ついででも構わないから
途中下車してくれたら
そんな暇もないなら
スルーしてもいいから
待ち時間が長すぎて
案内板を見逃した
一歩下がって内側を歩き
下を見てたら誰かとぶつかる
分かるはずない
分かろうとしない
反転したまま見つめ合う
左右真逆のお互い様だもの
誰にも見つからないように
こっそり卵を温める
イキモノに与えられた本能が
次に繋ぐことならば
駆け足の一生だとしても
今を生きることに専念する
未熟なままで世界を知り
未完成なままで飛び立つ時
生きる運命を力に変えて
今日を進んで行けるなら
こんな自分もひとり分
そんなあなたもひとり分
正常温度を保つために
断熱シートをはる
ふつふつと煮えたぎる前に
ぼこぼこと漏れ出す前に
いとも簡単に
自分をコントロールできるなら
平和と呼ばれる世界が
いつもそこにあるのだろうか
思い通りとは無縁の流れの中
自分以外を受け入れるには
痛みと不満がついてくる
望みを少しずつこぼしながら
小さな願いを拾いながら
いつの日か両手いっぱいになるように
どこが折り返しだったのかな
行きはゆっくり
帰りは猛スピードで
そんなに急いでどこに行くのだろう
駆け足はできないけれど
記憶だけさかのぼって
懸命に生きた年月を恋しがる
元気?と言う挨拶はしない
そうだねと相づちを打つだけでいい
悲しくて泣いて
辛くて泣いて
鼓動の速さでトントンすれば
子供のようにやわらかな笑顔
疲れたね
もう眠いね
それでも遅くなるよとやさしく笑う
いつでもお母さんに戻る時
ひとり暮らしじゃないけれど
生活のための家事も仕事も
なぜか偏る暑い夏
沸騰しそうな空気の中を
行かねばならない事もあり
不満を飲み込み汗を出す
みんながそうだと言い聞かせ
この後のご褒美だけを想像し
いつの間にか過ぎた記念日を思う
やる気の朝は気怠い午後に早変わり
いちにち大人になったなら
その分心も広くなりたい