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伊豆の山々へ沈む夕日

2013-03-17 15:51:51 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 実は、私は宮川哲夫という人を知りませんでした。

 今回、波浮の石碑を見て初めて、その名を知りました。

 

 ネットで調べてみますと、宮川哲夫は大正11年に波浮で、大きな網本の長男として生まれています。

 当時の波浮は日本全国から漁船が集まり、日本でも有数の漁港として繁栄していました。

 網本である哲夫の父は演劇が好きで、伊豆の踊り子一座に別荘を貸し与えるほど裕福だったようです。

 

 その後、哲夫が中学へ入る前に家が倒産、母を亡くすなどの中で、哲夫は東京の師範学校を卒業し、小学校の教諭をしながら「街のサンドイッチマン」などの作詞をてがけ、鶴田浩二が唄った「赤と黒のブルース」、フランク永井の「夜霧の第二国道」「羽田発7時50分」などのヒット作品を生み出していったようです。

 

 今回も時間潰しで乗ったバスの旅の、ほんの数十分の散策で、予想もしないものに出会い、印象に残る濃密な時間を過ごすことができました。

 

 以前にも書きましたが、私は時計も携帯電話も持たずに歩いています。

 親切なバスの運転手さんは、私の姿が見えなければ、きっと多少は待っていてくれるだろうと思いますが、そろそろバス停へ戻る時間になった気がします。

 波浮の港を眺めながら、さっき登ってきた石の階段を下って行きました。

 

 

 

 帰りのバスの中でも、先ほどの運転手さんが、波浮にある大島南高校は船乗りのための全寮制高校で、学校が船を持っていて、生徒は毎年、航海実習に出ているとか、ここが三原山が一番よく見える場所です、などのガイドをして頂きながら、予定通りに元町港へ戻ることができました。

 お陰様で本当に楽しいバスの旅となりました。

 便数こそ多くはありませんが、大島の路線バスには本当に良い思い出を頂きました。

 

 

 元町港を出港する最終の高速フェリーは16時35分発で、帰りは伊東へ寄港せずに熱海へ直行します。

 

 

 私は自分の車を伊東の岸壁の駐車場に置いてきましたから、熱海から伊東へはJRで戻ることにして、船上の人となりました。

 

 

 帰りのフェリーからは、伊豆の山々の向こうへ沈んでゆく夕日が本当に見事でした。

 

 見事な日の出に始まり、見事な夕日で締めくくられた伊豆大島の花旅は、こうして穏やかな海の上で暮れてゆきました。

 

 

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公園の手品師

2013-03-17 09:37:21 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 波浮港のバス停に着くと、運転手さんが周囲の家々を見ながら、「昔はあの窓で、女達が船乗りに手招きしてたんですよ」と説明してくれました。

 

 へー、そうなんですか! そう思って見渡すと、波浮の家並みが、昔の賑わいを語り始めるような気になるから不思議です。

 

 

 運転手さんは「終点まで行って、20分程で折り返してきますから」と告げ、私を降ろしてバスはのんびりと走り去って行きました。

 

 

 家並みの中に続く路地を歩いてみました。 

 何の変哲もない飾り雛が、曰くあり気に見えます。

 

 

 道の先が階段となり、その横の壁に「やとなみ」と書いてありました。

 

 おっと、昔の字は右から「みなとや」と読むのですね。

 

 

 格式を感じさせる旅館が門を構え、今ではここは「踊子の里」という資料館になっているようです。

 

 どうやら、林芙美子もこの旅館に逗留したことがあるようです。

 石の階段の道に林芙美子の文学碑があり、その直ぐ横に、林芙美子が逗留した昭和8年頃、三原山は、自殺・心中の名所となっていて、大勢の観光客が来島したといった解説が掲示されていました。

 

 

 時間に余裕がないので、「踊子の里」へは寄らず、更に石段の先へと歩を進めました。

 

 そうそう「踊子の里」の名ですが、川端康成の小説「伊豆の踊子」のモデルになった、旅芸人一座の薫たちが港屋旅館で芸を披露したのが由来なのだそうです。

 

 

 

 ゆったりとした階段を上り詰めると、石畳の道に石蔵が建っていました。

 

 石蔵の壁に「踊子の里 旧甚の丸邸」の字が見えます。

 

 

 石蔵の裏へ周り込んで、甚の丸邸を覗いてみました。

 

 庭の中央で、屋根の高さに蘇鉄が伸びて、黒潮に浮かぶ島の情緒が感じられます。

 

 

 門の中へ入ると、設置された石碑に以外な字句が刻まれていました。

 

 

 公園の手品師 宮川哲夫

  鳩が翔びたつ 公園の

  銀杏は手品師 老いた道化師(ルビ→ピエロ)さ

  うすれ陽に 微笑みながら

  季節の歌を 唄っているよ

  手風琴(ルビ→アコーデオン) 借して あげようか

 

 

 え! これって、私が行きつけのカラオケスナックでよく唄う、フランク永井の「公園の手品師」じゃありませんか。

 

 フランク永井が唄った歌詞とは多少違いますが、元の詩はこれだったのですか!

 

 銀杏は手品師 老いたピエロ~ ♪

 

 いいですね~、 

 秋の公園で、黄色く色づいたイチョウの葉がひらひらと舞い落ちる様子が目に浮かんできます。

 

 フランク永井が唄ったシャンソンを思わせるメロディーは、東京の青山辺りのビル裏の公園をイメージするような曲です。

 

 思いがけない場所で大好きな歌に出会えました。

 

 

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