宮津の町から、ディーゼルカーで10分程掛かる町。
由良川の向こうは、舞鶴市。
そして、説教節『山椒太夫』の舞台、丹後由良。
または、『酒呑童子』の舞台になる大江山のお膝元。
現地には、地酒の『酒呑童子』のある酒蔵が有名かと思います。
今回の旅の目的は、『身替地蔵菩薩』を肉眼で拝顔することでした。
学生時代に日本史と日本文化財を専攻していた私にとって、丹後由良は思い出のある場所です。
実を言うと、私は研究テーマとして、『人身売買』を取り扱っていました。論文を作成する前提として、どの分野にしても、研究論文と資料収集、その上で研究方法の切り口の模索が必然となります。
私は、資料収集においては、大きく法制史料、古文書(人身売券)、古典文学の3点で調査して収集しました。
古典文学のおいて収集した1つに説教節『山椒太夫』になります。
森鴎外の作品として、周知かと思いますが、それを元に書き下ろしており、どちらともそのお話の舞台のひとつが丹後由良であり、なぜかそれに関わる遺跡が多くあります。
ただし、成立に関わる話は未だに謎めいているのが現状です。
その中で、由良には如意寺というお寺があります。
そこにはお話にも登場した『身替地蔵菩薩(金焼き地蔵)』が安置されており、私の知る限り1年に一度、8月23日にその姿を見ることが出来るそうです。
この菩薩像は、東大寺南大門の風神雷神でも有名な快慶の作と言われています。
右肩にくぼみがあるのが、この像の特徴です。
安寿と厨子王の逃亡がばれて、山椒太夫親子に、焼印をされて、苦しんでいた姉弟が次の日には、元に戻っており、菩薩の右肩に傷が移ったことに由来します。
過去に3回訪れましたがそれを知らずに訪れており、とても心残りにしておりました。
今回、菩薩様の拝顔ができて、また1つ夏の貴重な思い出となりました。
1年に一度しか拝めないのは、あまり良い気持ちに慣れませんが、いつまでも大切に守って欲しいことを願うばかりです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます