経ヶ岳(633m)・仏果山(747m)・高取山(705m) (つづき)
名前に「経」の付く山は、信仰と関係のある山が多いと思います。中央アルプスの経ヶ岳は、山頂に石仏が祀られているそうですし、奈良県・大峯山の”八経ヶ岳”の歴史の深さはここで言うまでもありません。
ここ経ヶ岳もそのひとつです。そしてこれから縦走しようとする、もうひとつの山の名前が「仏果山」ですから、自然に山岳信仰を連想します。低山なのに一帯が落ち着いて感じられるのはそのせいではないかと思います。
経ヶ岳の山頂から少し下ったところには「経石」があります。
「昔、弘法大師がこの岩(南側にある穴)に経文を納めたことから経石と、また経石のある山だから経ヶ岳と呼ばれるようになったと伝えられています。永禄十二年(1569年)、北条武田合戦(三増合戦)の際、武田氏に敗れた北条氏の落武者が、やっとのことでこの山にたどりつき法輪堂を見下ろすと数多くの槍が立てられていました。落武者は、武田の軍勢がすでに法輪堂まで追いかけてきたのかと思い、経石付近で力尽き相果てたそうです。ところが落武者の見た槍というのは、収穫を終えたトウモロコシだったといい、それ以来この地方では、トウモロコシを耕作しなかったと伝えられています。」
その落武者はトウモロコシを見たことが無かったのかもと思わせますが、それよりも、地元の人の北条氏への敬意が感じられるエピソードでした。
樹と樹の間から丹沢主脈の山並みを眺めながら縦走路を歩きます。あれが丹沢山かなという高い山も見えましたが、12月中旬でも雪はまだら程度にしか積もっていないようでした。
(登頂:2015年12月中旬) (つづく)