五木寛之の「初めての自伝小説」、「白いアカシアの花影」という惹句に魅せられて購入した本、読み終わった後「あゝ男の子の性ってこんなんなのね」と今更ながら思いました。
極めてカマババ(歳だからカマトトじゃない)的な感想を持ったのであります。
勿論これは戦後間もない時代を彷彿とさせて、どこか懐かしい気持ちになる、興味深い小説です。
おじさんにとっても懐かしい青春を想起させる小説なのでしょうね。
ただおばさんはどうなのでしょうか。
私が物心ついて、最初に出会ったのは本物ではなく物語の中の男子でした。
男女が結ばれる「その時は空に虹がかかって桃色の雲に乗ったよう」なんだと、馬鹿みたいに考えてたのです( ◠‿◠ )
でも、こんなトンチンカンな私だけでなく、一般に女子の描く愛の形と男子の描く愛の形は決定的に異なる様です。
それが男女の齟齬を生む一番の原因なのでしょうね。
普通、女性は日常の生活と愛情を溶け込ませて捉えてますが、男性は愛と生活を別物と捉える人が多いと思えます。
又恋愛においても、男子は対象としての女子を、女子は対象となる自分を、真っ先に意識するのではないでしょうかね。
五木寛之さん、小説家の常で人一倍想像力(つまり妄想力)が優れた方です。
この作品の中でも、現実の体験よりも想像するときめきを描いた部分の方が俄然光っております。
ひょっとして、心を打つ小説はそんな強烈な心の飢餓が生み出したものではないか、と思えてきます。
などと考えるのも、肉食の時代に生まれたから考えられるので、コロナ禍の前から草食の時代に生まれた若い人の想像力は別の方向に向かっているのでしょうか?