでいるはずなのに。
【来運の水】
来運の水をとりにいく。
ペットボトルの水を飲み干しておいた。
強くなる雪の中、水は凍結しないで流れていた。
飲んでみると
──甘い!
斜里岳の伏流水らしい。
【越川の橋】
続いては越川の陸橋。
人柱になっているとか聞いて、少し写真を撮る手が鈍る。
「こりゃすごい」
地元のガイドマップにも載っていなかった名所。
電車旅をしていては絶対に見に行けない場所。
【リアル北の国から】
途中集落がいくつか見えた。
北の国からで見たことある風景だ。
「こんなところだと大変だろうね、救急車とか」
「でもウトロのほうも大変なんだよ」
「ウトロ?」
「高層ビルのホテルが建ってるけど、はしご車とかないもの。斜里から行くにしたって30分もかかるし」
ああ、なるほどーとうなずく。
雪景色を眺めながら、いろんなおしゃべりをしているうちに、時間はあっという間に過ぎていく。
時々地吹雪。
「体験ツアーなんか参加しなくてもここでは見れるものね」
【摩周湖】
午後からはお父さんも合流しました。
吹雪!
徹底的にふぶき!
「残念ねえ、晴れてたらきれいなんだよ」
「これもまた冬の摩周・・・」
本来なら美しい湖面が見えるはずの展望台からは、1m先の視界も怪しい。
観光客はさっさと中の待合室へ入っていく。
目をこらして、どうにか見えないもんかな。
しばらく粘ってみたけどやっぱり無理で、気付いたら体が雪まみれになっていた。
うーん冬だなあ。
【屈斜路湖】
途中、湧き水を汲んで屈斜路湖へ。
チラチラ晴れ間が。
マツの林道を潜り抜け、また地吹雪を浴びて、屈斜路湖に到着。
「ハクチョウだ!」
「カワイイ!」
エビセンを片手に走り出したけど、あまり近寄ってくれない。
追いかけてもみるけど、湖のほうに逃げていく。
じゃあ陸に・・・と追いかけたら、ほんのちょっとだけ飛んで逃げる。
急に大きな泣き声をあげたかと思うと、向こう側でパンの耳が投げられていた。
ハクチョウたちのご飯タイムを暫し眺める。
そのうちにまた羽ばたく練習をしはじめた。
また、シベリアに帰るその日まで。
【オーロラファンタジー】
夜ご飯の新鮮なチラシ寿司をいただいて、ウトロへ。
知床、冬の祭典・オーロラファンタジー。
Sちゃんのお父さん、以前オーロラ作りをしていたそうで裏話を聞く。
煙を炊いて、レーザー光線をあてるとか。
「家でも出来るかな」
「いや、レーザーは・・・」
ウトロまではあっという間。
時期が良かったらコネ?で知床岬までいけたけれど。
でもその分今日は冬の北海道を満喫してるからいっか。
ウトロ地区に着くと妙に人が増える。
やっぱり観光地だからかな。
駐車して、徒歩3分。
岩盤のトンネルをくぐると・・・
「わあ!!」
一面のオーロラが広がっていた。
思わず息を飲む。
こんな景色を見るのは久しぶりだ。
智恵文のひまわり畑を見たときと似ている。
大変な思いして、やっとたどり着いた。
ああ、ここまで生きてきてよかったなあ。
泣きそうになった。
でも泣かなかった。
凍るから。
「どうだった?オーロラ」
「感動しました!!」
冷えた体はお酒とおしゃべりが暖めてくれる。
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