先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1923年岡山県庁「中島遊廓娼妓代表の陳情」 (読書メモ-「労働年鑑」第5集1924年版大原社研編)

2022年02月16日 07時00分00秒 | 1923年の労働運動

静岡県下「芸娼妓」の年齢(1922年)

1923年岡山県庁「中島遊廓娼妓代表の陳情」 (読書メモ-「労働年鑑」第5集1924年版大原社研編)

 1923年における「芸娼妓」の主な争議
1月、六三亭芸妓(上海)
4月、大森立花屋芸妓(東京)5名
4月、甲斐町芸妓(広島)
5月、津山芸妓(岡山)30名
7月、堺東末廣楼娼妓(大阪)
7月、岡山中島遊廓娼妓代表の陳情
11月、福原廊西村楼娼妓(兵庫)
11月、神戸新開地芸妓(兵庫)40名
12月、丸山廊三波楼娼妓(長崎)21名
12月、宝莱楼娼妓(秋田・大館)

岡山県庁「中島遊廓娼妓代表の陳情」
 以前より密かに協議していた中島遊廓娼妓全員は、ついに5名の陳情代表委員を選び、1923年7月23日、代表5名が岡山県庁に陳情書提出のため知事との面会を求めた。知事に代わって警察部長が面会し以下の趣旨の陳情を聴取した。

陳情書
 世の中のいかなる階級が憐れれだと言って、私たちの群れ程憐れなものは御座いません。それも自ら好んでこのごとき生活に身を投じたのであれば自業自得というの外はありませんが、私たちのほとんど全部は日本の国の美しい伝統である家族制度の犠牲となり、親のため家のため、あるいは可憐な弟妹のため身を殺して来たのでございます。文化の進步した今日の時代に、この公娼制度ほど不合理非人道なものはございません。これがはたしてやむを得ない文明の副産物でありますなれば、最も悪い意味のものでございます。今や各方面に改造解散の声は高らかに叫ばれて起こりながら、ひとり最も不合理な公唱制度の改廃および公娼の救済において熱心に唱える者がないのでございます。その理由は私たちが今日まであまりに無自覚であったというの外はないのでありますが、憐れなる者の眠りは永久のものではありません。彼の米国においては南北戦い鮮血を流して一切の下僕が解放され、人身の売買が禁じられました。私たちはここにアプラハムリンカーンの古智に習って第一の犠牲者となり、岡山東西中島遊廓否全国幾万の公娼のために立ち上がりました。すなわち、まず知事閣下の権限においてなし得られる別紙要項を御改革下さるよう陳情するものでございます。而して次の要項は西中島の遊女全部の賛成を得て、自ら進んで実行委員の重任を引き受けましたものなれば、なにとぞご高配をお願い申しげます。
大正十二年七月二十三日 
陳情委員 村山はな 藤田知代 重光玉江 荒木すま 水谷千代

陳情要項
左記の条項至急改革実現して下さい
一、外出散歩に閣する東警察署の取締制度を撤廃すること
(理由)毎日院内に閉籠し、脂粉を凝して男に仕える私たちの不衛生と不愉快を発するものは、時過ぎの外出と散歩なるのみです。しかるに本年六月以来、東警察署より次のごとき御達しがあり、許るされておった少い自由を奪いさられました。理由は遊廓移転問題に伴う風紀取締りによるらしいのですが、それは公唱制度を容認する社会自身の負うごとき罪で、私たちの関知するところではありません。本署の規程は「外出は月一回、興行見物は二回、神詣りの外許さず」

二、婦人病を花柳病同様、県費をもって治療すること
(理由)今日の検疫および強制入院は全く遊客、すなわち男子及至は社会公衆衛生のためのみで、私たちの受ける非人道的行為は一般の犠牲となるものであります。私たちは右の検疫を受ける代償として、男子に与えられた非伝染性婦人病の治療費を公娼制度を容認する貴官に要求します。

三、強制入院を自由人院とすること
(理由)中島病院の病室設備を現在以上に完備する事が出来なければ、私たちに通院を許してもらわねばなりません。その際の取締は廓主に対して、加療中のものを客席に出した者は、罰金何円という取締りをなされたいのであります。

四、婦人病によるる休業は年期延長の理由となさぬ様、楼主に対して規程されたきこと
(理由)従来病気による体業は、年期以前に努めたのでありますが普通の病気はともかく婦人病は、入廓後の勤めにより発生するもので、これによる損失まで楼主に対して私たちが負担せねばならぬ理由はないと思います。

五、廃業の救済設備を県においてなされたきこと
(理由)私たちは若い数年をこのいまいましい職業に送り、廃業後結婚する事も出来ず、遂に私娼となったり色々堕落するものが多いのも嘆かわしい事に思っています。これが救済は社会事業としても必要のものではありますまいか。

六、消毒器の設置を東中島同様とすること
(理由)説明の必要はないと思います。」

 上の運動は社会の注目と同情をたかめ、全国各地の社会運動、労働運動閣係の団体から激励の電報書信が殺倒した。



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