丹沢山(1,567m)・蛭ヶ岳(1,673m)
「丹沢山は、いわゆる丹沢山塊のほぼ中央に聳えて、その名の通りに丹沢を代表する山である。甲武信岳を奥秩父のヘソに例えるならば、この丹沢山は丹沢の正にヘソ的存在といってよいだろう。また、三県の境をなす甲武信岳と同じように、丹沢山も神奈川県内では愛甲郡清川村、津久井郡津久井町、足柄上郡山北町の三郡を分ける頂点となって、昔は三境とか三境ノ峰と呼ばれていた。 ~」
(浅野孝一・打田鍈一・楠目高明・横山厚夫著『関東百山』(実業之日本社))
丹沢は、通年で営業している山小屋が多く、冬でも泊りがけで登山を楽しむことができます。
「津久井郡津久井町」は、2006年に相模原市緑区になりました。今でも丹沢山が、三市町村の境目であることは変わりません。清川村の人口はおよそ3,000人、神奈川県では唯一の「村」です。
「丹沢の正にヘソ的存在」へはいろいろな登り方がありますが、地図を見て宮ヶ瀬湖沿いから丹沢三峰を縦走して丹沢山へ登頂するルートを選びました。
宮ヶ瀬湖も丹沢の真ん中ではないものの奥まった場所にあり、徐々にではなくいきなりヘソに辿り着くことができる道という感じがします。
登山口には大きなヤマビルの忌避剤が2つも置いてありましたが、もう12月でさすがに必要ないでしょう。
最初から山深い感じのする道で、樹木は数えきれないほどの種類があると感じました。
壊れているシカの防止柵をくぐって先に進みます。
1時間20分で、標高766mの高畑山というピークに出ました。標識の周りは何もない、広場のようなピークでした。
さらに進むと、宮ヶ瀬湖を見下ろせる場所に出ました。宮ヶ瀬湖は神奈川県最大のダム湖で、登山道からはとても横長です。アーチ状の、その名も「虹の大橋」がかかっているのも見えます。
本間ノ頭(1,345m)に着きました。「本間ノ頭」は丹沢三峰最初のピークで、この後2つ目の「円山木ノ頭」(1,360m)、最後の「太礼ノ頭」(1,352m)と続きます。1つ目と2つ目の間には「無名ノ頭」があり、太礼ノ頭の後には「瀬戸沢ノ頭」もあります。
丹沢山まで、アップダウンは三峰の3回どころかもっとありました。宮ヶ瀬湖から丹沢山までとても標高差を感じるルートでした。
ゴールが近づいたのを知らせるように、鹿が二頭現われ、ピーッという甲高い鳴き声が響きます。お尻が真っ白です。鳴き声を隠すような霧が山頂一帯を覆ってきました。
(登頂:2013年12月初旬) (つづく)