ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

映画「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」を観る

2023年02月19日 | 映画

「ホワイト・クロウ、伝説のダンサー」を観た。バレエが好きな人にとっては是非観たい映画だろう。私もバレエは好きなので観たくなった。

監督:レイフ・ファインズ
脚本:デヴィッド・ヘアー
音楽:イラン・エシュケリ
バレエ・アドバイザー&振付:ヨハン・コボー
出演:

  • オレグ・イヴェンコ(ヌレエフ)
  • アデル・エグザルホプロス(クララ、ヌレエフの亡命を助ける仏人女性)
  • ラファエル・ペルソナ(ピエール)
  • レイフ・ファインズ(プーシキン、バレエの先生)
  • チュルパン・ハマートヴァ(プーシキンの妻)

この映画はバレエダンサーとして有名なソ連人、ヌレエフの亡命に至る半生を描いたもの。現在のバレエを観る自分にとってはヌレエフというのはもっぱら振付師として認識しているが、こんなにすごい運命を経験したダンサーだったのだと改めて感心した。

映画では、ヌレエフはソ連において少し遅れてバレエを始めたため、ダンサーとして成功する可能性は低いとみられていたこと、そのため人一倍努力、強い上昇志向・反抗的とも言える自己主張をする人物、バレエの先生さえ変えろと要求する人物、先生の妻との不倫関係、西側諸国での公演などでソ連からマークされる、最後はギリギリのところで西側に亡命するハラハラドキドキなどが描かれている。

映画の説明を観るとヌレエフ役のオレグ・イヴェンコは本物のダンサーだ、どおりで筋肉質の体型としなやかな踊りの演技ができると思った。本作でプロバレエダンサーとして映画初デビューとなったそうだ。彼はウクライナ出身だというのも驚いた。キエフバレエというのは有名だ。最近、日本人の寺田宜弘氏が芸術監督に就任したと言うニュースがでていた。

バレエという世界も大変な世界だ、というのも成功できるのはごく一部だろうし、ピアニストと同じように小さい頃から英才教育を受けてライバルと戦う、更にピアニストよりもきついと思うのはバレエには「故障」というものがあるからだ。この映画でもヌレエフが途中でけがをしてしばらく休まざるを得ない場面が出てくるが、当事者としては大変なストレスであろう。ダンサーの足、足首、指などは強靱かつ柔軟な筋肉によりできあがっているのであろうが、一方で、ガラス細工のようにもろいものでもあるのではないか、そして一度けがするとクセになるという恐怖もあろう、映画の中でもダンサーは恐怖との闘いに勝たなければダメだ、というようなセリフを言うシーンがあった。ダンスを失敗する恐怖、故障をする恐怖、故障が再発する恐怖、などなど大変なものだ。

この映画はバレエの世界、共産主義国家におけるバレエの世界というものを知るには良い映画だと思った。