土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

すっとこ・どっこい

2019-01-09 | 短詩
      すっとこ・どっこい      北村 虻曳

   灌木の鋭き棘をかわしつつ裸足で駆けしホモ・サピエンス

     クセのある枯れ木にまぎれ逃れたがチキショ木のまま戻らぬ手足

   MRIノイズの響き身に受けて踊りたくなるフランケンシュタイン

     十字路で轢き砕かれて放散し繁茂を遂げる都市の生命

   草原の墜落現場の夜が白む転がる靴は向きバラバラに

     古沼の蒲やら蓮を押除けて泥の戦艦浮かびてきたり

   ビルの裏落ち行くものは不分明巻き戻されてまた舞い上がる

     テレビレビ!調子がいいぞこの朝の破廉恥漢は同姓なのだ

   背を曲げて河の中から立ちあがる忘れられても殺られても まだ

     十万年浮上するなと念じつつ危険な記憶頭蓋の奥へ


2017-2018 歌会sora詠草より(一部改)



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