斉東野人の斉東野語 「コトノハとりっく」

野蛮人(=斉東野人)による珍論奇説(=斉東野語)。コトノハ(言葉)に潜(ひそ)むトリックを覗(のぞ)いてみました。

断想片々(1) 【旭日旗】

2019年09月29日 | 言葉
「海上から昇る朝日は、旭日旗のように光を周囲へ放っているんですよ!」
 取材で南太平洋のタヒチ島を訪れた時、ポリネシア語の通訳をお願いした現地在住の日本人女性が、そう教えてくれた。30年近く昔のこと。翌朝、ホテルの窓から眺めると、なるほど海面から頭を出した朝日には、仏様に後光が射すように幾条もの光が放たれていた。海無し県に育った筆者としては新発見をしたような気分だった。
 朝日が幾条にも光を放つデザインは、ウクライナや北マケドニア、チベット亡命政府などの旗として、また米国アリゾナ州旗やロシア空軍旗その他多くの旗に採用されている。写実的で親しみやすく、朝の元気な息吹を伝える図柄が喜ばれるのだろう。日本の幼児は太陽を描くときに必ず丸の周囲に線を加えるが、皆が同じように描く理由は幼児にも納得しやすいからだ。言うに及ばないが、旭日は<日ノ本>と一体のコトバでもある。

 韓国が「旭日旗は日本軍国主義の象徴だ」として2020年東京五輪の競技会場では、応援での使用を禁じよと主張している。日本の伝統文化や価値観を否定されたようで面白くないが、ここは百歩譲って、韓国選手との競技場面だけでも旭日旗での応援を控えてはどうだろうか。先日のテレビ番組でタレントのパックンが「日本は『おもてなしの心で』と五輪を誘致したのだから」と、この方法を提案していたが、筆者も同意見である。「反日」の声量に負けじとばかりに「嫌韓」の声を張り上げていたのでは<おもてなしの心>が泣く。