雨と晴れの間を通り過ぎた
ゆっくり歩けば気付いたのだろうか
容赦ない雨の重さに下をむいていた
すべる足元に気を使い
すれ違う憂いを見落とした
いつでもその時が精一杯
周りを見ていても
真ん中の自分を忘れない
世界の中心であるはずがないのに
自分を軸に毎日を進める
それぞれが
人の数だけ世界を創り
イキモノの数だけ生活があるから
いちにちとして
同じ天気の中にはいられない
歩きながら次を待つか
駆け足で遠い空を目指すか
同じ方を見て後ろ姿に手を振る
流れのままに頷く
窓越しの風景にピントが合う
涼し気な氷の音が
言葉まで冷たくする
かみ砕きながら
熱い心に落とし込めば
溶けながらぬるい涙に変わる
泣いてはいない
潤んだ瞳のピントがぼやける
涼し気な目元が
視線まで凍らせる
目をそらしながら
見えない心に問いかければ
さよならもはじまりに変わる
風が入らないように窓を閉めた
向こう側を吹く風が
渦巻きながら遠ざかる
言いたいことがあったのだろうか
聞きたいことがあったのだろうか
怒りを飲み込み
悲しみを吐き出して
遠い空に消える
分からないまま夜を迎えて
知らないまま眠りについても
戸を叩く音が聞こえる
隔てるモノと守るもの
見る側で反対の意味を持つ
厚くてもモロイ薄くても頑丈な
半透明の不確かさ
太陽を見つめてはいけない
心をほぐして平らにすれば
眩しい光も丸くなる
程よい加減で通り抜ける
キラキラ木漏れ日が舞うように
丸い隙間を次々に降りて
やわらかい心に降り積もる
今はただ
待っているのもいいかもしれない
変わる季節を追うのではなく
うなだれたまま目を閉じる
記憶の風景が頭を過ぎり
熱い思いが込み上げてきても
こぼれた涙はすぐに乾く
くすぐる風に笑顔が咲く
キャッチするものが多すぎて
手が足りない
大事にしまいすぎて
どこにあるか見つからない
知らないことの方が多いのだから
見つけたものは忘れない
知りたいことはもっと多いのだから
貪欲に探し続ける
見るたびに
時計の針は進んでいるけど
今いる場所は変わらない
願うたびに
ふくらんだ夢は大きくなって
見上げる高さを超えて行く
欲しいものは大切なものは
持ち続けてあたため続けて
失くさないように抱きしめる