北海道帯広市にあった愛国駅は、根室本線の帯広駅と広尾駅とを結んでいた全線単線非電化のローカル線だった国鉄広尾線(84.0km)の一般駅として、1929(昭和4)年11月2日に開業しました。 しかし、広尾線が1987(昭和62)年2月2日に廃止されたことに伴い、愛国駅も廃駅となりました。
かつては相対式ホーム2面2線を有し列車交換可能で、駅舎横の切欠き部分に貨物ホームと引込み線、他に貨物側線も有していましたが、廃止時点では単式ホーム1面1線だけでした。
開業時に建てられた木造駅舎は、無人駅化後の1979(昭和54)年8月に新しいコンパクトな駅舎に建て替えられました。
愛国駅が属していた国鉄広尾線は、改正鉄道敷設法別表第133号の規定により建設され、まず1929(昭和4)年11月2日に帯広~中札内間が開通し、それ以降、順次延伸していき、1932(昭和7)年11月5日に全通しました。
全通後は、沿線住民の足となり、またジャガイモや農産物の輸送にその役割を果たして南十勝発展の原動力となりましたが、やがてモータリゼーション化によりしだいに旅客・貨物共に輸送量が減少し、1980(昭和55)年12月の国鉄再建法施行による特定地方交通線選定の際には第2次特定地方交通線に選定され、ついに国鉄分割民営化直前の1987(昭和62)年2月2日に広尾線は廃止されました。
愛国駅跡は現在、帯広市により「愛国交通記念館」として整備されており、線路上には9600形蒸気機関車19671号機が静態保存されています。 また旧駅舎内には当時使用していた鉄道の備品や写真パネルなどが保存・展示されています。
<愛国駅の年表>
・1929(昭和4)年11月2日:国鉄広尾線の一般駅として開業
・1974(昭和49)年12月15日:貨物・荷物取扱い廃止、 駅の無人化
・1979(昭和54)年8月1日:駅舎改築
・1987(昭和62)年2月2日:広尾線廃止に伴い、廃駅となる
(かつての駅名標)
(旧駅舎正面)
撮影年月日:2001(平成13)年6月19日