韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

韓国ドラマ、IT・デジタルなこと、AIなどと並んで哲学に関する事柄や、よろずこの世界の出来事について書き綴ります

ワクチン確保の苦労~ケンチャナヨは通じなかった

2020-12-20 16:43:00 | エッセイ
 現在、韓国政府が抱えている問題はいくつもありますが、今日はその中の一つを取り上げます。

 コロナウイルスのワクチン接種がイギリスやアメリカで始まりましたが、韓国ではその肝心なウイルスの確保がほとんどできていないということが報道されていました。

 なまじ、K防疫と自画自賛した初期の感染対策が裏目に出て、ワクチンの重要性を過小評価したがために、確保が出遅れてしまったようです。

 また、過去にインフルエンザワクチンの確保量をあやまり、大量のワクチンを無駄にしてしまった経験も今回の事態の原因になっているようです。

 まあ、何とかなる、大丈夫、大丈夫、ケンチャナヨ!とでも言いたかったのかもしれませんが、今回ばかりはそれではすまなかったようですね。

 「大丈夫だぁ」の志村けんさんがコロナウイルスのために世を去ってしまったことが、なんとも皮肉ではありませんか。

 これからの文在寅政権と韓国の行く末がとても気になるところです。感染者と重症者がこれ以上増えないことを祈るばかりです。


上下関係に厳しい国・韓国~けんかの最中も敬語って!?

2020-12-19 17:08:57 | 韓国ドラマ
 韓国ドラマをみていてすぐに気づくことがあります。それは、時代を問わず上下関係に厳しい国だということです。初対面の相手に対しては、自分との地位の上下関係、そして年齢を確認しないことには会話もできません。

 相手と自分との上下関係が不明だと、敬語なのか、ため口でいいのか判断できないからです。ですから、初対面の相手に対しては厳密に年齢や地位を尋ねます。もし誕生日が同じだとしたら、生まれた時間まで比較しようとします。そうまでして上下関係をはっきりさせるなんて、とても興味深いことではありませんか。

 そして、けんかや言い争いの最中も目上の人間には敬語を使います。敬語を使わなくなるのは、本当に最後の最後、感情が高まって大暴れするときです。

 韓国ドラマをみていて、たとえ韓国語がわからなくても慣れれば敬語をつかっているのかどうかわかるようになるので、そういう意味でも韓国ドラマはぜひ字幕で見ることをお勧めします。もし、今までそんなことを意識したことがなかったら、これからは気を付けてみてみてください。

 気を付けるキーワードは、時代劇なら「ナウリ」、「ヨンガム」、「テガム」です。いずれも官職についている人に呼び掛けるときに使う言葉で右に行くほど偉くなります。そしておもしろいことに、もし官職を辞したり、極端な話島流しになってしまった相手にも、現役時代の最高位の呼び方をするのです。

 もし、初級、中級官吏だったらナウリですし、高級官吏ならヨンガム、あるいは最高位の人たちならテガムと呼びかけることになります。

 相手の品階(官職の位)をつけて呼ぶ場合は、たとえば、一番下っ端の初級官吏の品階はチャンボンなので、その人にはチャンボンナウリと呼びかけることになります。また、これは品階ではないのですが、王様の主治医は「御医(オイ)」なので呼びかけは、「オイヨンガム」となります。時代劇で気を付けているといっぱい耳に入ってきますよ。

 現代劇でちょっと面白いシーン、いきなり相手に向かって「ナウリ」と呼びかけるシーンが出てくることがありますが、これはふざけて時代劇の真似をしているわけです。ここから、時代劇ごっこが始まったりします。

 日本語だと、「お願いします、旦那様」くらいの意味ですが、韓国語なら「ナウリ」一語でそれが表現できてしまうのは、大変興味深いことですね。

 現代劇ならやはり、「サジャンニム」(社長)とか「ブチャンニム」(部長)など、会社の役職でしょうか。~ニムは敬称で、呼びかけの場合は必ずつけます。私は韓国語を習ったことがないので間違っていたら申し訳ないのですが、韓国の会社の役職は日本語とほぼ同じで、漢字をそのまま韓国語読みすればいいのです。

 冬ソナでヨン様が扮していたカン・ジュンサンは「イサ」(理事:日本だと取締役)、その部下でいい味を出していたキム次長はキム「チャチャン」(次長)になります。

 韓国語には中国語由来の言葉や日本語由来のことがいっぱいあるし、語の順番が日本語と同じなので、韓国語をきちんと学ばなくても、ドラマを字幕でみるととてもたのしいですよ。

 今まであまり、意識したことがなかったのなら、ぜひ次回からはそうしてみてください。最初はちょっと難しいかもしれませんが、好きなドラマなら最終話を見終わるころにはすっかり耳に慣れていることと思います。

 韓国ドラマのちょっと変わった楽しみ方。ぜひ試してみてくださいね。

韓国の人たちとの付き合い方~広い視野での判断を持とう

2020-12-18 16:56:19 | エッセイ
 今日、今のような状況でも韓国で日本料理の人気が高いという記事を読みました。きちんとした日本料理は、韓国の一般的な人たちの収入からすると割高なのにもかかわらず、機会があればぜひ味わいたいと思う人が多いそうです。

 反日活動、不買運動をする人たちはものすごく目立ちますがそのような人たちは全体から見ればごく一部であり、韓国人がみんな反日感情を抱いているわけではないということを改めて知ることになりました。

 運動、活動をする人たちの勢いや声の大きさのせいで、一般の人たちも自分の行動を意に反して制限することになっていますが、そのような消極的反日の姿勢を示す人たちは理不尽な縛りがなくなれば、以前のとおり日本との付き合いをしたいと思っているわけです。

 このような状況は、韓国ドラマの中にも頻繁に見て取れます。ごく最近のドラマはみていないので何とも言えませんが、日本との関係がこれほどまで悪くなる前のドラマでは、必ずと言っていいほど日本がドラマの中に登場していました。

 一番多いパターンは、客や取引先が日本人、日本であるというシーンです。出演者が日本語をしゃべるシーンが必ずと言っていいほどありました。また、あるドラマでは主人公のエリート社長が日本語で自社についての広告文を書いているシーンがあって、劇中PCの画面がアップになったとき、たしかに正確な日本語をワードに入力していることが確認できたほどでした。

 その時は、非常に細かくて正確な演出だなぁと感心したものでした。もし、今のような反日の運動が韓国人の多数が望むものなら、こんなシーンをTVで流せば批判の嵐になってしまうはずです。

 しかし実際は正反対で、韓国の人がいかに日本に関心や興味、好意をもっていることの現れだと私は思います。また、これは韓国ドラマあるあるですが、財閥の会長や社長のお気に入りは日本料理店で、おいしそうに刺身(マグロの大トロ!)をおいしそうにほおばるシーンが定番になっています。

 このようなわけですから、お互いにいい方向に進んでいけることを望むばかりです。狭い視野での判断をやめ、これからのことを考えながらより良い関係を模索していくことが必要だと思います。



聞く耳を持つということ~裸の王様になってはいけない

2020-12-17 16:33:40 | エッセイ
 菅首相の会食の件、今日のTV番組でいろいろと取り上げられていますが、一般の人に対するインタビューで、今回の出来事をはっきりとよくないという人が意外と少ないのに驚きました。

 TV局側で極端な意見の人は控えたのか、たまたまそうなってしまったのかはわかりませんが、私個人の感想とはずいぶん違うなと感じました。

 私の感想は、一国の宰相ともあろう人がなんという情けないことをするのだろうという厳しいものです。二階幹事長からの誘いを断れなかったのでこういう事態になってしまったようですが、それにしても今の時期にこのようなことは不適切ですと、意見をすることができない関係に私は大きな危惧を抱いてしまいます。

 自分の意見や考えが間違っている場合に、はっきりそうだと指摘してくれる人を必ず周囲に置いておくべきだと思うのは、私だけでしょうか。

 耳の痛い意見を言う人物を排除してしまっては、その人は裸の王様になってしまいます。余計なことを言って、叱られる、左遷される、職を奪われるということになれば孤立してしまい、大切な情報も入ってこなくなります。

 菅首相は官房長官のころと比べて情報が入ってこなくなったと嘆いているようですが、なぜそうなったかは、もはや自明のことでしょう。そう、自業自得なのです。

 こんな当たり前のことがなぜできないのか、それが私の率直な感想です。今回の一件から、大きな器を持った人間の重要性が非常によくわかります。どんなに不愉快なことでも、とりあえず聞く耳を持つというがどんなに大切か、改めて考えさせられました。

 この寒空に裸の王様でいること…さぞかしつらいかと思いきや、渦中にいるとそれも自分では気が付くことができない。それが、この問題の一番やっかいな部分です。

やったぜ!はやぶさ2~サンプルの採取に成功だ!

2020-12-16 16:37:53 | エッセイ
 気が滅入るニュースが続く中、はやぶさ2の快挙のニュースが飛び込んできました。はやぶさが、小惑星のサンプルの採取に成功したことが確認されたのです。

 前回のはやぶさミッションでは、いろいろな困難を乗り越えながらもサンプル採取に成功したとは言え、肉眼では見えないごく微量だったのですが、今回はだれの目にも黒い岩のかけら、あるいは大粒の砂のような物質が採取容器のなかに確認できました。

 そのうえ、密閉された容器内には小惑星のガスまではいっており、小惑星由来の気体を世界で初めて採取したという素晴らしい成果が得られました。

 また、今回確認できたのは2回のタッチダウンの1回目の成果で、2回目は小惑星上に人工的なクレーターを作成して、その時空中に舞い上がった地下の物質の確保に挑戦したわけです。もし、それが成功していればこれも世界で初めての快挙になるわけで、今から本当に楽しみです。

 2回目のタッチダウンの採取サンプルは年明けになってから確認するという予定になっているそうですから、楽しみにして待ちたいと思います。

 今回このような大きな成果が得られたのは、目先の利益、結果ばかりを追求するのではなく、地道に基礎的な分野での研究を積み重ねてきたからなのです。

 昨今科学技術の世界において、目先の利益や結果ばかりを早急に求める風潮がはびこっていますが、それが間違っていることを今回のはやぶさプロジェクトが示してくれました。

 今回の実績が、日の当たらない地道な科学研究の分野に対する理解を手助けすることになることを、心から祈っています。

権力者のダブルスタンダード~自分たちはいいんだ!

2020-12-16 16:12:27 | エッセイ
 昨日から報道されていますが、菅首相がGoToキャンペーンを全国で停止することを発表したあと、その足で高級ステーキ店での会食に出向いたというニュースが大きな問題になっています。

 加藤官房長官はなにやら苦しい言い訳のような会見をして、首相を擁護していましたが私にはただの屁理屈にしか聞こえませんでした。

 今回何が問題になっているのかといえば、一番模範を示さなければならない人物が、自分勝手な理屈としか思えない言い訳をして、国民に対してお願いしていることを自分たちは守らなかったということなのです。

 国民には会食は控えろといいながら、自分たちはそんなの関係ない!と言わんばかりに堂々と会食を行ったことが、国民の感情を逆なでしているわけです。

 これって、どこかで見たようなことがあるな、デジャヴだなと思ったのですが、お隣の国韓国で同じようなことが問題になっていることはご存じのとおりです。

 他人がするのはダメ、でも自分は構わない…このようなダブルスタンダードは、きわめて身勝手な行動に思えます。

 国民の気持ちに寄り添うこともなく、自分たちの利益を追求して、大口の支持者の意向ばかりを気にして、その意向に沿うことばかりを優先する。これでは、国民にそっぽを向かれても仕方がないではありませんか。

 TVのインタビューをみていると、食事のときでもちゃんとマスクをしてたんだからいいじゃないかと言い放った出席者がいましたが、いい年をして小学生のような屁理屈をこねているんじゃないよと、心から憤りを感じました。

 「まず隗より始めよ」という言葉を高校の漢文の時間に教わりました。それ以来、世の中の大人たちは皆この言葉を知っているんだろうと思っていましたが、どうやらそうではないようです。

 国を率いて立つものがこの体たらくで、国民が言うことなど聞くはずもありません。

 二重規範、二枚舌を使う人間。こういう人物は絶対に信頼されません。道徳や、倫理なんて青臭い人間が振り回すものだと思っているのかもしれませんが、権力を手にするとそんな基本的なこともわからなくなるのでしょうか。

 わが国のコロナ対策は基本的にお願いベースで成立しているわけですから、ここで話題にされていることがなおさら重要になってくるわけです。

 罰則付きの命令ではなく、あくまでお願いで国民一人一人の行動をコントロールしたいなら、まず自分たちが模範とならなければならないのは、小学生でもわかる理屈です。

 この暗澹たる気持ちを少しでも何とかしたいのですが、気が滅入る日はまだまだ続きそうなので、この年末年始は覚悟が必要なのかもしれませんね。

この怒りをどこへ!!!~これからの政治の行く先は…

2020-12-16 05:28:00 | エッセイ
 いったい何に怒っているのか。それは、現在の政府のやり方にです。

 私は常日頃、第三者の立場から、誰かや何かを一方的に批判することを避けてきました。当事者でなければわからない事情が何かあるからです。それを知らない第三者が上から目線で一方的に批判するのは不遜で、間違ったことだと思うからです。

 しかし、今回のGoToキャンペーンの迷走については堪忍袋の緒が切れました。誰がどう見ても一部の支持者だけを向いた対策だからです。それを確信したのは、旅行業者への補償を35%から50%へ引き上げたというニュースを数時間前に聞いた時です。

 全国的にキャンペーンを一時停止するのを認めるかわりに、補償額を引き上げるという取引が自民党と政府の間であったのだなと確信したからです。

 確かに旅行業に携わる方たちは今大変な思いをしていることと思います。私のような第三者がわかったようなことを言うだけでも失礼なことかもしれないと思います。

 しかし、それなら今コロナの治療にあたっている医療従事者の方々の立場はどうなるのでしょうか?常時自らの生命を危険にさらしながら業務にあたっているにもかかわらず、聞こえてくるのは彼らにたいするひどい仕打ちばかりです。

 病院経営がうまくいかなくなり、ボーナスが出ないどころか雇用さえ危うくなる。また、心無いコロナ差別に苦しむことになる。自分のなすべきことを誇りを持って実行した代償がこれでは、やってられないでしょう。

 事実、職員の大量な離職が続いているというニュースも耳にします。それは、当然でしょう。心からお察しします。

 TVから流れてくるニュースによれば、飲食業者の皆さんの苦境もまた深刻だということがわかります。自治体からの補償金がでるようですが、それだけでは焼け石に水だという店が大半なようです。

 そして、世の中にはその他声なき人々の心の声があふれているに違いありません。女性の自殺者が増えているというニュースも悲しい限りではありませんか。

 唐突と思われるかもしれませんが、アテナイの政治体制に失望したプラトンのことが突然脳裏に浮かびました。学生時代には自分は何もわかってなかったなと心から感じました。

 今私が感じている失望感とプラトンのそれを比べるなんておこがましいことはわかっていますが、しかし、政治への心からの失望という意味では違いはないと思います。

 この世界のことをとことん突き詰めて考えるようになると、必然的に政治の問題に行き着くのだということを私はこの年齢になって初めて実感できるようになりました。

 何だかまとまりのない、何が言いたいのかわからない内容になってしまいましたが、とにかく自分の心の内を外へさらけ出さずにはいられなかったことだけは理解してもらえればと思います。
 
 また、もう少し気持ちが落ち着いたらこの問題については考えてみようと思います。


キムチは好きですか?~愛すべき韓国の食文化

2020-12-14 16:08:35 | 韓国ドラマ
 あるドラマを見ているときに次のような場面に出くわしました。財閥企業の会長がフランス料理店で会食するシーンです。食事の冒頭、会長がボーイ(ギャルソン?)に向かって、まずピクルスを持ってきてくれというのです。そして、やはり口の中をさっぱりさせたいですなぁ、というようなことを会食相手に言うのです。

 このシーンは私にはとても興味深かったです。韓国人は、フランス料理でも漬物のお供がないといやなんだなということがよく理解できたからです。

 われわれ日本人から見ると、韓国人の食卓で目立つのはそのおかず(パンチャン)の多さです。たくさんの皿に盛られた何種類もの料理(おかず)が並びます。その中でも、漬物は欠かすことができません。

 白菜キムチはもちろん、大根のキムチ(カクテキ?)、赤くない水キムチなど日本人にはまだまだなじみのないパンチャンの数々が、食卓に並びます。

 ピクルスについていえば、ピザのお供にも欠かせません。宅配、あるいはお店で食べるときにもピザには必ずピクルスが添えられています。また、ピザ以外の宅配料理には必ず、キムチやタンムジ(たくあん)が添えられています。

 これだけみると、韓国人はどれだけ漬物が好きなんだろうと思いませんか?そして、食事にキムチが添えられるシーンでもう一つ印象的なのは、ラーメンを食べるシーンです。

 韓国ドラマの中でラーメン(もちろんインスタント!)を食べるシーンは数え切れないほど出てきますが、そのほとんどが袋ラーメンを鍋で調理するものです。自宅ならまだしも、職場で食べるならカップ麺でしょと日本人が思う場面でも、彼らは袋ラーメンを「アルマイトの蓋つき両手鍋」で調理するのです。

 ドラマ「キム課長」の一シーンで、経理部のメンバーが残業食としてラーメンを作るときに誰も読まないという会長の本を鍋敷き代わりにするのには笑えました。

 そんな風にして職場にカセットコンロと鍋まで持ち込むなよと突っ込みたくなるのは私だけでしょうか?

 またそれだけではなく、出来上がったラーメンを食べる段になると、一人ならどんぶりなど使わず、鍋の蓋を皿代わりにして食べるのです。これが独身男の食事シーンなら違和感は抱きませんが、なんとヒロインの女優さんまで鍋の蓋でラーメンを食べるのには驚きました。

 そしてラーメンを食べているところに、必ずと言っていいほど誰かがやってきて、キムチの有無をチェックするのです。キムチも添えずにラーメンを食べていると、「何だキムチはないのか」と言われてしまうのです!

 これはまさに韓国ドラマあるあるで、お約束シーンになっています。

 こんな風に韓国ドラマの食事シーンを、キムチ(漬物)にスポットライトをあてて振り返ってみると韓国の食文化の一端が理解できるような気がしませんか?

 そして、もう一つ言えることは韓国の人たちはとても食いしん坊だということです。グルメで美食家という意味ではなく、食べることへのこだわりがとても強く、一般的なレベルの日本人よりもそうであるように思えます。

 われわれも韓国の人たちを見習って、日常の食事、一食一食を大切にしていきたいですね。

その場にふさわしい振舞い~TPOをわきまえる

2020-12-13 22:09:58 | エッセイ
 昨日、菅首相がネットの番組に出演した際、冒頭の紹介場面でおどけてみせたことが話題となっています。ただ、いい意味での話題ならいいのですが、実際は正反対でその場にふさわしくない振舞いだったという批判の声が出ています。

 また、インタビューの受け答えの際にニタニタしていて気持ちが悪く、不愉快であったとも言われています。

 どちらも菅首相にしてみれば視聴者へのサービスあるいは親しみをもってもらいたいという思いからくる行動だったのかも知れませんが、残念ながらそれが逆効果になってしまったようです。

 読者の皆さんの中にも、言動や服装のTPOで失敗した経験がある方は少なくないのではないかと思います。今はネットがあるのでTPOについて調べることは簡単ですが、逆に情報量が多すぎてどうしていいのかわからなくなることが少なくありません。

 TPOやマナーにうるさい人の基準に合わせると、非常に行動に制約を受けることになり、窮屈な時間を過ごすことになってうんざりしてしまったりします。

 日本人は一般に周囲の人に合わせようという傾向が強いので、振舞いや服装が不適切で白い目で見られたり、ばつの悪い思いをすることを極力避けようとします。

 菅首相は、その庶民的な経歴からわれわれ一般的な国民のことをよく理解してもらえるのではないかという期待があったがために、よけいに今回のようなことになってしまったのかもしれません。

 いかに出自がわれわれに近くとも、30年も永田町の政治の世界に身を置いてしまうと、一般の人間が考えていることや求めていることがわからなくなってしまうという、典型的な例なのかもしれません。

 「裸の王様」、あるいは「空気が読めない(KY)」という表現が思い浮かびました。どちらもTPOをわきまえることができないということを表しています。ただ、このくらいならまだお互いの住む世界はそれほど離れてはいないはずです。

 問題は「狂気」となってしまった場合です。TPOの話題からいきなり狂気という言葉が出てくるのは唐突かもしれませんが、結局究極のKY、あるいはTPOをまったくわきまえられず勝手な言動を為すことが狂気なのですから、この状態は今回の事態の延長線上にあると言えます。

 ひとり狂気の世界に入ってしまった人間は、周囲にいる者たちとまったく意思疎通ができなくなり、その場にふさわしい言動を期待することもできなくなります。

 これからの日本の政治の歩みが狂気の道に入ってしまわないことを祈らざるを得ないのは、私だけではないはずです。そのためにも、言うべきことは言い、決してあきらめないことが必要だと思います。

「私に乾杯~ヨジュの酒」をみる

2020-12-13 21:53:10 | 韓国ドラマ
 「私に乾杯~ヨジュの酒」というドラマをみました。これは、韓国版「ワカコ酒」にあたります。オリジナルの日本版を全部みている私としては、大いに期待しながらみることになりました。

 しかし、第一話で武田梨奈さんがゲスト出演して「ぷしゅー」をやってくれたにもかかわらず、私はこのドラマをあまり好きになれませんでした。

 一話23分で10エピソードしかないので昨夜一晩で全部見終わってしまったのですが、第一話で味わった残念な気持ちは変わりませんでした。

 あまりここで詳しくストーリーを話すとネタバレになってしまうので、詳細は語りませんが、韓国版はオリジナルのフォーマットだけ採用して、中身は普通の韓国ドラマの作りになっていたのです。

 ドラマとして面白ければいいだろうと言われるかもしれませんが、それでは何のためにオリジナルの版権を買う必要があったのかという話になると思います(ドラマのエンドロールのクレジットは、漫画版の原作になっていました)。

 具体的に一番違和感を感じる点は、主人公が呑んだり、食べたりするシーンが時間的に短く、かつその行為そのものがドラマのテーマになっていないのではないかと私には思えました。

 主人公は毎回いろいろなお酒と料理を楽しむという点ではオリジナルと同じですが、その呑み食いの部分が随分と軽く扱われてドラマ全体のストーリの中心になっていないように思えるのです。

 オリジナルのワカコは、とにかくおいしいお酒と料理に目がなくそれを幸せそうに楽しむというのがこのドラマのテーマなのに、韓国版では呑み食いのシーンよりも、それ以外の種々の出来事がメインで描かれているのです。

 日本版では、呑み食い以外のシーンはあくまで呑み食いに至るまでの導入のような形で描かれているのですが、韓国版ではそれが全く逆転してしまっていると強く感じました。

 韓国版のオフィスのシーンなど、日本版に比べると明らかにお金がかかっていることがわかりますし、主人公が食する料理もおいしそうなものばかりなのに、こういう印象を抱いてしまうのが極めて残念です。

 このような結果になったのは、国民性の違いなのか、単に韓国版の制作者の独自の考えなのか私にはわかりませんが、「ワカコ酒」へのオマージュにしたいのなら主人公の女性が本当においしそうに呑んだり、食べたりするシーンを中心に描いてほしかったです。

 オリジナルにこだわりのない方がみる分には、ここで述べたこともこのドラマの欠点にはならないかもしれません。韓国ドラマは一話当たりの正味の時間が1時間5分から10分くらいというものが多い中、こちらは23分で全10話なので気楽にちょっとだけ韓国ドラマを楽しみたいという方にはお勧めします。