説明できないひらめきが
くるっと後ろを振りむかせ
一目散に駆け出した
通ってきた道だから
迷うはずはないけれど
なぜかここで立ち止まる
似たような街並みの
記憶にある街頭の灯りが
夕陽の色で足元まで伸びる
さっき通ったはずなのに
何年も経った時代の匂いが
幼い頃の自分を呼ぶ
一本道じゃなかったけれど
デコボコ道で転んだけれど
その足跡はずっと続く
気が付いたら暗かった
時間を忘れ没頭していたのか
日没の速さについていけない
集中するならそれもいい
周りが見えないのは少し困る
ひとつの事で満杯ならば
良くも悪くも他は入らない
考えは自分の選択自分の意志
マイナスに引き込まれてそうでも
プラスの引力が最大値で阻止してくれる
だから今 夜になるのを怖がらず
煌めく夜空をパジャマのままで
飛び出すことを夢に見る
同じ言葉を一緒に言ったら
怒っていても笑ってしまうけど
相手に届かない範囲でも
自分に聞こえる言葉なら
日当たりの悪い気分のまま
自分の心も暗くする
お日様だって姿を隠し
空のモヤモヤがたまって出来た
黒い雲も立ち込める
静かに泣いて去ろうとしても
どんどん気持ちがふくらんで
思わず大泣きすることもある
だけどもっと上を見れば
黒い雲さえ軽くする
笑顔輝くお日様がいつもいる
初めて息を吸った時から
疑う事も知らず
その温もりの中がすべてだった
違う大きさを知り言葉を聞き
初めてばかりの世の中で
みんな一人ずつだと知った
それぞれが同じ生き物だとしても
何もかも一人ずつだと気付くまで
痛みと苦しみを経験しながら
それでも喜びと感動があった事を
ひとつずつ思い出すためには
初めてを分かち合える人が
いた方が楽しいだろう
共有できない思い出は
片側だけ重いとしても
暗くて寒いこんな日は
閉じこもって暖を取り
心の芯をあたためる
折り目を気にした本を開け
凍える指でページをめくる
新鮮な驚きと口にした感嘆詞が
笑える表情であったとしても
寒さに負けぬ温度があったと
震える心はこんなにも熱く
今更ながら知った気がして
一枚ずつに話しかけた
噂話が聞こえぬように
北風の勢いで頭上に飛ばし
穏やかな空気で包まれますように