吉備津神社(きびつじんじゃ)は、岡山市にある国宝の本殿がとても美しい神社です。現在の岡山県と広島県東部にまたがり、奈良のヤマト王権と並ぶ勢力を誇っていた吉備(きび)国の総鎮守として、とても古い歴史があります。
神社の周辺には巨大な古墳も多くあり、吉備津神社の祭神は鬼退治の桃太郎伝説のモデルとしても知られています。古代から続く日本有数のパワースポットです。
パワースポット感抜群の入口
「吉備」と聞くと桃太郎のおとぎ話で有名な「きび団子」を思い浮かべます。私も地名を表したものと思っていましたが、実は原料の粉を示すそうです。吉備津神社に伝わる桃太郎伝説にちなみ、発音が同じことから岡山県で誰かがPRし始めて有名になったのでしょうか。
桃太郎伝説は、吉備国を勢力下に収めるためにヤマト王権が派遣した皇子・彦五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)と、吉備国を治めていた温羅(うら)と呼ばれる渡来人の戦いの物語が、いつしかおとぎ話として知られるようになったとする説が有力です。彦五十狭芹彦命は善玉の桃太郎に、温羅は退治される悪玉の鬼になぞらえられたというものです。
彦五十狭芹彦命は、吉備津神社の祭神である大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)になっています。おとぎ話ですので事実の認定は不可能でしょうが、吉備津神社の公式サイトでもこの神話が紹介されています。
【公式サイト】 鬼退治神話
神秘的な北随身門
吉備津神社は、吉備国が飛鳥時代に備前・備中・備後・美作の4か国に分割されると、備中(びっちゅう)国の一宮(いちのみや)、すなわちその国の最高格の神社になります。吉備津神社から東に1kmも離れていないところに名前が似た「吉備津彦神社(きびつひこじんじゃ)」がありますが、こちらは備前(びぜん)国の一宮です。備後(びんご)国の一宮は広島県福山市にある同名の吉備津神社です。
吉備国分割に伴って、吉備津神社から分祀されたため三社とも祭神は同じです。吉備津神社は、日本有数の歴史の積み重ねがある神社なのです。
吉備津造りの本殿
国宝の本殿はまずその大きさに驚きます。入母屋造の屋根が2つ並んでいることから、とても荘厳で存在感があります。吉備津造もしくは比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)と呼ばれる屋根です。足利義満により1425(応永32)年に建てられたのが現在の本殿です。正面の拝殿に向かって左側に広がる境内から建物の全体像がよく見えます。屋根が巨大なだけに、美しい檜皮葺(ひわだぶき)の葺き替えはとても大変だろうと思ってしまいました。それだけ見事な檜皮葺きです。
廻廊360m
本殿横からは360mもある廻廊が、地形に合わせて上下しながら一直線に末社の一つ・本宮社まで伸びています。ここは特にゆっくりと歩くことをおすすめします。1579(天正7)年の建築が積み重ねた時間の長さをじっくりと感じさせてくれます。ドラマのロケにも使われそうな特別な空間です。
火にかけた釜の鳴る音で吉凶を占う鳴釜神事(なるかましんじ)は、吉備津神社のパワースポット体験を代表する神事です。こちらもぜひ体験してみてください。まさに古代の神秘が現代にも続いている神社です。
【公式サイト】 鳴釜神事
こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。
桃太郎伝説の真実は誰も知らない
吉備津神社
【公式サイト】http://www.kibitujinja.com/
原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:5:00~18:00
※公開期間が限られている仏像や建物・美術品があります。
◆マナー教室◆
◇写真撮影の前に確認! 撮影可能か、立入禁止でないか、三脚や一脚が使えるか?
◇カメラのシャッター音は出ないように、特にスマホは注意!
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、光や熱が美術品を傷つけます!
◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。
◇庭を散策する場合、通路以外は立ち入り禁止!コケや芝生がふまれて死んでしまいます。
◆おすすめ交通機関◆
JR桃太郎線「吉備津」駅下車、徒歩10分
JR岡山駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
岡山駅→JR桃太郎線→吉備津駅
岡山駅まで
新幹線で新大阪駅から50分、東京駅から3時間20分
【公式サイト】 アクセス案内
※鉄道は本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約を強くおすすめします。
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