伊勢ー白山 道

集団では無く、社会の中で心身の健康を正しく個人で目指します

火の車

2007-09-27 19:34:34 | Weblog
今日は、秋の夜の悲しい怪談話をしましょう。
私が小学生の時に、母方の祖母から聞いた話しです。
太平洋戦争の末期ごろのことです。
祖母の家の近所に、姑と若夫婦が住む農家がありました。
ある時、若旦那さんが徴兵の為に出兵しました。その時、
奥さんは妊娠中でした。
旦那さんが出兵して、半年後ぐらいに若奥さんは、初めての
長男を生みました。
そして、その3ヶ月後に戦地から若旦那さんが戦死された
電報が届きました。
祖母の話では、若奥さんは結婚当初から姑に、大変な苛め
を受けていたそうです。 大事な一人息子を取られたように
思われていたのでしょうか。 はたから見ていても、祖母は
気の毒に思い、影で若奥さんを励ましていたそうです。
若奥さんは、電報を受けてから3日後に乳児を残して自殺
してしまいました。唯一の頼りだった旦那さんに死なれて
将来を絶望してしまったようです。
祖母は、当時8人の幼い子供が居り、一番下の子供はまだ
乳児でした。若奥さんが自殺して数日後に、姑さんが祖母に
残された乳児に御乳を飲ませてやってほしいと頼みに来られ
たそうです。朝と、夕方の日に2回、御乳を飲ませてくれたら、
お茶碗1杯の御米を毎日あげるからと。
祖母は、戦時中の子沢山で食料に不自由していたのと、
残された乳児が可愛そうだったので、喜んで引き受けたそう
です。
祖母が夕方、御乳をあげに訪問する時は何時も、お腹を空か
して泣く声が、玄関先まで聞こえていました。
ある日の夕方、訪問すると泣き声がしていなかったそうです。
珍しく思い、寝ているんだと感じたので、静かに乳児がいる
部屋の障子を少しだけ開けました。部屋の中を覗くと・・・
寝ている赤ん坊の顔を、座って上から覗き込む人の後姿が
見えました。赤ん坊は、手足をバタバタさせて喜んでいる風で
した。その時、祖母は異変に気が付きました。その後ろ姿の
人は、体が灰色の一色で、半分透けていたそうです。
その後ろ姿には、見覚えがありました。 亡くなった若奥さん
でした。 祖母が1時間後に再び行くと、その灰色の影の人
は、既に居らず、赤ん坊が空腹で泣いていました。

ある朝、祖母が何気なく農家の玄関先を見た時、真っ赤に
炎で燃える檻を乗せた大八車を2匹の炎の鬼が前後に立ち、
車を引きながら天に登って行くところを目撃したそうです。
この火の車は、地獄からの迎えです。
ちょうど火の車を見た日は、若奥さんの四十九日でした。

若奥さんのような、不憫で可愛そうな境遇の人でも、自殺
すれば、否応無く地獄から向かえが来るようです。
なんとも割り切れない部分がありますが、内在神を殺す事
は、許されないのでしょう。
人間は、どんな醜態をさらそうとも、生きなければならない
ようです。

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コメント (129)
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