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千枚岳(2,880m)・悪沢岳(3,141m)・赤石岳(3,121m)・聖岳(3,013m)
(つづき)
椹島から千枚小屋までのルートは、展望の開けるところもありますが、ほとんどが樹林帯です。たまに急登を交えつつ、なだらかな登りが主体でした。ただし、一日で標高差1,400m以上を稼がなければいけないので、かかる時間は長いです。
ここは、明治時代に一度伐採した跡に植林した二次林が多いです。ところどころ現れる幅の広い斜面は、伐採した木を運ぶための道だったようです。二次林といっても明るい林が多く、スギの人工林のように均一な感じはしませんでした。植林がうまくいっているということだと思います。ただし、力強さはありません。太古の昔から続く森と比べれば、こちらは明治時代から数えてもまだ百年と少ししかたっていないからでしょう。原生林の残る山はどこも美しいですが、それは年月の積み重ねが感動を呼んでいるのです。
「蕨段」の森です。南アルプスでは、登りの途中にぽんと現れる開けて平らな場所に「段」の名前を付けるそうです。今日は、名前の付いているものも付いていないものも、平地がいくつかありました。森が一番美しく感じられてほっとするのは、そうした平らな場所に着いた時でした。
5時間半くらいと踏んで椹島から歩き始めたところ、結局7時間20分かかり、千枚小屋に到着したのは自分がビリでした。この日に泊まった人の数は25人とのことで空いていました。夕食は皆さん手早く済まされる感じでしたが、昔高校で山岳部の顧問をしていたとの方から面白いお話を聞かせてもらうことができました。寝る前に外に出てみると、五竜山荘で感動したのと同じ星空がここでも眺められました。山小屋で見る星空は、どこの山でも同じくらいきれいですが、山から見るのとそれ以外の場所で見るのとでは違うものだと思います。
(登頂:2016年9月上旬) (つづく)