英美の顔は、よそよそしく、冷たくなった。 「焦ってあなたみたいな人と結婚したのが失敗だったわね」 「何!」 「そうよ。入りたての私を騙して。 あなたみたいに無能で面白くない男って滅多にないよ。 優しそうにするから、ついその気になっただけ!」 目が眩む様な怒りが久人を襲った。 「殺してやる」 言ったか言わないか、彼はそばの花瓶を持ち、憎たらしい女の頭に思い切り叩き付けた。