音信

小池純代の手帖から

日毎の音 麺 201014

2020-10-13 | 日記
 
  麺


 素麺としばし別れて秋の夜に煮麺としてふたたびの逢ひ


 割り切れぬことばかりある十月の十割蕎麦の十割ぞ良き


 貸したまま逝つてしまひし名古屋びと『蕎麦ときしめん』いかに読みけむ


 更科の永坂布屋太兵衛かな春でなくても麻布でなくても


 カウンターどんつきで蕎麦たのむのがたのしみなりしかの日「AMECOYA」






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日毎の音 塔 201013

2020-10-13 | 日記

  塔


 全歌集の扉にありし砂の塔ピーテル・ブリューゲル「大バベル」


 崩れつつ崩れ果てずにいまだかも言語の塔は崩れつづけて    


 貴人の佇むうしろ姿かな街路の果ての塔のものごし
                       貴人:あてびと

 函入りの家庭を積んで積んで積んで限りあるタワマンの高さ


 背伸びしてあこがれゐしか尖塔のモデルは山か樹木か知らず
 



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