すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【アジア杯】審判のプレゼントがなければ引き分けだった ~日本1-0オマーン

2019-01-14 11:48:54 | サッカー日本代表
勝敗を分けたPKのジャッジ

 奇妙な勝利だった。日本は原口の「演技」でファウルをもらってPKを決め、かたや前半44分の長友のハンドはPKを取られなかった。あの審判のジャッジがなければ0-0の引き分けだった。この試合をひとことで要約するとそういうことになる。

 南野は前半7分と11分、23分、25分に決定的なシュートを放ったが決められなかった。どれか1本でも取れていれば日本はラクになった。だがよく走り守備もやっており、彼をマイナス査定する気はまったくない。

 一方、1点リードした後半の日本は無理せずポゼッションしながらチャンスをうかがい、うまく時間を使った。これでキッチリ1-0の勝利である。

 全体にコンディションがよくない日本はグループリーグで薄氷の勝利を続け、決勝トーナメントに向けてコンディションを上げて行くしかない。今回はそういう戦いだ。この試合で欠場した大迫が心配されるが、復帰を祈りたい。

吉田のロングフィードが効いた

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。かたやオマーンも4-2-3-1で、自陣に引き込むわけではなくミドルプレスで来た。守備時には4-4-2になり、2トップが日本のCBに前からプレスをかけてくる。

 そのため彼らの最終ラインのウラにはスペースがあり、そこを狙った吉田のロングフィードと南野の走り込みが効いていた。この長いボールで相手のDFラインを下げさせる。で、敵の布陣をタテに引き伸ばし、最終ラインと中盤との間にスペースを作るのだ。

 また両SBの長友と酒井宏樹が交互に上がり、日本は3-2-4-1のような形で攻めていた。これでサイドを使って幅を取り、敵陣を横に引き伸ばして真ん中にスペースを作る。

 前半のオマーンは足元へていねいにショートパスをつないでくる。だがミドルゾーンからアタッキングサードにかけてが荒く、なかなかシュートに持ち込めない。

 一方の日本は立ち上がりから南野が立て続けにシュートチャンスを作るが、決め切れない。そんなシーソーゲームが最後まで続いた。むろん日本のほうがポゼッション率は圧倒的に高い。

バイタルを締めた柴崎と遠藤航

 さて、ではトルクメニスタン戦でカウンターを食らい続け、課題が残った守備はどうだっただろうか?

 この試合でコンビを組んだセントラルMFの柴崎と遠藤航は、トルクメニスタン戦のようにバイタルエリアをぽっかり開けたりしなかった。ときおり遠藤は最終ラインに下りてビルドアップもしていた。またオマーンの攻撃チャンスが少なかったせいもあるが、DFラインの守備も及第点だろう。

 ただ相手ボール時の柴崎はコースの切り方、カラダの向きが悪いケースがあり、簡単にパスを通されるシーンが目についた。所属チームで試合に出てないせいで、危機察知能力が衰えているのだろうか? この点も今後試合を続けて修正して行くしかない。
 
 一方、欠場した大迫の代わりは先発が北川、後半から途中交代で武藤が務めたが、2人とも機能したとはいえない。ただ比較すれば武藤のほうに分があった。このままでは北川は苦しいだろう。結局、この試合では「戦術=大迫」の開けた穴は埋められなかった。この点が今後に響かないことを祈りたい。

 ただし明るい要素も見えた。まず原口は相変わらずよく走りハードワークしていた。

 また試合終了直前に投入された伊東は相手ボールにプレスをかけ、ボール奪取からのドリブルできっちり見せ場を作った。さらにその6分後には敵のライン裏のスペースに飛び出し、シュートまで持ち込んだ。ぜひまた見たい選手である。

 優勝までは、まだ長い道のりだ。好プレイを見せた伊東をはじめ、武藤や乾、三浦など、試合ごとにうまくローテーションしながら1人でも多くの選手を見たい。

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【オマーン戦プレビュー】FW武藤は「戦術=大迫」状態から日本を救えるか?

2019-01-13 19:19:39 | サッカー日本代表
大迫が直前練習を欠席、ケガで欠場か?

(2019年1月13日、22:00現在。オマーン戦のスタメンが発表され、FWは武藤でなく北川が起用される。よって以下の記事中、「武藤」は「北川」と読み替えて下さい)

 大迫が直前練習を欠席し、今夜のオマーン戦をケガで欠場する可能性が出てきた。とすればFWの武藤に期待がかかる。現状の森保ジャパンは「戦術は大迫」状態であり、大迫はまさに替えの効かないコマになってしまっている。この状態はチームとしては非常に危険だ。

 もしここで武藤が代わりに出場し、点を取れば、チームは大迫頼りから脱することができる。また武藤個人にとっても願ってもないチャンスだ。その意味でオマーン戦のポイントは4つある。まずひとつは武藤がゴールを決め、チームの大迫依存を断ち切ることができるかどうか?

 第二に、トルクメニスタン戦の反省から、オマーン戦を無失点でシャットアウトすることができるか? ここは相手が仕掛けてくるだろうカウンター攻撃への対策が問われる。日本はボールを失った瞬間の、ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)の速さが求められる。

バイタルエリアを開けるな

 第三は、同じくリスクヘッジの意味で、トルクメニスタン戦のようにバイタルエリアをぽっかり空けてしまわないことだ。この点では2人のセントラルMFによる「つるべの動き」で、バランスを考えたスペースの埋め方が必要になる。ひとりが前に出れば、もうひとりは後ろにステイしてバランスを取る。これが基本だ。

 トルクメニスタン戦のように2人のセントラルMFが同時に動きすぎ、ミドルサードからディフェンディングサードにかけてのスペースをあんなに開けてしまっては致命的だ。「どうぞカウンターをかけてください」というのと同じである。

 最後に第四のポイントは、サイドをうまく使い幅を取った攻撃ができるかどうか? ボールを持ってないときのオマーンは、徹底して中央を締めてくるに決まっている。にもかかわらず日本がトルクメニスタン戦の前半のように真ん中からの攻めに固執してしまっては、敵の思うつぼだ。

 中央を固めた敵に対しては、サイドを使って敵の布陣を横に広げさせること。こうして真ん中にスペースを作って最終的にゴールを狙う。サイドにいる日本のボールホルダーに対しオマーンのSBが寄せてくれば、オマーンのSBとCBの間(ニアゾーン)が空く。ここが攻略のツボだ。

 すっきり無失点で締めてほしい。

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【アジア杯】顔を洗って出直して来い ~日本3-2トルクメニスタン

2019-01-10 06:40:23 | サッカー日本代表
敵の術中にハマり続けた日本

 日本が当然のように押し込み続けたこの試合。トルクメニスタンは5-4-1でゾーンを低く設定し、ただ守っているわけじゃない。常にボールを奪ったあとの速いカウンターを狙っていた。それが彼らのゲームプランだった。明らかに彼らは日本を研究していた。

 日本はそんな彼らの術中にハマり続け、何度も危ないカウンターを食らった。

 日本は攻め上がったあとの後ろ半分のリスクヘッジができておらず、しかもネガティブ・トランジション(ボールを失ってからの守備への切り替え)が致命的に遅い。で、おもしろいようにカウンターを食らった。「顔を洗って出直して来い」とでも言うしかないデキだった。

前がかりになればウラにスペースができる

 日本は終始前がかりになっているのだから、最終ラインの裏にはだだっぴろいスペースがある。ここを狙われた。「一発食らわせてやろうぜ」というトルクメニスタンの士気は非常に高く、彼らはいったん日本に攻められたあとにボールを奪い返してからの攻めへの切り替え(ポジティブ・トランジション)が速かった。で、カウンターがおもしろいように決まった。

 日本の1失点目も、堂安の豪快なパスミスが見事に敵へのパスになり、カウンターを食ったのが起点だった。そのあとボールを保持する敵をどフリーにし、誰もプレスに行かず、あっけなくシュートを決められた。まったくあきれてものがいえない。

 相手はスペインじゃない。トルクメニスタンだ。3点取って勝ったことなど当たり前。むしろ何度もカウンターを食らったあげくに2失点もしたことを重く見るべきだ。

「抜け目のないチーム」という言葉があるが、日本はそれとはまるで正反対の無垢なチームだ。赤ちゃんのように純真で、敵の策術の前にまったく無防備。「抜け目なく敵の裏をかく」ということがない。ロシアW杯のベルギー戦でバカみたいなカウンターを食らって負けたのとまったく同根だ。これは国民性やメンタリティの問題だから修正するには歴史がいる。かなりの時間と蓄積が必要だろう。

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