飯綱山(1,917m) (つづき)
飯綱山は双耳峰で、北側・南側にそれぞれピークがあり、より高いのは北側の方です。
登山道はまず南峰に着き、本当の山頂へはそこから400mほど尾根を歩きます。南峰には飯縄神社が建ち、鳥居もあります。
尾根歩きが始まると道が一変しました。これまでの登山道が嘘のように、雪が残っているのにびっくりしました。春山を歩いていたのが突然雪山になった雰囲気です。たくさん積もる地形なのか、あるいは融けにくい地形だからなのでしょうか。気温の高いせいか、雪はやわらかく、アイゼンを付ける必要はありませんでした。グサグサで踏み抜いてしまいそうなところも何か所かありました。
山頂はとても広々と感じられる、気持ちのよい場所でした。眼前の黒姫山の姿に圧倒されます。妙高山は黒姫山に隠れて見えないのか‥‥と思ったら、実は黒姫山の奥に見えているのでした。これは、二つの山が1つに合体したユニークな眺望です。
「三月下旬ではまだすべての山が雪を置いていたが、とりわけ火打が白かった。どんなに雪が降り積っても山のすべてを覆うわけにはいかない。どこかに雪をつけない崖や岩壁がある。ところが火打だけは完璧に白かった。こんなに一点の黒もなく真白になる山は、私の知る限り加賀の白山と火打以外にはない。」(深田久弥『日本百名山』新潮社)
妙高山の左に見える火打山は、確かに真っ白でした。完全に白い山というものがあるとすれば、それは火打山のことでしょう。
火打山から稜線をさらに伸ばすと焼山です。白い噴煙が上がっているのが見えました。活火山の焼山は、今年の3月2日から山頂の半径1キロ以内が立ち入り禁止になったということです。
東側は、浅間山がとても穏やかな姿をしているのが目を惹きました。同じ山でも見る角度によって違うものです。四阿山と根子岳が並んで見えて、やっぱり穏やかな山だなと思っていたら、どうやら四阿山ではなく浅間山で、根子岳ではなく四阿山でした。
(登頂:2016年4月上旬) (つづく)