妙義山(1,103m) 石門めぐりと中間道
妙義山には、星穴山という名のピークがあるといいます。
「~ 列車が西松井田を過ぎると、これまでの光景は背後にとび去って、さらに魅惑的な山なみが現れる。丁須岩をはじめとする裏妙義の奇峰群もさることながら、中木川の谷奥はるか、ランランと輝く二つの目を持つオニのような風貌の星穴岳には、戦慄的な感動すら覚えてしまうのだ。 ~」
(浅野孝一・打田鍈一・楠目高明・横山厚夫著『関東百山』(実業之日本社))
上毛三山を遠くから眺めると、赤城山には裾野の長い直線があります。榛名山と妙義山には、起伏のある稜線がありますが、その度合いは全く違います。妙義山は、ギザギザと言ってもいいくらいの形をしています。そして埼玉の両神山のそれとは違い、妙義山のギザギザは不規則です。
上信越道の横川SAからは、裏妙義の奇岩を眺められます。高速バスの休憩時間に、奇跡のような奇岩を見上げることができます。
妙義山の地図は、点線(難路)のオンパレードです。中では、(頂上に立たずに)石門と中間道を歩くのは、数少ない実線のルートとされています。
妙義山のページには、『関東百山』では珍しく、代表的な登山コースが所要時間・難易度とともに紹介されています。「石門めぐりと中間道路」は3時間、☆の数(難易度)は2つでした。
信越本線の松井田駅から、タクシーで石門入口まで行きます。妙義は山ではなく、岩のかたまりそのものでした。遠くには、真っ平なテーブル・マウンテン、荒船山も見えます。ギザギザなのか平らなのか、全く逆ですが、妙義も荒船もユニークな山であることには変わりありません。
スタート地点から、早くも紅葉が鮮やかです。第一石門は巨大で、目もくらむような造形です。大きな門の下から紅葉を眺めることも、くぐった後で巨木と同じ高さの門を振り返ることもできます。
「石門」は第四まであり、第二石門が大変でした。ここは、鎖場を通らないと先へ進めません。まず鎖をつかんで斜面をトラバースし、次に「たてばり」の札がかかった斜面を、やはり鎖を使って登ります。傾斜はかなり急で、靴を置ける場所はたくさんありますが、すべて頼りない感じがします。「第一」よりずっと小さい、縦に長細い門をくぐった先には、さらに急斜面の下りが待ち構えています。緊張を解くことができません。ここが☆2つなら、槍ヶ岳を始め日本アルプスの登山道は、ほとんどが☆1つになると思います。
次の第三石門は唯一、門をくぐることができず、入り口まで歩いた後折り返しとなりました。
(写真:2016年11月中旬) (つづく)