

認知症とうつ病が発症していたこの頃は、アリセプトと安定剤と睡眠導入剤を飲んでいました。
睡眠導入剤を、毎日飲ませることに不安を感じていた私は、1日置きに、飲ませていました。
昼間はよく徘徊をしていましたが、夜は、安定剤と睡眠導入剤を飲んでいたので、
徘徊をすることがなかったので、私は、2階の部屋で、寝ていました。
ある日、いつものように、その日は安定剤だけを飲んで、8時ごろには、眠っていたので、
自分の部屋に戻り、ゆっくりとしていました。
12時ごろに一度様子を見に行ったところ、母の泣き声が聞こえてきたので、
部屋の外で、しばらく聞いていると、兄の名前を呼びながら、泣いていました。
会いたい、会いたいと、泣き続ける母に、何もしてやれず、
私は、涙が止まりませんでした。
忘れたくても、忘れることの出来ない辛い記憶、変われるものなら、自分が先に、
死にたかったことでしょう。
認知症になっても、この辛い記憶は、忘れることが出来なかったようでした。
忘れてほしくない記憶は、少しずつ消えていくのに、忘れてほしい記憶は、
消えることはありませんでした。
息子を亡くしたショックから、うつ病と認知症の発症・・・・
うつ病さえ、発症していなかったら・・・・
認知症だけなら、介護する私も、少しは楽だったのに・・・・と、
当時を振り返って思うことでした。
今はもう、兄が死んだことは、母の記憶の中からすべて消えてしまっています。
忘れてしまったほうが、幸せかも知れません。
私のことも、誰なのかわかりません。

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