認知症と向き合って

認知症の介護を終えて
18年間の介護生活を振り返って~

忘れたい記憶

2008年09月14日 22時58分21秒 | Weblog
 2002年の8月のある日のこと

認知症とうつ病が発症していたこの頃は、アリセプトと安定剤と睡眠導入剤を飲んでいました。

睡眠導入剤を、毎日飲ませることに不安を感じていた私は、1日置きに、飲ませていました。

昼間はよく徘徊をしていましたが、夜は、安定剤と睡眠導入剤を飲んでいたので、

徘徊をすることがなかったので、私は、2階の部屋で、寝ていました。

ある日、いつものように、その日は安定剤だけを飲んで、8時ごろには、眠っていたので、

自分の部屋に戻り、ゆっくりとしていました。

12時ごろに一度様子を見に行ったところ、母の泣き声が聞こえてきたので、

部屋の外で、しばらく聞いていると、兄の名前を呼びながら、泣いていました。

会いたい、会いたいと、泣き続ける母に、何もしてやれず、

私は、涙が止まりませんでした。

忘れたくても、忘れることの出来ない辛い記憶、変われるものなら、自分が先に、

死にたかったことでしょう。

認知症になっても、この辛い記憶は、忘れることが出来なかったようでした。

忘れてほしくない記憶は、少しずつ消えていくのに、忘れてほしい記憶は、

消えることはありませんでした。

息子を亡くしたショックから、うつ病と認知症の発症・・・・

うつ病さえ、発症していなかったら・・・・

認知症だけなら、介護する私も、少しは楽だったのに・・・・と、

当時を振り返って思うことでした。


今はもう、兄が死んだことは、母の記憶の中からすべて消えてしまっています。

忘れてしまったほうが、幸せかも知れません。

私のことも、誰なのかわかりません。



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コメント (2)
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