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今は昔、都の司にに雛人形を観るごとく艶やかで雅な夫婦がおった。
しかし、見た目と本音はこれほど違うものかと、都雀のうわさになった。
女は申し分のない家柄であったが、もって生まれたのか身持ちが悪く、さらに、大のやきもち焼きであった。
となると、何もいいところがない、わがまま女ということになってしまうが、平素は貴族的な美しさを漂わせていた。
その夫は更に貴族的なたおやかさがあり、観た目の通り優しく気の弱い男であった。夫が地方に出向いた日は、女は日夜、一人身の青年たちをはびらかせ、饗宴にふけっていたが、こと夫のこととなると尋常ではなかった。
今は昔、都の司にに雛人形を観るごとく艶やかで雅な夫婦がおった。
しかし、見た目と本音はこれほど違うものかと、都雀のうわさになった。
女は申し分のない家柄であったが、もって生まれたのか身持ちが悪く、さらに、大のやきもち焼きであった。
となると、何もいいところがない、わがまま女ということになってしまうが、平素は貴族的な美しさを漂わせていた。
その夫は更に貴族的なたおやかさがあり、観た目の通り優しく気の弱い男であった。夫が地方に出向いた日は、女は日夜、一人身の青年たちをはびらかせ、饗宴にふけっていたが、こと夫のこととなると尋常ではなかった。