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「ごめん証拠はない。ただ心配なんだ。こちらが疑ってる事を分からない様に、彼女の家の様子を探る。
その為に力になってくれないか?」
「どうやって?」
「証人になってくれればいいだけさ」
鈍感だから分からないというより、分かりたくも無い探偵劇にヨシミは付き合わされた。
それでも、ふと悪魔が囁く。
本当に薫が殺されでもしてたら和也と接近するチャンスなのだ。
二人が向かったのは薫の家である。
ヨシミは薫の好きな焼き菓子の袋を買って持参してきた。
山手の丘に聳える薫の瀟洒な邸宅は高い塀に囲まれていた。
玄関のチャイムを押す。