絵はがきを何度見返しても
宛名はない
レンズだけが知っている
その時だけの一瞬の本当には
風の匂いも音もあり
ゆらめく光の温度があり
引き返せない奥行きがあるのに
星降る夜の天の川さえ
呼び合う声は川に流れても
年に一度の約束は守るのに
切り取られた風景は
裏側の白さにかくれて
差し出す名前の色まで消した
今ひとりだと思ってしまったのは
何もする事がないから
寂しさを感じてしまったから
いつもなら
ひとりになりたくて
やらなきゃならない事は
必死で終わらせるのに
たとえば
どうしても見たかった映像
姿勢を正して真剣に見て
終わってしまった後
満足感をおおいそうな脱力と
次のことなど考えていない喪失感
休みだからと甘やかしながら
暗い雲の落ちる前にカーテンを閉めた
明るいと言われても使命感
ポジティブと言われても演技派
人前で見せる自分も自分
相手に合わせるばかりで
つまらないのか自問自答
でもね
相手も私に合わせようと
頑張ってくれてるはず
我が道を行く人は
自分勝手じゃなくて
行きやすい道を探しているだけ
行きたい場所に向かっているだけ
どんな時も誰だって
嫌われない優しい時間を
求めながら生きているのだから
どこまでやればいいのか
どこまで行けばいいのか
わからない 中途半端
ジグソーパズルの完成みたいに
たくさんのピースがあっても
完成図がハッキリしているのなら
出来た!と言えるけど
誰にも見えない結末と
あり過ぎる予想図が
方向も感覚も惑わせながら
未知の世界へと引き寄せる
迷っても構わない
悩んでも仕方ない
無限の答えと終わらない続き
不安と怖さに半歩戻り
360度の視界の中で
ウロウロもスタスタもまた楽し
大地に根を張らない限り
ここにいるのは難しい
引力で動くモノも
風に乗るものも
眠るための場所を選ぶなら
定住と言うのだろう
定められた歌が流れるたびに
この地に生まれていない事に
はじき出された感覚が残る
地球規模で考えられるほど
頭の中に余裕はないけど
自分が立つちっぽけな場所に
安らぐぬくもりがあればいい