開聞岳(924m) (つづき)
開聞岳の登山道は円を描くように付けられているので、場所によって違う方角の海を眺めることができます。最初は細長い形をした長崎鼻の岬が見え、海の向こうに大きな大隅半島が横たわっています。長崎鼻は、浦島太郎が竜宮城へと旅立った場所であると伝えられています。
昨日はあの海を、屋久島からジェットフォイルで帰ってきたばかりだなと思いながら眺めます。雨の中波はとんでもなく高く、トランポリンのように飛び跳ねながら航行していました。今日は太陽が照り付け、空は霞み、荒天の跡はどこにもありません。
長崎鼻と反対側の海岸線はゆったりとした線を描いています。千葉の九十九里浜に形が似ていました。波打ち際から開聞岳を眺めるのもまた格別でしょう。屋久島は残念ながら見えませんでした。同じ鹿児島県でも、ここから80kmは離れています。
密集した植物にエネルギーを感じる道のり。本州の山とは全然違います。
この「あと0.4km」が長かったです。足場は岩が多く、大きな木製の梯子まで現れました。山頂は、ゴールデンウィークの百名山だけあって、人また人でした。高尾山の展望台の半分くらいの数の人が、半分よりもっと狭い岩場の頂上に密集していました。麓を見下ろすと、歩き始めた場所と方角が同じだと分かりました。時計回りに山頂まで登山道を歩いたら、一周してもとの場所に戻ってきたという感覚が独特だと思いました。
(登頂:2016年5月上旬) (つづく)