武川岳(1,052m)・焼山(850m)・二子山(883m)
「~ 武川岳とは随分いかめしくて、地味な山容にはふさわしからぬ名だと思う。山名辞典で「むかわ」と別の読み方を知り謎は解けた。武甲山が荒川の対岸から見て「むこうの山」→「むこーやま」→「むこーさん」→「ぶこーさん」となったんだという説があるけれど、全く同じに「むこうのたけ」→「むかうたけ」→「むかわたけ」が「武川岳」とアテ字されたんじゃなかろうか。そーだそーに違いない、と勝手に決めつけてナットク。 ~」
(浅野孝一・打田鍈一・楠目高明・横山厚夫著『関東百山』(実業之日本社))
秩父鉄道で熊谷から寄居・秩父へ向かうと、途中に武川という駅があります。1番線と2番線しかないですが、ホームの北側には線路がたくさん走っています。カラフルな電気機関車と、真っ黒な貨車が止まっていることが多いです。貨車の積み荷は石灰石で、どの貨車も1両に3つの山を作るように積まれています。
面白い説ですが、そうすると「岳」のない武川はどうなるのか疑問があります。
辞典で「武川村」をひくと、「~ 村名の由来は当村域が近世武蔵国のうちで、かつ南側が荒川に沿っていることによるという。 ~」とでてきました(『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(角川書店))。荒川に沿っているというのは、荒川の「むこうの」に通じるところがあると思いました。
武川村は川本村、川本町を経て、2006年からは深谷市です。
武川駅と武川岳は離れた場所にあって関係はないですが、武川岳は西武秩父線沿線の山々の中でも登ってみたい山の一つでした。なだらかな山容ですが、縦走コースはアップダウンが多くて歩き応えがありそうでした。「随分いかめしくて、地味な山容にはふさわしからぬ名」なので、そう思うのかもしれません。
秩父鉄道武川駅の切符
西武線の飯能駅から国際興業バスで名郷へ向かいました。乗客はほとんど登山の人だったと思います。ラッピングされた車体には、「ヤマノススメ」と書いてありました。
びっしり満員でしたが、途中の「さわらびの湯」バス停で空きました。棒ノ折山へ登る人が多そうです。
終点の名郷では10人ほどになっていました。ここでも、武川岳ではなく蕨山へ向かう人が多いようでした。
歩き始めからいきなり急坂ですが、シャガの群落が出迎えてくれました。真っ赤なツツジも咲いていました。
(登頂:2015年5月上旬) (つづく)