振り向いた笑顔に
何を感じるかは
その時の気分次第
同じ角度の瞳の先に
何が映っているかは
その人の心次第
誰にも決められず
誰も知る事はできない
その人だけの心の内
さらけ出したとしても
薄いベールの揺らめきが
もどかしさだけを見せる
見えそうで見えない
見てはいけないその奥を
見せるふりして笑顔を作る
懐かしいと感じたのは
同じ匂いの知ってる温度で
記憶のどこかに
残っているからだろう
初めてばかりの毎日は
似ている記憶に書き換えられて
繰り返すと思い込みながら
実はすべてを最初からやっている
昨日までの心の色が
たった一晩のリセットで
まったくの別物に変わっても
これもまた最初からの始まりだから
懐かしい気持ちを持ったまま
永く続いた今までに
この瞬間を仲間にしながら
ここからのスタートにする
心は自由だと言いながら
一番重い鎖をつける
よそ見をしてはいけない
好き以上の気持ちは持つな
必ずここに帰ってくること
人間社会で生きていくには
本能を隠す秩序が不可欠で
理想の理性を顔にする
裏表も善悪も境界線が必要だからと
いにしえの経験値から印を決める
人数分の違いの中に似てる部分を探し出し
平等と言う名のもとに振り分ける
従う人抗う人
認められた権利の中で
切り取られた空を見つめ
今日は何を思うのだろう
何色にでも染まるようにと白を選んだ
けれど真っ白な雲は
青空に染まらず凛と浮かぶ
小さな透明の粒の集まりが
自らの形を変えながら飛ぶ
固定された色の中に飛び込む
混ざることなく白を描き
少し沈んだ重さを量りながら
堅い土台がそれを弾く
パステルカラーの優しさは
お互いを受け入れる柔らかさで
少し面倒な手を加え
時間をかけて混ぜていく
思わせぶりなその態度
のるかそるかの大勝負
すぐに反応できる人
余所行きの言葉を箱に詰めて
ほどいたリボンもそのままに
流れるように気持ちを返す
そこにあるのが本当だとしても
身に付いた社交辞令が嘘をまぶす
自分の気持ちを伝えるのではなく
即座に反応することを良しとする
そんなやりとりが安全圏の中にはびこり
お互いを味方だと思うことでやり過ごす
分ける必要がないとしても
手立てが見つからず立ち止まっても
固定された反応を放り投げて
広くて高い青空に問う