心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

南アルプスの三千メートル峰をめぐる 悪沢岳・赤石岳から聖岳への縦走(1)

2016年09月09日 | 中央アルプス・南アルプス


千枚岳(2,880m)・悪沢岳(3,141m)・赤石岳(3,121m)・聖岳(3,013m)

 南アルプスをさらに北部と南部に分けるなら、北岳、間ノ岳、甲斐駒などは北部、悪沢岳・赤石岳・聖岳のそびえるエリアは南部です。北部の方は甲斐駒や仙丈に登ったことがありますが、「南の南」には一度も行ったことがありませんでした。それどころか、はっきり見たこともありませんでした。仙丈ヶ岳に登った時には、「南の南」にそびえる山々がいくつか見えていたはずですが、どれがどの山かはまったく分かりませんでした。このエリアは、自分にとって完全に空白地帯として残っていたのです。


 東京駅を23時に出る夜行バスで静岡駅まで、予約していたタクシーで畑薙第一ダムまで、送迎バスを乗り継いで椹島の登山口まで行きました。タクシーは、複雑に曲がる道・時にすれ違いの難しい道を2時間以上かけて走りました。免許がないので車には乗れませんが、もし自分で運転しようとするなら大変な道に違いありません。終わりだと思ったらまだ先があるという、不思議なルートでした。
 もう一つ不思議なのは、静岡駅から畑薙第一ダムまで、さらに椹島登山口までのルートは「静岡市葵区」を1回も外れることがなく、今日から4日間かけて登ろうとする山々もまた、すべて「静岡市葵区」の山であるということです。葵区の面積は1,073.76平方キロメートルもあり、政令指定都市の行政区では日本一の面積となっています。
 送迎バスは舗装もされていない道をガタガタ揺れながら走りました。大きそうな石が道のあちこちに落ちていました。運転手さんは、乗客の行先を聞いて「正」の字で集計していました。千枚小屋の人が一番多かったですが、それでも「正」の数は2つまででおさまるようでした。 


 登山口の椹島は、芝生が広がるのどかで明るい場所でした。こんな山奥になぜこんな広々としたところがあるのかと思うほどです。本当にいい場所ですが、著しい交通の不便さが観光客の足を遠ざけ、例えば上高地のような混雑とは無縁です。まだ少しも歩いていないのに、椅子に座って昼寝をしたくなりました。山小屋の人が一生懸命薪割りをしていました。送迎バスは8時過ぎに着いたのに、歩きはじめたのは9時20分を過ぎてからでした。今日はここから千枚小屋までの行程です。

 

 大きなトラスの鉄橋が架かっています。千枚小屋へはこの鉄橋は渡らず、袂から沢沿いの道に入ります。大きく揺れる吊り橋を渡ると、しばらく急登になりました。こんな素朴な吊り橋は、北アルプスでは見かけたことがありません。



 (登頂:2016年9月上旬) (つづく)



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。