見出し画像

読書の森

『白夜行』の大阪

以前、1992年に発行された『白夜行』のストーリーをお話ししました。

二人が共謀して犯したお互いの親殺しという大罪を隠し続ける為に、次々と人殺しを重ねてしまう恋人達のお話です。20年近く秘密を抱えて生きる男女は何処かで逢っている筈なのに誰も二人の恋愛現場(?)を見たものがいない。
ミステリアスで残酷な悲恋です。
その年のベストセラーになりました。

私が東野作品を読み始めたキッカケになった作品です。
読み直すとストーリーの重さが私の年にはキツイ。
若い時の潔癖さ、純粋さが強過ぎる為、いやらしい大人への憎悪が振幅して惨過ぎる結果を生んだ、「純愛も怖い」と思うようになりました。

ただし、冒頭の大阪の街の風情や食べ物の描写はとてもイキイキと迫ってきます。
東野圭吾さんは天才的ストーリーテラーだと改めて思った。


殺人現場は1973年の東大阪市の布施。下町、狭い路地に木造家屋がひしめく所です。
大阪の下町のレトロな印象が伝わる。

その担当刑事は松本清張の新作を楽しみにしてるおっさん。小腹が空いて屋台でイカ焼きを買うところ。
イカ焼きは小麦粉を絡めたイカを鉄板に挟んでジュッと焼いてソースをぬったもの。それを茶色の紙で包んで渡して、一枚40円。

昭和50年代のお話ですが、イカ焼き食べてみたくなります。

大阪生まれの東野圭吾はこの作品の中で昭和の大阪の町をイキイキと描いてます。
初めて読んだ時より20年以上過ぎた今、この作品から全く違う印象を受けます。
東野圭吾は1973年の大阪で主人公と同い年だったのだ、だからその心理を読者に苦しい程リアルに伝えてくれたのかも知れません。

気に入った作品を読み直すと新たな発見があります。

暑くて料理も手抜き。
残りご飯をレンチンして、すし酢を少々振りかけ、焼き鮭のほぐしたの、胡瓜の角切り、梅干し、を混ぜて、胡麻をかけました。
植木鉢の紫蘇の葉を敷いて出来上がりです。


読んでいただきありがとうございました。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

最近の「書評」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事