朝鮮人労働者との団結を強調した東京硝子(ガラス)工組合結成大会 1926年の労働運動(読書メモ)
参照 「協調会史料」
東京硝子(ガラス)工組合発会式
1926年11月7日午後6時~10時
場所 深川区猿江裏町134衆楽館
組合員約200名
傍聴者約500名
議長 東京合同労組執行委員長唐澤清八
祝電
神戸金属労働組合
日本相愛会
大阪印刷労働組合
神戸港内労働組合
大塚地方評議会
大阪電気労働組合
評議会総本部
関東地方評議会
無産青年同盟東京支部
演説
この日、評議会所属組合幹部21名が演壇に立ったが、臨監警察官より弁士15名もがロシア革命記念日に関連する過激発言だとして演説中止を命じられた。
東京硝子労働組合結成運動方針
現在、東京ガラス労働組合は東京市における10工場に基礎を持っている。今、東京地方にあるガラス工場の数は本所区の60工場、深川区の80工場を中心に合計約200工場であり、労働者総数約1万5千人で、その内朝鮮人労働者が800人働いている。ガラス産業の劣悪な労働条件は、他の重工業と比べることもできないほどひどく、それはゴム、セルロイド等の化学産業と共通している。
本組合は、この酷使に血肉を搾られている労働者の生活を改善し、進んで無産階級解放の戦線の一端を固めねばならぬ。
次に、我がガラス労働組合は単にガラス産業の中にのみ固定することは、部分的闘争に捉われる危険があり、必然的に職業組合に堕ちる路を辿(た)どるものである。故に我々は全無産階級陣営の産業別化学労働組合の一基石たる使命を持つものである。現在我々の特殊的部分的闘争においてもゴム、セルロイドの労働者と一致する点が多いから必然的に化学産業労働組合の一大組織に発展するものである。
次にあげたガラス労働者の当面する要求を、我々は勇敢にこれを獲得すべき闘争において、全ガラス労働者を我々の傘下に糾合しなければならない。
要求
一、カマツキ(炉修理中?)期間中の日給支給
二、ジャッパン屋制度(不明)の改善
三、傷害手当の制定
四、衛生設備の完備
五、労働時間の短縮(最長10時間)
六、朝鮮人にも日本人と同等の賃金支給
そのために次の方法を取る
一、工場内共済会及び御用団体の自主化の指導
二、工場茶話会の開催の指導
三、工場代表者会議の開催の指導
四、工場委員会の組織と指導
五、経済的闘争
更に我々の闘争は、現行資本主義との闘いのため無産階級的理論と訓練の獲得に努めねばならぬ。その方法として、
一、我々は進んで労働農民党を支持すべきである
一、研究会の組織
一、あらゆる組織的経済闘争に勇敢に参加する事
職場の多くの朝鮮人労働者との団結(創立大会決議より抜粋)
ガラス労働者には朝鮮人が非常に多い。しかも従来の偽愛国主義的ブルジョワ教育のため、日本人労働者に朝鮮人に対する意識の上での障壁を設けられている。我々は無産階級的利益の上に立って、彼等と共に共通の敵資本主義階級と闘争することによって、この偏見を打ち破っていかねばならない。彼らを我々の陣営に参加せしめねばならぬ。なお言葉の不通は、・・特別に研究会を組織し解決し、また彼らの民族的特殊要求は、無産階級的見地よりこれを批判し支持せねばならぬ。そのためには朝鮮労働団体と特に密接な提携を必要とする。
以上の方針に従って常に評議会の指導精神をもって、一貫し勇敢に資本家階級と闘争せんとするものである。
日本労働組合評議会 東京硝子労働組合 創立総会
1926年11月7日
以上