私の心の中にここ数年愛しい人がいた。
いるのではなくいたのだった。
くだくだしい事情は支障があって言えない。
本当に遠い思い出になったら、物語にしようと思う。
多分絶対売れない物語だろう。
ただ、今、愛しい人が不在の心は凄まじい嵐が吹きまくって、表側にも露出してしまう。
おそらく自分という人間は、心の中の愛しい存在に支えられていつも生きているのだろう。
女学生の空想めいた感覚だ。
情けない事に、私は健康だった女学生時代の殻から抜け出せないらしい。
実際には、大学生の彼とおっさんになった彼しか知らない。
昔、彼はしなやかで粋な、あまり金持ちそうでない若者だった。
そしておっさんの彼は金持ちそうになった。
ただ、私の空想する彼は高校の制服の第一ボタンを外し、不良を気取ってタバコを吸っている。
彼の語る思い出から、まるで映画のワンシーンの様に浮かぶ姿なのだ。
女なんか愚劣だと嘯きながら、綺麗な女に目を奪われ、衝動を抑えきれない。
非常に危険でいい加減な、それでも妙に清潔な高校生が浮かぶ。
そんな事を想像させる悪っぽいところがあった。
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