伊勢ー白山 道

集団では無く、社会の中で心身の健康を正しく個人で目指します

恩人の 思い出話

2007-07-13 19:53:53 | Weblog

今日、何気なく恩人から聞いた話を思い出しました。
恩人が医学部の院生の時、博士論文を書くために毎晩遅く
まで研究室でデータを採取している時に、近くの路上に牛タン
を焼く屋台の店が有ったそうです。昭和20年代後半の話です
恩人は早くに父親を亡くし、奨学金で大学に行き、院生の時
は、自身のアルバイトだけで生活していました。母親は、市場で
自分が作った御惣菜物を売って、やっと生活している状態
です。ただ、お米だけは送ってくれたそうです。
夜、10時を過ぎた頃から匂って来る、牛タンの焼ける香り
には本当に参ったそうです。その屋台の客層は、夕方に晩飯
を食べ終わり、夜8時過ぎから寝る前の一杯を飲みにくる
近所の商店の主が多かったそうです。恩人は、毎晩その香り
に悩ませられながら、研究していたそうです。恩人は、学生
時代にバレーボールの選手で、国体で優勝した経験もある
スポーツマンでした。身長は180cmも有る、当時では大男です
そして、若いです。その境遇での、遅晩の牛タンが炭火で
焼ける香りです。堪らなかったそうです。
何とか、バイトでお金を貯めて、やっとの思いで屋台へ食べに
行ったそうです。恩人は、恥ずかしながら弁当箱に御飯だけ
を詰めて行きました。店主は、恩人を見てあんたは学生
かい?とだけ聞いて、黙っていました。
恩人は、牛タン数枚で弁当の御飯を平らげました。
もう、アゴが落ちるとは、このことかと思ったそうです。
後年、病院を開業して成功してから、噂に聞く牛タンの名店は
ほとんど行ったそうです。しかし・・・・・学生の時に食べた、
あの牛タンに勝る味は無かったそうです。
店ごと買える身分に成れた時には、あの味に出会えないのが
残念だと笑って居られました。
私は、この話が好きなんです。
人間は苦しく、辛い時にこそ感じた小さい幸福は、何ものにも
勝る、後で二度と味あうことが出来ない最高の幸福だと感
じるからです。苦しい時にこそ、気付いて居ない幸福に、
気付きたいものですね。

今日も無事に 生かして頂いて ありがとうございます

  
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コメント (27)
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