音信

小池純代の手帖から

日毎の音 鍵 201004

2020-10-04 | 日記

  鍵


 鍵盤の象牙の象を思ひつつ象の墓場の音思ひつつ


 世の果てで鍵を見つけたよろこびに果ての扉をあかるく開ける


 星ひとつひかりこぼしてゐたりけり夜の扉の鍵穴として


 かりそめの日々の宿りにふさふべくしづかなりけり鍵のしろがね


 一日の扇を閉づるかそけさに仮住みの鍵すこしく鳴きぬ

 



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