白ひげの滝は、十勝岳連峰の麓・上川郡美瑛町の白金温泉にあります。潜流爆と呼ばれる珍しい滝で、断崖絶壁の一番上ではなく、すき間から水が流れ落ちています。まだ10月なのに雪で、紅葉に直接雪が積もっていました。滝の水は、滝になって現れるまでは地下水ということになります。少し温かいせいか、あたりは霧のようなものが湧き出ているように見えます。美瑛川にかかる橋は「ブルーリバー橋」、水面は確かに青みがかっています。そして、滝から少し下流に進むと有名な「青い池」があります。後で写真を見ると、本物はもう少し青かった気がします。とても寒い日でしたが、池のまわりにだけたくさんの人がいました。
「~ 北海道の美瑛に移住したきっかけは、この町を撮り続けた著名な風景写真家、故前田真三先生との出会いである。当時、生意気盛りの若造だった私は、先生の写真を見ながら「こんな色鮮やかな風景があるとは思えません。特殊なフィルターでも使われたんでしょう」などと失礼な質問をしたが、先生は嫌な顔もせず、「一度、見にいらっしゃい」と答えられた。私は言われるまま、当時暮らしていた東京から先生の写真館がある美瑛を訪れた。それからは何度となく通い、この町に住むことを真剣に考えるようになった。 ~」
(『写真は語る わが愛しの美瑛 豊かな色のパレット』ケント白石(ナショナルジオグラフィック日本版/2012年11月号・日経ナショナルジオグラフィック社))
記事の横には、雪の降る青い池の写真が載っていました。初めての青い池は不思議で、「特殊なフィルター」を通したような、見たことのない青色でした。何度もこの地に通った人にとっては、自然そのものの色として見えるのに違いありません。
翌日は旭川駅前も雪でした。この後、旭川空港から羽田へ帰りました。