赤城山
(黒檜山(1,828m)・駒ヶ岳(1,685m)・
小地蔵山(1,574m)・長七郎山(1,579m)・地蔵岳(1,674m))
「~ 上野から高崎までの車窓で、一番私たちを楽しませてくれるのは赤城山である。見事なのは、のびのびと裾野へ引いた稜線であって、おそらくこれほど大きな根張りは、他に例が少なかろう。しかも、それが少しのわだかまりも渋滞もなく、ゆったりと優美な線で伸びているさまは、胸がすくようである。 ~」
(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))
大宮から高崎へは、上越新幹線で速ければ25分ほどで着いてしまいます。その間、二階建て新幹線の進行方向右側の席に座ると、一番楽しみなのは赤城山の姿です。冬の間は、乗るたびに山頂の雪の様子が変わっているのに目を惹きます。
また、高崎から沼田や水上へ向かって上越線の普通電車に乗ると、赤城山の大きな平面の稜線に吸い込まれるような感覚になります。電車が山に近づいていくこの感覚は、上越線ならではのものだと思います。
赤城山はいくつものピークの集まりで、「赤城山」という名前のピークはありません。その中の最高峰は1,828mの黒檜山です。ここへの登山はとても楽で、「あかぎ広場前」バス停から黒檜山まで登り、その後外輪山の駒ヶ岳を回ってもとの場所へ戻るのに、およそ4時間でした。登山道に危ない箇所はありません。
登ったのは紅葉も終わった10月の下旬で、とても寒い一日でしたが空気は澄み切り、山頂近くの展望台からの眺望はなかなかのものでした。それ以上に面白かったのは2つのカルデラ湖・「大沼」と「小沼」でした。文字通り小沼の方が小さいですが、標高は小沼の方が高い位置にあるのが、稜線から見下ろすと明らかに分かるのです。
5年後、今度は小地蔵山・長七郎山・地蔵岳をまわるコースを歩きました。長七郎山から小沼へ下ってくると、のどかな景色だと思いました。水際のすぐ横を歩くことができます。山の波打ち際と名付けたいような道で、「小沼」の名前に似合わない大きさがありました。
同じ日に登った地蔵岳は、山頂にアンテナが林立し、美ヶ原を思い出しました。眺望はなかなか素晴らしく、谷川連峰は5月でもまだ雪で真っ白な稜線を示していました。
(登頂 黒檜山・駒ヶ岳:2014年10月下旬 小地蔵山・長七郎山・地蔵岳:2019年5月下旬)