後者が『火の鳥』で、手塚治虫はこの作品に自分の思い全てをこめられたのではないか?
全ての生き物の中で、最も知能優秀でいながら同じ過ちを同じように繰り返す愚かな人間、その現在過去未来の歴史を描く壮大なドラマが『火の鳥』だと思えます。
健康で優秀な若者揃いですが、地球を知っているのは牧村飛行士だけであります。
スリルとサスペンスどころじゃない、死ぬか生きるか、究極の場面に追い込まれた隊員達は、それぞれ本音の自分を曝け出す。
オマケ:6月に買ったマンデビラの花。
世情も天候も波乱含め、厳しい時代に読むと身につまされるものがあります。
今の世ならずとも、自分の周りの人達は果たして敵か味方か疑心暗鬼になる事がありませんか?利害だけで人が動く訳でもないですが、金に纏わる事件の多発に驚きます。家族だけが頼りかと言うと、愛と憎しみが裏表の思いが出てしまったり、人は複雑怪奇な生き物であります。
閑話休題、手塚治虫先生の『火の鳥』未来編は、2577年オリオン座付近の宇宙空間における五人の(内女性は一人のみ)宇宙飛行士のお話。
健康で優秀な若者揃いですが、地球を知っているのは牧村飛行士だけであります。
そういう時代に、基地であるザルツ惑星から母なる地球に大切な資料を運ぶ任務を任されたのです。
ここまで読まれて、わざわざお金を使って危険を犯して行かなくても資料の内容をインターネットで伝えることは宇宙間では効かないのか?と思うでしょ。
しかしこの漫画が書かれたのは昭和の終わりで、インターネット技術の普及はその後ですから。
さて、宇宙飛行船機内で冷凍冬眠を続けるある時彼らは物凄いショックで覚醒した。
そしてブリッジでパイロット牧村飛行士の干からびた死体を発見したのだ。
自殺?原因は何?宇宙ノイローゼ?それとも誰かに殺された?まさか!
などと驚愕した仲間が議論してる内に、さらにショッキングな事実が判明。
その宇宙船は小さな惑星に衝突していた!燃料はこぼれ落ち、このままだと方向を失って全員死を待つのみである。
そこで各自備え付けの個人用ボートに乗って、自己責任で地球に帰還する事に決めた。
しかし、狭いボート内に、酸素は1年分食糧は半年分しかない。
スリルとサスペンスどころじゃない、死ぬか生きるか、究極の場面に追い込まれた隊員達は、それぞれ本音の自分を曝け出す。
紅一点(古い言葉ですが)の可憐なナナは、牧村と秘めた恋を温めていた。
ひょっとしてこれを妬んだ恋敵が彼を殺したのかと、こんな危機においても妄念が湧いてしまうのだった。
一体敵は誰だろうか?それともホントは牧村は自分達の敵(スパイ)で制裁されたのか?
それとも。
と極めて今日的な悩みを、若いナナは持ってしまうのでした。
さて真相は何か?彼らの運命はどうなるか?
というお話です。
オマケ:6月に買ったマンデビラの花。
本来は熱帯の太陽の光の下で育つ花なので、結構(人間よりも)元気にしてます。
追記:
物語の飛行士は使命には同じく忠実ですが、それぞれ私的には異なる思いを持ってます。
現実に、味方の敵は果たして自分の敵かと思われる事ありませんか?
この頃のニュースを見てると感じます。
例えば習近平イコール中国国民ではないですし、プーチンイコールロシア国民ではないです。かっての戦の日本軍は必ずしも日本国民とイコールでないのと同様です。
それでも国と国が戦う時には、国民皆それぞれ敵同士になるってどうも納得出来ませんが、これって危険思想ですかね。