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気ままに生活してるシニアの残日録

「ダムラウ&カウフマン デュオ・コンサートⅠ&II」を観る

2023年02月27日 | クラシック音楽

クラシック倶楽部でダムラウとカウフマンのデュオコンサートをやっていたので観た。1回55分の放送で2日に分けて約2時間放映された。

出演は

ディアナ・ダムラウ(ソプラノ)(独、51)
ヨナス・カウフマン(テノール)(独、53)
ヘルムート・ドイッチュ(ピアノ)(墺、77)

曲目は

シューマン:歌曲集「ミルテの花」作品25から「献呈」
シューマン:十二の詩 作品35から「ひそかな涙」
ブラームス:歌曲集 作品72から「失望」
ブラームス:歌曲集 作品57から「私は夢を見た」

ブラームス:歌曲集 作品71から「秘密」
シューマン:二重唱曲集 作品78から「彼と彼女」
シューマン:歌曲集 作品40から「裏切られた愛」
ブラームス:歌曲集 作品47から「恋人の手紙」

日時、場所 2022年4月13日、ウィーン楽友協会大ホール

歌手のダムラウとカウフマンは当代きっての人気歌手と言えるだろう、歌手も会場も最高であり、チケットを手に入れるのも大変だったろうし、高かっただろう。それをテレビで見れるのだから有難いが、こちらも高い放映権料を払ってるのだろう。

演目はシューマンとブラームスの歌曲であるが、この二人は生前関係があり、ブラームスがシューマンのことを尊敬し、自分の曲を一度送ったが相手にされず、その後、機会があってシューマンに会うことができ、ピアノで自作を演じたところシューマンは彼の才能を即座に見抜き、あらゆる助言を惜しまなかった、しかし、その1年後、シューマンは投身自殺を図り2年後に死亡した、シューマンに恩義を感じていたブラームスはおおぜいの子どもを抱えて途方にくれていた未亡人のクララを支えた、彼女に対する恋愛感情があったかもしれないが、生涯独身だった(「クラシック千夜一曲」宮城谷昌光著、P203~)、そういうこともあってこの二人の曲を組み合わせたのだろうか。

ダムラウとカウフマンの二人はさすがに歌はうまく、歌うしぐさというか姿勢というか、実にかっこよく決まっている。恋の歌だと見つめ合い、手を握らんばかりに近づき、また手を握り、そんな姿がちっともおかしくなく様になっている。くやしいが日本人歌手には真似のできない演技であろう。ただ、カウフマンという男はウィキペディアによれば公演をキャンセルすることで有名らしい、特に日本においては6回の来日公演をキャンセルしたとあるが、本当だとすれば素直に好きにはなれない人物だ。

 


「北村朋幹 ピアノ・リサイタル」を観に行く

2023年02月27日 | クラシック音楽

東京文化会館で開催された北村朋幹ピアノリサイタルを聴きに行った。彼はテレビのクラック倶楽部に出ていたので知っていた。1991年生まれの32才、オフィシャルサイトによれば、3歳よりピアノを始め、浜松国際ピアノコンクール第3位、シドニー国際ピアノコンクール第5位ならびに3つの特別賞、リーズ国際ピアノコンクール第5位、ボン・テレコム・ベートーヴェン国際ピアノコンクール第2位など受賞している。また、2005年、第3回東京音楽コンクールにおいて第1位ならびに審査員大賞(全部門共通)受賞と輝かしい受賞経歴を持つ。チケット代は全席3,300円だ。

今日の演目

  • シューマン:森の情景 Op.82
  • ホリガー:エリス-3つの夜曲-
  • バルトーク:戸外にて Sz.81 BB89
  • ノーノ:. . . . .苦悩に満ちながらも晴朗な波. . .[エレクトロニクス:有馬純寿]
  • シューマン:暁の歌 Op.133

〈アンコール〉

  • シューマン:子供のためのアルバム Op.68より 第15曲 春の歌、森の情景 Op.82より IX. 別れ

今日の演目はプログラムに書かれた北村氏の説明を私なりに理解すると、「夜」とか「闇」というのがキーワードになって選曲されたと思われる。それは、氏の説明で、ピアノは特に夜に似合うと錯覚する、などの記述や、シューマンの森の情景では、足を踏み入れた森で最後に夜の吐息が谷間を吹き抜けると、闇が静かにあたりを包む、と説明され、エーリス3つの夜曲ではホリガーは夜の人生を送った芸術家だ、バルトークでは彼は生涯を通じて繰り返し作曲した「夜の音楽」、その多くは妻に捧げられた、シューマンの暁の歌では、シューマンをETAホフマンの描く夢と狂気が入り混じる夜の世界から受けた影響の大きさは計り知れない、としていることなどからだ。

今日の演目は初めて聴く曲ばかりだ、全体的に暗い感じの曲が多かったように思うが、それは北村氏の説明を読むと納得する。また、ホリガーやバルトークの音楽は現代音楽なのか、メロディーというもの、あるいは調性というのか、それがないので私にはわかりづらい。フルトヴェングラーが言うように「無調」の音楽はベートーベンの持っていた音楽概念と別の基底の上に立っている(「音と言葉(P67)」)からベートーベンなどでクラシック音楽が好きになった人には理解が難しいのかもしれない。パンフレットの説明では、バルトークはフルトヴェングラーの指揮で自身のピアノ協奏曲を演じ、難航を極めた、とあるがさもありなんだ。

現代音楽はクラシック音楽なのか、語義として矛盾している。クラシックピアニストが弾けばクラシック音楽になるし、ジャズピアニストが弾けばジャズにもなる、既存のジャンルに当てはめる必要はないのかもしれないが、考えさせられた。

さて、北村氏だが、細身の体でやさしそうな若者だ、ちょっと神経質な感じも受けたが良い印象を持った。パンフレットに自分の考えや解説を書いてくれているのも好感を持てる。今後の一層の活躍を期待したい。ただ、ひとこと言わせてもらえば、いつものことなのだがSNS、YouTube、オフィシャルサイトでの情報発信が全くダメだ。更新頻度が少ないし記載内容もいまいちだ。この辺をアドバイスしてサポートする人はいないのか。本人は練習等で忙しいので誰かその道のプロのサポートが必要だろう、やがてそんな費用は安いもんだと感じるようになるだろう。