私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

芸人魂

2009-04-17 | 2見る・読む・聴く
イロモネアスペシャルをぼんやり見ていた。

笑いのハードルが低い人を運よく選べるかどうかで、成功の確率は30%ぐらい決しているような(統計でなく私のカンピューター)気がする。

目下気になるのは春日・若林コンビなのだが、友近さんの芸を見ていて彼女には古典的芸人魂が息づいているなぁ…と感心した。

笑いを計算できているか、観客を分析できているか…その度合いが高い人ほどプロっぽさが色濃くなる。

昔、落語家の円楽さんの噺をナマで聞くチャンスがあった。
落語会は好きでよく行ったものだが、何年も経って、その時の情景がリアルに残っていることは少ない。

記憶に鮮やかな円楽さんの噺は、その聞かせどころで女の涙ながらの語りがあって、本物の涙が円楽さんのつぶらな瞳からはらはらと玉のようにこぼれ落ち「女優さん顔負けだなぁ…」と感動した記憶がある。

その時の円楽師匠の噺は、噺に入る前噺の時間がとても長かった。
私は中央少し右で師匠を見ていたのだが、その時の同行者が余りリラックスできる相手でなく、目は笑っていたのだが、口を一文字に結び、口を開いて笑うことはなかった。
長い長い前噺がとっても長いなぁ…と気になり始めたころ、不意に私の笑いのつぼにはまったフレーズがあって、私は噴き出して笑った。

その次の瞬間、師匠は羽織を脱ぎ、漸く本題の噺に入られた。

イロモネアを見ていて思った。
あの時の私は、師匠が本題に入るきっかけとして定められ、芸人魂で挑まれていたのだと。
「センターの客席にいるあの子が笑ったら本題に入ろう…」って。

熟練の芸を、その都度、緊張感をもって披露する為のプロの勝負。
いまだに、円楽師匠の噺は私にとってとびきり上等な噺として記憶されている。
コメント
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