金峰山(2,599m)
「~ われわれ山岳党の大先輩木暮理太郎氏に次のような言葉がある。
「金峰山は実に立派な山だ。独り秩父山脈の中に嶄然頭角を抜いているばかりでなく、日本の山の中でも第二流を下る山ではない。世に男の中の男を称えて裸百貫という諺があるが、金峰山も何処へ放り出しても百貫の貫録を具えた山の中の山である。」 ~」
「~ 金峰という名はどこから来たか。『峡中紀行』に書かれているところによれば、頂上はみな黄金の地であって、神はそれをひどく愛惜し、登山者は下山に際してワラジを脱いで跣足で帰らねばならない。ワラジにくっついた一粒の金といえども持ち出すことができない。 ~」
(深田久弥『日本百名山』(新潮社))
5月の暑い日に瑞牆山の頂上から金峰山を眺めると、まだ雪が残っていました。
金峰山は大きく、そのうえ頂上に鎮座する巨岩・五丈岩が目印となり、他の山と見間違えることはありません。
奥多摩の「キューピー山」大岳山のように、形そのものが目印になる山もありますが、遠くからは小さく見える巨岩が目印になる山もあります。
金峰山は瑞牆山より300m以上高く、日本一長い千曲川・信濃川の源流・甲武信ヶ岳をも上回り、奥秩父山塊で金峰山より高いのは2,601mの北奥千丈岳しかありません。
瑞牆山荘からスタートする金峰山の登山道は、途中まで瑞牆山とコースが同じです。標高が高い分距離は長いですが、瑞牆山よりは急坂の少ないコースでした。
樹林帯を抜けると、大伽藍のように高い岩が待ち受けます。すごい迫力でした。
五丈岩は、横から見ると城壁のように巨岩が積み重なっていましたが、縦から見ると思ったより厚みがなく、見る方角で印象が違うと思いました。岩石は花崗岩のようで、「黄金の地」でないことはすぐに分かりました。
山頂から瑞牆山を眺められなかったのは残念でしたが、大きな山に登ったという充実感が湧き上がるコースでした。
帰りは来た道を戻るよりも近い大弛峠へ出ました。この年から、塩山駅⇔柳平⇔大弛峠のルートで、予約制のバスが走り始めたと聞いていました。
駐車場にはワゴン車が停まっていました。乗客は自分1人だけでした。
1,800円の運賃で済むのはありがたいです。途中の柳平では、名産のぶどうをとても安く買うことができました。
(登頂:2014年10月初旬)